【上級編】 作曲はアレンジが肝! 個性豊かな曲に変化させるアレンジ方法

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自分の感性で曲を作り、お気に入りの曲ができたとしても、それだけだとなかなか人の印象に残る曲は作れないものです。できた曲を人の印象に残るようにアレンジして、初めて「この曲はもう一度聴きたいな」と感じてもらえるはず。

いくらおいしい料理でもその料理を入れる器や盛り付けが良くないと、おいしさが半減しますよね。同じように曲でも原曲のポテンシャルを最大限活かすためのアレンジが重要になってきます。【上級編】では、できた曲をアレンジによって人の印象に残る曲にする方法を説明します。


人の印象に残る曲とは?

人の印象に残る曲を作るにはふたつのポイントがあります。

まずひとつ目は、「聴いていて心地いい」を大切にすることです。人間の耳は心地いいと感じる音の動きが存在します。ドミナントモーション(ドミナント=不安定 → トニック=安定 の流れ)はその典型です。人間が感じる音の動きの心地よさを意識してアレンジすることが大事になってきます。

ふたつ目は、「なんじゃこりゃ」と感じさせることです。「聴いていて心地いい」とは対局ですが、意外性のある展開や、今まで聴いたことのないような音の組み合わせは聴いている人にインパクトを与えます。セクションごとのギャップや音の組み合わせが重要です。

「聴いていて心地いい」と感じさせるアレンジ方法

心地よいと感じる構成はある程度決まっている

今のポピュラー音楽には王道パターンと言われている構成があります。それは人が聴いていてもっとも心地よいと感じる構成を長い年月をかけて導き出したものです。

ですので、「心地よさ」を重視するならこの王道パターンを使いながら、その中でどれだけオリジナリティーがあるか、曲の世界に引き込めるかが重要になってきます。

2番のAメロを工夫する

今の日本の音楽で多い構成は、以下のような構成です。

  • Aメロ→Bメロ→サビ→2Aメロ→2Bメロ→2サビ→ブリッジ→3サビ

サビが一番盛り上がるところで、そこに向かうためにAメロとBメロで徐々に盛り上げていきます。ただ、上記のような構成だとAメロ→Bメロ→サビを2回繰り返すことになるので、同じようなアレンジだと聴いている人は退屈に感じてしまいます。

そこで、ワンコーラスとツーコーラスに変化を付けるために2Aメロのアレンジを工夫しましょう。例えば、ギターのアルペジオのパターンを変えたり、ベースラインを少し変化させたり、新たな楽器の音をプラスしたりと、少しの変化でも印象が変わります。曲全体で見てもAメロに変化を加えることで、起伏に富んだ曲になり聴いている人の印象に残ります。

ブリッジで違う色の景色を見せる

ツーコーラス目のサビまでは、細かい変化で緩急を付けながら展開してきましたが、ブリッジ(間奏)で一気に雰囲気を変えていきます。今までのパターンから大きく変化するので、聴いている人が引き込まれていき、最後のサビへの流れが作れます。

具体的には、今までのコード進行からがらりと雰囲気を変えたり、転調したり、リズムを変化させたりするのが効果的です。

「なんじゃこりゃ」と感じさせるアレンジ方法
セクションごとのギャップを大切にする

聴いている人に驚きを与えるには、セクションごとの変化を大きくすることが効果的です。その前後のギャップで曲の世界に引き込むことができるからです。

例えば、ゲスの極み乙女の『両成敗でいいじゃない』では、イントロでハードロックのギターリフで始まりながら、Aメロではファンクポップ調の雰囲気に大きく変化しています。攻撃的でインパクトのあるイントロからの緩急で驚きを与え、「このあとの展開はどうなるんだろう」と最後まで聴きたくなってしまいます。

転調を多用する

転調は曲にメリハリを付けて変化が生まれ、聴いていて飽きさせない効果があります。一般的には最後のサビで半音上がることが多いですが、インパクトを与えたい場合、それぞれのセクションごとで転調してしまうのもありです。

半音上げの転調が一般的で自然に転調ができますが、半音以外でも自分の耳が良いと感じればどの音に転調してもオッケーです。

転調する際のポイントは、スムーズに別のKeyに移動できるようなコードを転調前の小節の最後に入れることです。KeyがCからAに転調する場合、直前で転調KeyのE7のコードを入れることで違和感なく転調できます。例えば…

  • Key=C
    F→Am→G→F→Esus4→E7(直前でKey=Aのコードを入れる。ここではEsus4とE7)
  • Key=A
    A→C#m7→D→A

また、転調の予告なしでいきなり転調してしまうというやり方もあります。いきなりガラッと変化するのでインパクトは与えられますが、違和感が強すぎたり歌いにくかったりすると逆効果なのでバランスを気をつけましょう。


(文・佐合良太)