【SOUSEMOMENT】当たり前を失った人に捧ぐ、懐かしいセンチメンタルの匂いを纏って

曽我美 なつめ

曽我美 なつめ

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シンプルイズベスト。それはいつの時代の世の中も、どんな事象においても存在する万国の共通認識だ。とは言え一見簡単で簡素な物事を表現するこの言葉は、ともすれば目立たない、印象に残らない、なんて宣われることもあるだろう。

しかしこれ、実のところめちゃくちゃ難しいことだったりもする。世の中いかに当たり前のことを当たり前に出来ない奴の多いことか。味付けは塩と胡椒のみ、素材の味を生かしました、なんて元の素材がいい奴だからこそ出来る所業でしかない。

それを踏まえて上で、敢えて言わせてもらおう。彼らの音楽はどこまでも、シンプルイズベストという言葉に尽きるのだ。SOUSEMOMENT(サウスモーメント)というバンドの真髄は、何よりもその一点にある。


素朴でシンプル、だからこそ光を放つものがある

2017年に結成し、現在山口、福岡を拠点として活動するバンド、SOUSEMOMENT。岡田祐亮(Vo./Gt.)、長門聖弥(Ba./Cho.)、望月龍(Dr./Cho.)の3人が織りなすバンドサウンドは、音楽のジャンルとして表現するのであれば、いわゆるオルタナティブロックと呼ばれる部類のものだ。

ギターボーカル、ベース、そしてドラム。バンドとしては最もシンプルな形態で、彼らはどこまでもストレートに、それでいて繊細に。自分達のサウンドによる世界観を、純粋に真っ直ぐに私たちに魅せてくれる。

難しいテクニックもなければ、無駄に着飾るような言葉を使うわけでもない。彼らが投げてくるのはいつもコースど真ん中の直球で、日常の中でともすれば使い古されているような素朴な言葉だ。

そんな彼らの歌には、押しつけがましさや派手な主張は確かにないかもしれない。けれどそれこそがある意味、1つの音楽としての完成形なのではないだろうか。

当たり前を失った痛みとその懐かしさを携えて

彼らの音楽を聴いていると、いつしかどこからか私たちの胸の内に、センチメンタルな感情が去来する。あるいは遠く昔の記憶をフラッシュバックさせるような、ノスタルジックな感覚、とでも言うのだろうか。

私は、この感覚を確かに知っている。

いつも当たり前に在ると思っていたものが、当たり前ではないと知ってしまった時。普段の何気ない日常を無くして初めて、その尊さに気付いた時。ああ、あれは私にとって、思っていたよりもずっと大事なものだったんだ、と知った時。

自分の心の奥の方を、ちり、と僅かに焦がすような痛みが掠める。彼らの音楽を聴いた時に覚える感情は、その時の気持ちと酷く似通っているのだ。

youtube動画

現在、自身の1st Mini Album『tenderness』を発売中。そしてバンドのアンセムでもある「Afterglow」「spring sense」等のMVをYouTubeでも公開しているSOUSEMOMENT。

自身の中に当たり前に存在すると思っていたものを、無くしてしまったあなたにこそ。ぜひ今この瞬間、彼らの音楽を一度聴いてもらえると嬉しいな、と思う。

一見地味で目立たないような、シンプルで素朴な、当たり前の存在。その尊さに気付いた時こそきっとあなたの中で、彼らの音楽が眩いばかりの煌めきを放ち始めるのではないだろうか。

MESSAGE

良いことも悪いことも受け入れて、自分にとっての今や今までを肯定するための歌を書いています。誰かを励ますようなメッセージは歌えませんが、この記事を通して、1人でも多くの人の思い出に寄り添うことができれば嬉しいです。

Vo./Gt. 岡田祐亮(SOUSEMOMENT)

(文・曽我美なつめ)


PROFILE

SOUSEMOMENT(サウスモーメント)

山口、福岡を中心に活動中。エモ、インディーロック、オルタナティブ、ポストロックから受けたインスピレーションを最も影響が深い2000年代Jロックのサウンドとともに咀嚼し、吐き出した楽曲スタイル。タイトに奏でる演奏の上を繊細かつエモーショナルなボーカルがセンチメンタルな歌詞で踊る、ありそうでなかったジャパニーズオルタナティブギターロックバンド。

メンバー

L→R
望月龍(Drums / Chorus)
岡田祐亮(Vocal / Guitar)
長門聖弥(Bass / Chorus)

活動開始

2017年

主な活動拠点

山口県、福岡県

HP / SNS

公式サイト
公式Twitter @SOUSEMOMENT_
公式Instagram @sousemoment_
公式YouTubeチャンネル