NHK『みんなのうた』の6-7月曲として書き下ろされたOAUの新曲『世界の地図』が6月10日より配信スタート。テレビ放送に収まりきらなかったフルバージョンは、今回が初披露となる。
パンク/ハードコア・シーンで活動するBRAHMANのメンバーが在籍するOAUが、子供を対象としたNHKの番組に楽曲を提供したという事実に、驚きを隠せなかった。OAU、そしてBRAHMANが『The Covers』というNHKの音楽番組に出演経験があることを知りながらも。
しかし、New Acoustic Campをはじめとする様々なフェスに出演し、BRAHMANとは異なるファン層からも支持を受けるようになって久しいOAUが『みんなのうた』に楽曲を提供しても何ら不思議はないのである。もはや彼等に「BRAHMANのメンバーがやってるもう一つのバンド」という説明は不要なのだから。
『世界の地図』
ヴォーカリストのTOSHI-LOWに『世界の地図』のフィジカル(特にアナログレコード)のリリース予定を尋ねると、「今のところCDすらない(笑)」という答えが返ってきた。フィジカル化が実現することを祈りつつ、それまでは配信で。
OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND
2005年のある日。所用でBRAHMANが所属するタクティクスレコーズにお邪魔した際に、TOSHI-LOWがMARTINという外国人男性とセッションしている場面に遭遇。終始リラックスした雰囲気で、BRAHMANのイメージとは異なる穏やかな音を奏でていた。
TOSHI-LOWとMARTINにBRAHMANのメンバーとパーカッショニストのKAKUEIを加えた6人編成のアコースティックバンド、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDが結成されたのは、その直後。
- MARTIN(Vocal / Violin / Acoustic guitar)
- TOSHI-LOW(Vocal / Acoustic guitar)
- KOHKI(Acoustic guitar)
- MAKOTO(Contrabass)
- RONZI(Drums)
- KAKUEI(Percussions)
初ライブは2005年9月。同年11月に発表されたオムニバス『THE BASEMENT TRACKS -10YEARS SOUNDTRACK OF 7STARS-』に初音源となる『Dissonant Melody』を提供。翌年(2006年)7月にセルフタイトルの1stフルアルバムをリリース。
New Acoustic Camp
2007年にミニアルバム『all the way』、2009年に2ndフルアルバム『New Acoustic Tale』を発表したOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDは、2010年にキャンプイベント・New Acoustic Campを山梨県の道志の森キャンプ場で初開催。
往来のロックフェス以上に自由度の高いNew Acoustic Campは徐々に注目を集め、「ニューアコ」の愛称で親しまれる人気フェスに成長。2012年より群馬県の水上高原リゾート200に場所を移して毎年開催されている。
2015年からは静岡県の富士山樹空の森で姉妹イベント・ACO CHiLL CAMPもスタート。だが、5月に予定されていたACO CHiLL CAMP 2020は新型コロナウイルスの影響により開催中止。9月予定のニューアコも、現時点で開催の有無が発表されていない(2020年6月20日現在)。
『夢の跡』
2011年に発表された2枚目のミニアルバム『夢の跡』は、彼等のターニングポイントと位置づけることができる重要作。
東日本大震災の発生前から制作されていた今作は、震災の影響で当初の予定よりも2ヶ月遅れて発売された。リリース直後に江古田Buddyで観た彼等のライブで涙腺が緩んだことを今でも覚えている。
震災直後と同様の閉塞感に苛まれた今こそ、彼等の音を生で聴きたい。
OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDからOAUへ
2019年、バンド名義をOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDからOAUに改め、ドラマ『きのう何食べた?』と映画『新聞記者』の主題歌をカップリングしてリリースしたシングル『帰り道 / Where have you gone』は、ドラマ、映画と共にヒットを記録。
2014年発表の『FOLLOW THE DREAM』以来となる5年振りのフルアルバム『OAU』も制作され、レコ発のホールツアーも盛況のうちに幕を閉じた。
コロナ禍が収束した暁にはOAU、そして彼等の音楽を愛する人々と踊り明かそう。
(文・五辺宏明)
PROFILE
OAU(オーエーユー)
2005年に結成された日本のアコースティック・バンド。ハードコア・パンク・バンドBRAHMANのメンバーとパーカッショニストのKAKUEI、スコットランド系アメリカ人ヴァイオリニストのMARTINの6名からなる。アコースティック・ギター、ウッド・ベース、ドラムス、パーカッション、ヴァイオリンとヴォーカリストによる、欧米各地のトラッドやルーツ・ミュージックを巧みに織り込んだ独創的なサウンドで、ライヴでも多くの観客を魅了。(TOWER RECORDS ONLINEより抜粋)
メンバー
L→R
MAKOTO(Contrabass)
KAKUEI(Percussions)
TOSHI-LOW(Vocal / Acoustic guitar)
RONZI(Drums)
KOHKI(Acoustic guitar)
MARTIN(Vocal / Violin / Acoustic guitar)
活動開始
2005年
HP / SNS