【PRAY FOR MEインタビュー】愛媛発バンド、初の全国流通盤『Ember of ashes』をTRUST RECORDS×Fable Records共同レーベルよりリリース!

曽我美 なつめ

曽我美 なつめ

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愛媛県を拠点に活動を続ける3ピースメロディックパンクバンド・PRAY FOR ME(プレイフォーミー)。

四国という不便な立地環境を物ともせず、一時期は年100本超のライブを行ったりと全国を精力的に飛び回っている彼ら。結成10年を経てなお衰えぬ勢いのままに、今年2023年3月“遅れてきたメロコアヒーロー”として、ついにバンド初の全国流通盤となるミニアルバム『Ember of ashes』をリリースした。

今作はTRUST RECORDS×Fable Recordsの共同レーベルから発表。4月にスタートしたばかりの全国リリースツアーも、初日・松山公演のチケットは即日完売となった。アフターコロナの機運高まる今、再びライブバンドとしての日々に戻るべくエンジンもすっかり温まってきた、というところだろう。

今回そんなPRAY FOR MEの3人へ、『Ember of ashes』リリースに際したインタビューを実施。昨年を中心としたバンドのこれまでの話や、新しい音源について、そしてこれからのことなど、様々な話を聞かせてもらった。

現在サブスクでも絶賛配信中の本作を聴きつつ、記事を一読してもらえれば幸いだ。


生活環境の変化の中で、それでも足を止めなかったバンドの2022年
——前回のインタビューが2021年9月。あれから確か、タクマさんは一回実家の関西に戻ったんですよね。

タクマ(Vo./Ba.): そっすね。2022年の間は実家に戻って家業の修行してました。メンバーに1年で戻るって約束して、結局帰ってきたのは今年の3月でしたけど。

——ただ、バンドの活動は続いてて。去年は関西のサーキットに出てた印象も強かったけど、それはやっぱりタクマさんがあっちにいたから?

タクマ: や、たまたまそっち周辺の誘いが多かっただけっすね。周囲も本格的にイベントが再開し始めてたし。2022年も結局月3〜4本はライブしてたんかな。

ユウタロウ(Gt./Cho.): 愛媛のライブも結構やったっすね。先輩バンド呼んで2マン打ったりして。

リョウタ(Dr./Cho.): STONE HAMMER(愛媛県で2014年より開催されている野外音楽フェス。2022年は特例として西条市文化会館にて開催)にも出させてもらいましたね、オープニングアクトで。初めてあんなでかいホールでやらせてもらったのも印象に残ってます。

——1年の期限付きとは言え、メンバーの生活拠点が離れても活動ペースが落ちないのはさすがのタフネスですね。
バンド初の全国流通盤『Ember of ashes』リリース! 制作秘話も満載の一作に

ユウタロウ: それでいくと、今回の音源の話も2022年には出てたんすよ。

タクマ: 去年の春ぐらい? 元々愛媛のFable Recordsとは繋がりがあって、そこ経由で名古屋のTRUST RECORDSのレーベルの話が来てたんかな。数年前にも縁があって、去年の夏頃も一回ワタさん(TRUST RECORDS代表・綿谷剛氏)が大阪のライブを見に来てくれたんすよ。その時はまだ音源の話もふんわりやったのが、たぶん10月頃に2レーベル共同リリースが決まって、「12月にレコーディングするぞ」って言われて、急に(笑)。

——2ヶ月か、だいぶ急な宣告でしたね(笑)。レコーディングはどこで?

ユウタロウ: 大阪の『do-do』で録りました。今回スタジオレコーディングもバンド初で、シビアやなって思うことも多かったけどええ経験になりましたね。

——シビアやな、っていうのは?

タクマ: 曲に対して少しでも曖昧な部分があったら、「どうすんの?」ってエンジニアさんに鋭く指摘されるから、それに対するジャッジを早く返さなきゃいけなかったりとか。あとは細かい失敗でテイク繰り返すたびにエンジニアさんの苛立ちが募るのが伝わって来て、「やっべ」って(笑)。

ユウタロウ: ガッチガチのレコーディングの厳しさというか。音源出す人ってみんなこんな中でやってるんや、って思いましたね。

タクマ: しかも今回、かなりタイトなスケジュールやったんすよ。丸2日間、計20時間で5曲完パケしなきゃいけなくて。

——2日で5曲!? それはキツイな。

タクマ: しかも当初はなんでかわかんないですけど、2日で7曲の予定でしたからね(笑)。結局5曲は頑張りましょうってなったけど。時間ないからベース、ドラム、ギターバッキングも一斉にドンで録って。

リョウタ: 誰かミスったら即やり直し、っていう。その辺もシビアでしたね。

ユウタロウ: 曲のBPMもここまで意識すること今までなかったし。

タクマ: どうしてもライブの時と曲の雰囲気が変わったり、バンド全体でBPM揺れるクセが染みついてて。結局5曲中3曲はクリックなしで録ったんですけど、「18年ぶりにこんなバンド来たわ」って言われました(笑)。

——なかなかハードな経験でしたね。その中でも印象深かったこととかはありますか?

ユウタロウ: レコーディングの時、関西のバンドの先輩とか友達がスタジオ遊びに来てくれたんですよ。で、「Alright」録った時に本来は予定になかったんですけど、みんなの力借りてガヤ録り入れてみようってなって。6人ぐらい来てくれてたんかな。

タクマ: そのおかげもあって「Alright」は完パケ聴いた時、びっくりするぐらい曲が化けてて。思とる倍はかっこよくなってちょっと感動しましたね。ここまで鋭利にピシャっとなるんや、って。今まで曲が出来上がる過程を聴いて「すげー」ってのはありましたけど、出来上がったものを聴いて「なんやこれ」ってなったのは初めてでした。

『Alright』
PRAY FOR ME
youtube動画
——そうやって何かあった時に駆けつけてくれる人が大勢いるのは、今まで方々でライブしてきたPRAY FOR MEの財産ですね。地元ならまだしも、拠点から離れた場所でそこまで支えてくれる人が多いバンドは貴重だと思う。

タクマ: 大阪バンドマン、友達多くてよかったっすね(笑)。

——リョウタさんはレコーディングの時の思い出とかあります?

リョウタ: ……お揃いで服買ったとか?(笑) 

ユウタロウ: レコーディング2日目にスタジオ行く前、3人で知り合いのコーヒー屋さんに寄ったんですよ。そこでオリジナルデザインのTシャツを3人でプレゼントし合ったんすよね。

リョウタ: レコーディングで根詰めた結果、スタジオの外でグルーヴ高まるっていう(笑)。

ユウタロウ: そのまま2日目はお揃いのTシャツでレコーディングして(笑)。

——あはは! 楽しそうですねえ、高校の文化祭みたい(笑)。

タクマ: あとはあれか。録り終えた曲を最終通しで聴いた時に、ユウタロウが「すいません、『Cosmonaut』1ヵ所ギター入れ忘れてました……」って。あん時は場が凍りつきましたね(笑)。

ユウタロウ: 「やっばぁ……」って(笑)。「Cosmonaut」、1曲目なんすよ。入れ忘れに気づいてから残りの4曲全然頭に入って来んし、どう言い出そうかそればっかりでした。

タクマ: 俺らも全然気づいてなかったんすよね。発覚した時点であと2時間ぐらいしかなくて、さすがに「もう大丈夫です、すみません、ここは諦めます」ってなったんすけど、エンジニアさんが半分呆れながらも「どれくらい? バッといこ」って言ってくれて。

ユウタロウ: もう本当に頭が上がらなかったっすね。

最新作からメンバーイチオシ曲をピックアップ! MV撮影の裏話も
——ここからは収録曲についてお聞きします。今回の曲の中で1曲イチオシを選ぶなら皆さんどれでしょう。

リョウタ: 僕は「Cosmonaut」ですね。曲作ってる時からカッコイイものができるな、と思ってたんで、形になった時めちゃ嬉しかったです。

ユウタロウ: リョウタが「Cosmonaut」なら「Alright」かな。イントロのフレーズとか、シンガロングのサビもライブで楽しんでもらえるかなって。ギターも珍しくソロでピロピロしてるのは僕的にもちょっとした挑戦ですね。

——「Alright」はMVもありますよね。あれはどこで撮ったんです?

ユウタロウ: 香川の『DOUGHNUT-HOLIC』ってお店です。父母ヶ浜のすぐ近くなんですけど、リョウタがすごい好きな店で。

リョウタ: 最初SNSで知って、ユウタロウも僕も兄弟二人とも好きで前からそれぞれお店に足運んでたんですよ。今回直接オーナーさんにコンタクトとって、MV撮らせて欲しいってお願いしました。

ユウタロウ: お店のドーナッツに、バンドの名前とかバンドの曲名の商品があったりするんです。「SUBLIME」とか「AUTUMN SONG」とか。

リョウタ: MV撮影きっかけでそれからも仲良くさせてもらってて、いつかPRAY FOR MEのドーナッツも作って欲しいって話してたんですけど。つい最近、4月から「Homies」っていうドーナッツが登場したそうなんでみんな買ってください(笑)。それも嬉しかったっすね。

——バンドやってて、そういう夢が少しずつ叶っていくのは嬉しいですねえ。タクマさんはどうでしょう。

タクマ: ほんとは全部の曲喋りたいけど……「Falling in April」と「Before tonight is over」は歌詞である特定の人の話を書いてる、とかですかね。今までそういう歌詞の作り方はしなかったけど。

——それは、敢えて今までそういう歌詞を書かなかった?

タクマ: 今まではわりとぼんやりしたフラストレーションとかライブハウスのこととか、概念的な所を捕えがちやったんで。「Before~」はバンド辞めていく友達の背中を押したい曲、「Falling~」はすっげえ仲良くしてくれてた先輩が亡くなっちゃったんで、その人の曲っすね。

——やってみてどうだった、とかありますか? 自分の中で。

タクマ: ……結局書いた内容もこっち視点のエゴでしかないなと思ったけど、まあでもそれでええんかなあとも思いつつ。けど、俺がある一定の人に向けて書いたはずの曲やのに、それがたまたま他の人とリンクすることもあったりして。ライブ来てくれた人がちょうど同じタイミングで友達を亡くしてて、その子が抱えてる思いと歌詞がリンクしたりとか。そういうのを聞いて、重なる部分があるんやって感じましたね。

——普遍的なパーソナルな感情、というか。一見相反してるけどそうじゃないっていうことですね。

タクマ: あとは「Cosmonaut」の歌詞も、今までとちゃうことしてみようと思って。あれは架空の人物、男の子と女の子の対比を書いた歌詞なんすよね。今までの歌詞はノンフィクションが多かったけど、あれに関しては完全なフィクション。勝手な作り話を書いてるから……自分では「結構キモイな」って(笑)。

——でもいいですね。10年バンド続けてる中でも新しい挑戦して「意外と悪くないな」っていう発見があるのも。

タクマ: ……けど、一番カッコいいのは「Liberty」かな。少しずついろんなものが元に戻ってきて、時代風潮的にもここから変わっていくっていう中に歌詞が合ってくれれば、って思います。

ユウタロウ: 結局全部喋っとるやないか(笑)。

タクマ: (笑)

九州から東北まで……渾身の新作を全国へ。「Ember of ashes TOUR 2023」開催
——そしてリリースを経て、今まさにツアー中ですが。

タクマ: 年明けにリリース発表して、じゃあツアーもせんとなっていうとこから、ざっくり3ヶ月無理せず回ろう、って話になって。日程と行きたい所を仮でリストアップして決めてった感じですね。

——日程見てすごいなと思いました。あっち(東北)まで行くじゃん、と思って。

タクマ: そうなんすよね、今回。東北と長野の3本は「来てください」って言われてたけどずっと行けてなかった土地だったんで、このタイミングしかないなと思って。

——東京から上に行くのってひとつハードルがありますよね。

タクマ: こっから17時間ですって(笑)。まあでも車かな、今回も。

——道中の無事をお祈りしてます。そしたら最後に、今後の抱負ややりたいことも聞ければと。

タクマ: 今回僕はシンプルに音源作ったけど、もうすでに新しい曲とか今までの曲もブラッシュアップされて出来の良いものがストックされてるんで。次を出したいな、って感じですね。あとはとにかく『Ember of ashes』が売れてくれたら(笑)。

ユウタロウ: 音源作るのもそうやし、ありがたいことに今年のMONSTER baSHにも呼んでもらえて。

——前回のインタビューでも今後の抱負に挙げてましたもんね。叶いましたね。

ユウタロウ: そうっすね。期待してくれてる人がいるので、それに応えられるように、超えられるように頑張りたいっすね、僕は。

——今年1回と言わず来年も再来年も、ですね。リョウタさんはいかがでしょう。

リョウタ: 今回ツアー初日が松山Double-u Studioでしたけど、嬉しいことに即日完売で。次に自分たちの冠で何かやるとしたら松山WStudioREDを埋めたいなって思うので、それに向けた動きができたらなって思いますね。

——いいですね。バンド活動も10年を超えて、それでもまだまだPRAY FOR MEはこれからいろんな景色を見るんだろうなと思います。ひとまずはツアー、楽しんできてくださいね。
Ember of ashes TOUR 2023

(取材/文・曽我美なつめ)


PROFILE

PRAY FOR ME
(プレイフォーミー)

2012年結成。愛媛・松山を拠点に活動中のメロディックバンド。BPM速めのエッジの効いたサウンドとメロウなメロディ、巧みなコーラスを武器に熱量のあるライブで魅せる。地元にて数々のツアーサポートを経験。県外でも多くのライブを行い精力的に活動中。

Official Website
Twitter @pxfxm
YouTube

RELEASE
『Ember of ashes』
PRAY FOR ME

発売:2023年03月29日
定価:1,430円(税込)
品番:RCTR-1107
レーベル:TRUST RECORDS / Fable Records
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