【PUSH!! by TuneCore Japan #6】8(ラッパー) / Sakepnk(ソロプロジェクト)|2024年3月の最旬インディペンデントアーティスト

望月 柚花

望月 柚花

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大手レーベルや事務所に所属せずに音楽活動をおこなう「インディペンデント(独立)アーティスト」を対象に、楽曲配信や活動サポートなどのサービスを提供しているTuneCore Japan。

ジャンル問わずさまざまなアーティストのパートナーとして伴走するTuneCore Japanが、いま最もプッシュしたいのはどのインディペンデントアーティストなのか。

この連載では、TuneCore Japanが選ぶ最旬アーティスト数組の中から、ヂラフライターがグッとくるアーティストを毎回2組ずつ厳選してご紹介。

第6回は、2000年生まれの新世代ラッパー【8】、クリエイティブレーベルw.a.uのプロデューサーであるReo Anzaiのソロプロジェクト【Sakepnk】にフィーチャーする。


8(エイト)

それは花束になり得るか

当たり前ではないものを当たり前のような顔で受け取って、食べて、たまに持て余して、時々喜んだり恨んだりして、気が向いたら誰かに手渡して、そうして生きている。

8の『花束』は、爽やかな曲調が印象的なラブソングだ。「おはよう」「おやすみ」「ただいま」「おかえり」が言える人が隣にいるということ。その人と飽きるまで「ありがとう」と「ごめんね」を繰り返していくということ。

互いにだけ通じる合言葉や不文律が増えていって、メッセージの履歴がたまっていって、カメラロールには気が遠くなるほどの思い出が記録されていく。そして二人は共犯者のように、どんなかたちであれ必ず訪れる別れから巧妙に目を逸らしている。

誰かを愛することに付随する色とりどりの喜びや悲しみ、後悔、諦念、憤り、寂しさをひとつにまとめたら、果たしてそれは美しい花束になるのだろうか。そして私たちは、その花束をまっすぐ大切な人に差し出せるのだろうか。

避けられない災厄であり、大きな喜びにもなり得るもの。この曲を聴くと、どうしても人生における愛について考えてしまう。

『花束』
8
youtube動画
灯された火のように

8の楽曲はどれも純度が高い。

彼の代表作とも言える楽曲『君と地球で』では透き通った愛が歌われ、2023年リリースのアルバム『ボク』に収録されている『163』にはなめらかで冷たい孤独が、『夕暮れと街角』には「自分」という存在を「大人」にチューニングできない焦燥感が漂っている。

どの楽曲にも共通するのは、静かに燃えているところだ。静かに燃えて、周りを照らしていく。

強さと弱さ、様々な剥き出しの感情をそのままぶつけてできる音楽とは何かが決定的に違っていて、その違いこそが、8の個性や魅力として聴く人を惹きつけるのだと感じる。

INFORMATION
PROFILE

8

メロディアス溢れるフロウで共感を集める、2000年生まれ注目の新世代ラッパー。日本語を強調した独特のワードセンスで、トラップとオルタナティブロックを軸に彼独自の世界観でアーティストとしての音楽性を広げている。

RELEASE

▶︎ 最新Single(2曲入り)
『5/13』
2024.2.14 配信開始

配信 / ダウンロード

▶︎ Single『5/13』より
「花束」のOfficial Music Videoが公開!

音楽配信サービスで8を聴く

Sakepnk(サケピンク)

誰でもない自分の輪郭をなぞる

慌ただしく雑然とした日々の中で、私たちは様々な顔を持っていて、シーンによってそれを使い分けていく。うまく使い分けて、うまくその場に合わせて、そして時々自分を見失う。

Sakepnkの『love again (feat. Sagiri Sól)』を初めて聴いた時、楽曲の持つ耳馴染みのよさに驚いた。耳にやわらかく届き、すっと心に浸透する。湿度があるのにすっきりしていて、それはなんとなく森の中に降る雨を連想させた。都会的なイメージと野性味が同居している、不思議なバランス感にはっとする。

聴く人の孤独を際立たせるのに不安ではなく、不愉快でもなく、寂しくもない。毎日の中でぼやけてしまっていた自分という存在のアウトラインが静かにはっきりしていって、見失いかけていた自分にちゃんと戻ってくることができる。そんな不思議な気持ちになっていく。

『love again (feat. Sagiri Sól)』
Sakepnk
youtube動画
絶妙な均衡を保って生まれる音楽

UKガラージやヒップホップ、ハウス、ポストダブなど、Sakepnkの楽曲には様々なジャンルの音楽の要素が含まれている。そして、その様々な要素がぶつかり合い、化学反応を起こして強くきらめくように、独自のものとして昇華している。その美しさには何度聴いても思わず息を呑んでしまう。どの楽曲もスムースで解像度が高く、緻密で、普通の人が見ているよりももっとマクロな世界を見ているような、特別な視点を持ったかのような気持ちになるのだ。

最新リリースの『Lean On Me』はファッションデザイナー、ラッパー、ビートメイカーとして活動するアーティスト・MÖSHIを迎え、ダンサブルで洗練された楽曲になっている。

重たく響くのに軽やかに走り出したくなるような、相反する要素が混在して一つの楽曲として完成していて、ここでもSakepnkならではの絶妙なバランス感を発揮している。

様々な要素を取り込んでも混沌としない、均衡を保って生まれる音楽こそがSakepnkの大きな魅力であり、武器であると感じている。

INFORMATION
PROFILE

Sakepnk

クリエイティブレーベルのw.a.uのプロデューサーReo AnzaiのソロプロジェクトであるSakepnk。ポストダブやUK Garage、ハウス、ヒップホップを経由した唯一無二のサウンドは人を魅了する。時にバンドセットでのライブも行い、FKD、石若駿、Aaron Choulaiのユニット、FICやさらさ、VivaOla、Wez Atlasなど次世代のアーティストとも共演し、肩を並べている。 VivaOlaのリミックスワークや自身のリリースはApple Musicの公式プレイリストやSpotifyの大型プレイリストにも多数選出され現在注目を集めるアーティストである。

RELEASE

▶︎ 最新Single
『Lean On Me (voquote Remix)』
2024.3.13 配信開始

配信 / ダウンロード

▶︎ 6月に複数名ラッパーを迎えてEPをリリース予定

LIVE

7月にEPリリースを記念して、リリースパーティを開催予定
※最新情報はInstagramなど、SNSをチェック!

音楽配信サービスでSakepnkを聴く

(文・望月柚花)


TuneCore Japan

自分で作った楽曲を、利用者であれば、『誰でも』世界中(185ヶ国以上)で55以上の配信ストア・プラットフォームへ配信できる、米音楽配信ディストリビューションサービス『TuneCore』の日本版。2012年10月より、日本でのサービスを開始しており、アーティストへの還元総額は393億円を突破。「あなたの音楽でセカイを紡ぐ」のビジョンのもとアーティストをサポートし、音楽の素晴らしさを世界中に広めるため、積極的にサービスを展開しています。