【THE FOURCE インタビュー】ATSUSHI、KOHKI(BRAHMAN / OAU) ~異色であっていい。この4人が集まったときにどんな音が出るか

五辺 宏明

五辺 宏明

「【THE FOURCE インタビュー】ATSUSHI、KOHKI(BRAHMAN / OAU) ~異色であっていい。この4人が集まったときにどんな音が出るか」のアイキャッチ画像

舞踊家のATSUSHI、BRAHMAN & OAUのKOHKI(g)、シアターブルックの佐藤タイジ(vo,g,b)、和太鼓奏者の坂本雅幸による異色のセッション『THE FOURCE』。

代官山の「晴れたら空に豆まいて」で、これまでに3回(2020年11月20日、2021年4月9日、2021年7月13日)開催されている『THE FOURCE』は、早耳の音楽ファンや関係者から注目を集めている。

今回はATSUSHIとKOHKIのインタビュー。さらに取材中に現れた坂本雅幸にも同席していただき、 『THE FOURCE』の立ち上げから現在に至るまでの経緯や、即興でセッションする意義、今後の展望などを聞かせてもらった。

なお、インタビューの公開に併せて3回目のライブレポートも同時掲載しているので、そちらもご覧いただきたい。

cover photo by  コセ リエ


異色の4人が集結
——それでは、まず『THE FOURCE』がスタートした経緯についてお聞かせください。

ATSUSHI: 昨年、KOHKIくんとウチの屋上でBBQをしようという話になり、そのときにゆっくり話せて。それまでにもOAUのライブにゲストで出させてもらったこととかあったけど、あまり個人同士でやったことがなかったので、「やってみましょうか?」みたいな話になったのがきっかけです。

KOHKI: その1週間後くらいに、僕が佐藤タイジさんのラジオ『Love On Music』に出演したんですけど、ATSUSHIもタイジさんと仲が良いから、スタジオに遊びに来たんですよ。何もしなかったけど(笑)。

——(笑)。

KOHKI: ラジオだから、踊ってもね(笑)。僕とタイジさんはセッションしたんですけど。その帰り道に僕が閃いたのが、坂本雅幸で。彼がまだ鼓童(佐渡を拠点に活動するプロ和太鼓集団)に在籍していた頃、佐渡島でBRAHMANとセッションしたことがあるんですよ。鼓童から選ばれた3人のパワーヒッターとBRAHMANがやりまして。4年くらい前かな?

雅幸とは、たまに連絡を取ってたんですよ。で、雅幸が和太鼓のエレクトリックバージョンを(電子楽器メーカーの)Rolandと開発していて。そのプロモーション用として2人で作ったのが「村雨」という曲なんです。そんなことがあったから「雅幸を呼んでみたら面白いかなぁ」と思って、ラジオの収録の帰り道に電話して。

ATSUSHI: 俺も東北ライブハウス大作戦の本部長の西片明人さんから、雅幸のことを聞いていて。

KOHKI: BRAHMANと一緒にやったときも西片さんがPAだったし、鼓童がフジロックに出たときのPAも西片さんで。

ATSUSHI: そんな感じで名前は聞いていたから「どこかで会うかも」とは思っていて。そしたらKOHKIくんから雅幸の名前が出てきたから、「じゃあ、電話してみたら?」って言ったんです。

——タイジさんも、そのラジオの収録後に誘ったということですか?

ATSUSHI: そうですね。KOHKIくんとタイジくんがラジオでやったギターのセッションが良かったので。KOHKIくん、楽しそうだったから。

KOHKI: タイジさんって、適当に誰かが弾いたら、別の誰かがソロを乗っけるみたいなアドリブ、得意じゃないですか。だから「いい感じになるかも」と思って。

ATSUSHI: タイジくんとはセッションしたりして接点があったので「久しぶりに一緒にどうですか?」みたいな感じで俺から誘いました。後日、4人で会って。雅幸と俺はそこで「初めまして」みたいな(笑)。

——そのときは、みんなで演奏したんですか?

ATSUSHI: いや、その日は顔を合わせただけ。

KOHKI: ただの飲み会(笑)。

『THE FOURCE』を象徴する7拍子の「村雨」
——4人で初めて音を出した日のことは覚えていますか?

KOHKI: カバーの曲とかは、ほとんど練習しなかったよね(笑)。

ATSUSHI: やったのは、さっき話した「村雨」。俺は曲名を「THE FOURCE」に変えてやろうと思って何度も言ったんですけど、全然変わらなかった(笑)。

——(笑)。でも、ほんと決め曲って感じでカッコいいですよね。

ATSUSHI: KOHKIくんと雅幸が作ったあの曲があったのは相当大きいと思います。あれが基準になったっていうか。

ただ、7拍子なんだよね。雅幸のせいで(苦笑)。みんなで向き合って「1・2・3・4・5・6・7、1・2・3・4・5・6・7」って数えて。写真だとカッコ良く見えるけど、ウチらは必死に「1・2・3・4・5・6・7、1・2・3・4・5・6・7」って言ってるだけだから(笑)。

KOHKI: ちょっとマニアックな話になるけど、アタマってあるんですよ、拍子の。で、雅幸はアタマをわからなくするんですよ。カッコいいと思ってるんだよね。打楽器の人ってメロディとかコードがない分、そういう部分にこだわるんですよ。あいつ、すぐにわからなくする(笑)。

だから、数えながらやってるんですよ。必死だよね。1回でもズレたらヤバいもん。リハーサルもそれだけやってたから。

ATSUSHI: 先に「村雨」をやっちゃうと他の曲ができないから、最後にやろうって(笑)。

「村雨」
坂本雅幸 × KOHKI
youtube動画
誕生日のサプライズ
——メンバーが決定して、1回目が開催されたのが昨年11月20日。そこで手応えを感じたから、3回目まで続いたわけですよね?

ATSUSHI: そうですね。 1回目が楽しかったから「またやろうよ」みたいな感じで。

このご時世でなかなかライブをやれないけど、晴れ豆(晴れたら空に豆まいて)も頑張って店を開けようとしてたから「じゃあ、晴れ豆で3回やろうよ」という話になって。ある程度、目標を立てた方が続けることができるから。

KOHKI: 2回目が終わったときに、やっぱりカバー中心だし、オリジナルが1曲しかないので…。

ATSUSHI: 他人の曲を我が物顔でやるっていう(笑)。

KOHKI:(笑)。それで、雅幸と2人でスタジオに入って、ちょっとネタを作って。その後のリハーサルでタイジさんも反応してくれて。ガッチリ決めるのではなく、構成だけ覚えてライブに臨むような感じで2曲作って、3回目にやったんですよね。

——その2曲のようなオリジナル曲が徐々に増えて、『THE FOURCE』に行くとこの曲が聴ける! みたいな感じになると良いですよね。「村雨」をはじめとするオリジナル曲とソウル系のカバーを聴けるのが『THE FOURCE』みたいな。

ATSUSHI: 自分も元々ブレイクダンサーで、クラブ上がりだったりするし、KOHKIくんもブラックミュージック好きだし。

KOHKI: ダンスミュージックとかディスコとか好きですよ。

ATSUSHI: 共通するものがあったので、その要素も入れつつ。それで2回目のオープニングはDJのハマちゃん(濱田大介)が流したSLY & THE FAMILY STONEの曲に被せて演奏を始めたし。そういうのも面白いかなって。

KOHKI: タイジさんもソウルとかファンクとか大好きなので、感覚的にわかりあえるところがある。

——でも今回は、まさかのJOURNEYのカバーでしたけど(笑)。

KOHKI: 今どき、JOURNEYの曲ってやらないですよね(笑)。まさか自分がやるとは。いきなりタイジさんが「これやろう」って言い出したから。

ATSUSHI:「Don’t Stop Believin’」って、みんな知ってるじゃないですか。でも、実際にライブでやってる人って見たことない(笑)。

——1、2回目がブラックミュージック寄りの選曲だったので意外でした。今回はロック寄りの選曲でしたよね。

ATSUSHI: そして、シンディ・ローパーの「Time After Time」。堀幸起さん(KOHKIの本名)がヴォーカルで(笑)。

KOHKI: ほんと、勘弁してよ。

——KOHKIさんの誕生日祝いのサプライズでケーキを持って現れたTOSHI-LOWさん(BRAHMAN / OAU)が「次のアルバムはギター&ヴォーカルの堀幸起で!」って言ってましたもんね(笑)。

KOHKI: 絶対にないよ。ない、ない、ない。

ATSUSHI: 同じバンドのメンバーの前で歌うなんて、絶対に俺はできない(笑)。

KOHKI: 知らなかったからできたけど。ほんと、全く知らなくて。パッと出ていったらMAKOTOくん(BRAHMAN / OAU)の顔が見えたんだよ。他にも知り合いがたくさん来てたんですけど、奥の方は暗くてステージから見えないんですね。そこにいたらしくて。アンコールまで全く気づかなかったんです。

ATSUSHI: 3回目をやることになって、雅幸とKOHKIくんと3人で会ったときに、みんなの誕生日を聞いたら、KOHKIくんの誕生日が7月13日で一番近かったから「そこじゃん!」ってなって。そういうこと、全然言わないから(笑)。

KOHKI: でも、嬉しかったよ。あんなの初めてだったから。嬉しいけど照れくさいっていうか。

——KOHKIさんが歌うことになった経緯は?

KOHKI:  2回目が終わった後に、タイジさんから「そろそろ、KOHKIも歌った方がええんちゃう?」って言われて。そのときはみんな酔っ払ってたから「覚えてないだろうなぁ」と思っていて。

後日、スタジオに入ったときに何も言われなかったから、「忘れてるな、しめしめ」と思って、黙ってたんですよ。でも、トイレに行って、戻ってきたらセットリストに「Time After Time」って書いてあって。

——(笑)。

ATSUSHI: KOHKIくんがトイレに行ってる間に「Time After Time」をセットリストのどこに置こうかって、みんなで話して。「サプライズのケーキの後はやりづらいよなぁ。じゃあ、本編の最後に」ということになって。

KOHKI: サプライズの後だったら地獄でしたよ…。

ATSUSHI: でも、メンバーが来てくれるというのも、いい話じゃないですか。TOSHI-LOWくんがKOHKIくんにケーキを渡しているのを「なんかいい画だなぁ」と思いながら見てましたもん。

バンドでもなく、ユニットでもなく


KOHKI: 僕、1回目をやるまでは、ダンスイベントだと思っていたんですよ(笑)。あくまでもATSUSHIが踊るイベントみたいな。僕らが演奏して、ATSUSHIがメインアクトというイメージ。

ATSUSHI: まぁ、俺的にはもうちょっと並列でもいいのかなと思いつつ、でもやっぱり「普通のライブではできない視覚的なことをやりたい」というのもあるから。舞台とライブの中間みたいなことをやれたらいいなと。

KOHKI: 音もそう。和太鼓とエレキギターだったりアコギだったり、タイジさんっていうヴォーカル&ギターがいたり、ATSUSHIがいたり。そのマッチングは異色であっていいかなと思って。例えば「この曲はドラムの方がいいよ」って言われても、そういう問題ではないというか。この4人が集まったときにどんな音が出るかっていうコンセプトで。

本当は、和太鼓が合わない曲もあるんですよ(笑)。そこを無理矢理やるのが面白い。

ATSUSHI: 自分も日本の郷土芸能と一緒にやらせてもらっているから「あまり混ぜる必要ないんじゃない?」という意見があるのもわかる。でも、和楽器と洋楽器を混ぜる楽しさもあると思っていて。何か違うアプローチの仕方みたいなことを、このロックバンドをやってきた人達と一緒にやるっていう面白さがある。

KOHKI: 逆に雅幸は新鮮かも。伝統的なものを彼はずっと修行してきたわけで。

ATSUSHI: 多分、みんな好奇心があるんじゃないですかね。『THE FOURCE』の中で、ちょっとチャレンジしてみよう!みたいな。それぞれにテーマがあって。でも、そのテーマをみんなが合わせる必要もないと思うし。

——みなさんにとって『THE FOURCE』は、新しく組んだバンドのようなものなのでしょうか?

ATSUSHI: バンドを組むというよりは、バンドでもユニットでもないし、グループでもない…グループなのかな?

KOHKI: バンドではないよね。

ATSUSHI: 新たなカタチみたいなものを、ギターと和太鼓と踊りという面白い組み合わせで、何かを見つけたいという思いがあって。

KOHKI: ATSUSHIはいろいろな人と2人でやるんですよね。例えばSOIL&“PIMP”SESSIONSのタブくん(タブゾンビ)とか丈青くんとか。『THE FOURCE』はその延長線上の4人だと、僕は思っていて。きっちりバンドとしてやるって感じでもないというか。

ATSUSHI: 模索中といえば模索中。まぁ続けていけば追々なるのかなぁ、とも思ったりもするし。

この前、OAUのツアーファイナルの野音にお邪魔させてもらって。そのときは、あくまでもOAUの曲に踊りを合わせたんですけど、自分達がやるときは踊りに合わせてもらうっていうのもやってみたい。

個でやるとKOHKIくんのギタリストとしての凄さがよくわかるんですよ。それまでは「BRAHMAN、OAUのギタリストのKOHKI」みたいな感じで見ていたけど。さっき名前が出たタブゾンビとか丈青もそうですけど、個でやるとその人達の凄さがわかる。

即興で感情を表現する
——周囲の反応はいかがですか。特に音楽関係者から反響があると思うんですけど。

ATSUSHI: 若干、玄人好みっぽいです。でも、名前があるのがいいみたいですね。バンドではないけど『THE FOURCE』という名前があるから、周りから「『THE FOURCE』、やってるよね?」みたいな。「ATSUSHI × KOHKI × 坂本雅幸 × 佐藤タイジ」じゃなくて、『THE FOURCE』っていうのがあるのは大きいかも。

——『THE FOURCE』って造語ですよね。誰が名付けたんですか?

ATSUSHI: 俺ですね。造語です。4人(four)と『スター・ウォーズ』のフォース(The Force)をかけてる。『スター・ウォーズ』のThe Forceをそのまま使って、何か言われたら嫌だなと思ってスペルを変えて(笑)。みんなに相談したら、タイジくんが「造語にしちゃえばいいんじゃない?」って。

KOHKI: そんな話、したっけ?

ATSUSHI:(呆れたように)KOHKIくんって、ほんと、全然覚えてないよね。ビール、飲みすぎなんじゃない?

——(笑)。

ATSUSHI: それから、もし今後、集合体みたいにやっていこうと思ったときに、4だと「それに縛られてしまうのかも?」とも思っていて。

KOHKI: 現にハマちゃんもメンバーみたいになってるから。ハマちゃんのDJも凄く大事な要素で。今はコロナで時間が厳しいけど、ゆくゆくはライブの前後をハマちゃんにやってもらって、その後はDJイベントみたいにしたいんだよね。そこからはずっと飲み!みたいな。みんなでDJをやっても良いし。

DJがかけるレコードを聴いて「あっ、これいいじゃん、次回やろうよ」みたいなこともありだと思う。

——4回目はもう決まってるんですか?

ATSUSHI: まだ決めてないです。当初の目標は、3回目までは晴れ豆でやろうって。それを終えたら、俺は東京出身なんですけど、KOHKIくんが和歌山で、雅幸が岡山、タイジくんが徳島なので、それぞれの地元に行くとか。

KOHKI: でも、地方で『THE FOURCE』はまだ早いかな。もうちょっと固まってからの方がいいと思ってるよ、俺はね。特に地元の和歌山県新宮市は、BRAHMANでもOAUでも行ったことがないので。

ATSUSHI: まぁねぇ。だから、まだ模索中です。無理なく自然に続けられたら。

——『THE FOURCE』のステージに立つことで得られるものってあります? 普段の活動とは異なる感情が湧き上がるとか。

KOHKI: 僕はBRAHMANとOAUをやってるから、歌モノの良さも知ってるし、『THE FOURCE』みたいな自由な感じも良いと思っていて。タイジさんのギターソロがいい感じだったらもう一周するし、何も決めてないけど誰かがイントロにソロを乗っけたり。そういうのもありっていうか。

「夢の跡」っていうOAUの曲もやっていて、本当は歌モノなんだけど、インストゥルメンタルで尺を伸ばしたり縮めたりして。タイジさんが「歌メロを弾いた方がいいかな?」って聞いてくれたけど、アドリブで弾いてもらって。そういうところが面白いかな。

でも、決まった音が好きなお客さんもいるじゃないですか。そういう人は不満かもしれないけど。

——毎回違う音が聴けるのは贅沢な気がしますけど。

KOHKI:「これ!」っていうのを聴きたい人もいるじゃないですか。でも全部それにしちゃうとダメなんで、その辺のバランスはとってますけどね…とってないか(笑)。

ATSUSHI: ミュージシャンじゃない俺が言うと偉そうに聞こえちゃうけど、こういう即興セッションをできる人が本当に少ないんですよ。だからこの素晴らしさをわかってほしいというのもありますね。

KOHKI: ロックの人でそういうことをやってる人って少ないですよね。ジャズやブルースのミュージシャンはたくさんいるけど。

——スキルの問題なんですか?

KOHKI: スキルというより、そういうものが好きかどうかじゃないですかね。つまらないと思えばやらないだろうし。僕は面白いと思っているからやってるけど。聴いてる人だってそうだろうし。

ATSUSHI: 踊りもそうですけど、決められた楽曲を決められたサイズでやることはもちろん素晴らしいと思います。その中で喜怒哀楽を出して、ピシっとやるっていうのは。でも、もっと人間っぽく、そのときの感情を表現してもいいのかなぁと思ったりして。

ただ、プレッシャーもありますよ。「夢の跡」をやる時は、やっぱりオリジナルを汚してはいけないんですよ。だから、歌詞を読んでいったりするけど。でも、始まったらその時の感情があるというか。この前の「夢の跡」は、俺がすげぇ長く踊りすぎちゃって、ごめんなさい(笑)。

——(笑)。

ATSUSHI: あと、KOHKIくんに曲の背景を聞いたり。そういうことが糧になってると思います。

この前、西日本豪雨から3年ということで、雅幸と岡山に行ったんですよ。和太鼓と踊りの旅をしながら、いろいろ話を聞けて。雅幸の思っていることとか、鼓童でやってきたこととか。そういうことを知れるのも嬉しいし、次に繋がっていくと思うし。

KOHKI: 雅幸をもっと前に出したいよね。

ATSUSHI: いないから言えるけど、岡山に行ったときに「やっぱり凄いな」と思いました。

——ちなみに、「村雨」のコンセプトって…
(ここで坂本雅幸が登場)

KOHKI: ちょうど雅幸の話をしていたところ(笑)。

ATSUSHI: ずーっと雅幸の悪口を言ってたところ(笑)。

坂本: 酷い(笑)。

KOHKI: 雅幸、「村雨」のコンセプトって、何かあったっけ?

坂本: コンセプトですか…。これ、インタビューですか?

——はい(笑)。

坂本: そうですねぇ。電子太鼓という新しい楽器を使っていて。和太鼓の音を使いつつ「ドンドコドンドン、ドンドコドンドン」じゃないようなものを作れたらなぁと思って、7拍子で。7拍子の中でも、どこがアタマかわからなくなるような複雑な7拍子。ハマってるんです(笑)。

——(爆笑)。

KOHKI: さっき「あいつ、アタマをわからなくする」って話してたんだよね(笑)。

ATSUSHI: ずっと、その苦情を話してたの(笑)。

坂本: 本番中もみんなで数えてますもんね(笑)。

KOHKI: でも、確かに和太鼓でああいう音とかリズムってないよね。和太鼓であんな感じの曲をやってる人っているの?

坂本: あまりいないですね。音は和太鼓の音なんですよ。でも、電子楽器なので余韻をカットできるので。余韻が長いと他の楽器を邪魔しちゃうから、かなりカットしています。

——坂本さんは『THE FOURCE』のお三方とやっていて、いかがですか?

坂本: 新鮮ですね。バンドとは違う業界でやっていたので。でも、学生の頃はドラムを叩いていたので、ずっと憧れがあって。こういうところに仲間に入れていただけたので、「少しずつ壁をなくしていけたらなぁ」というのが自分の中ではあるんですけど。

——和太鼓の業界の方々は、こういうコラボレーションをどう思ってるんですか?

坂本: 簡単そうで結構難しいんですよ。ドンドコドンドンみたいな太鼓にギターを入れちゃったりして「正直ピンとこないな」っていうのが多いんですけど、この前のライブに和太鼓のお客さんもたくさん観に来てくれて「凄くカッコいい」って言ってくれたので。今後も多くの方に観てもらいたいですね。

KOHKI: 雅幸が一番いいことを言ってますね(笑)。

坂本: 太鼓の方に戻るとやっぱり壁みたいなものがあるんですよ。でも、『THE FOURCE』でやってるとジャンルとか感じてなくて。

ATSUSHI: 今の時代、デジタルとプリミティブなものとの共存って凄く課題だと思っていて。その混ぜ方のセンスみたいなものが重要になってくると思ってます。でもやっぱり、人間らしくいたいから感情を大切にしたいし、それを良い形にしたい。そういうことをできるのが、『THE FOURCE』の魅力かもしれませんね。

(取材・五辺宏明、三橋温子)
(文・五辺宏明)
(撮影・コセリエ)


OFFICIAL WEB SITE

ATSUSHI
http://www.atsushi-takahashi.com/

KOHKI(tactics records)
https://tc-tc.com/

佐藤タイジ
http://taijinho.com/

坂本雅幸
https://www.masayukisakamoto.com/

『THE FOURCE』LIVE REPORT

vol.1(2020年11月20日)
vol.2(2021年4月9日)
vol.3(2021年7月13日)