2021年7月13日、代官山のライブハウス「晴れたら空に豆まいて」で、3回目の『THE FOURCE』が開催された。
舞踊家のATSUSHI、BRAHMAN & OAUのKOHKI、シアターブルックの佐藤タイジ、和太鼓奏者の坂本雅幸が集結した『THE FOURCE』。異色の面子によるこのセッションイベントは、これまでに同会場で2回行われている（2020年11月20日、2021年4月9日）。
過去2回は会場で拝見させてもらったが、今回は配信で視聴。個人的な事情になるが、右膝前十字靭帯の再建手術を行った為に会場に行けず、記事を書くことを諦めていたが「こんなご時世なので、配信で観たものを記事にしても面白いのでは？」と、ATSUSHIが提案してくれた。
なお、イベントを終えたATSUSHIとKOHKIのインタビュー記事も同時掲載。終盤には坂本雅幸も参加してくれたので、併せてご覧いただきたい。
cover photo by コセ リエ
配信で観た『THE FOURCE』
L to R: Taiji Sato (g,b,vo), Atsushi (odori), Masayuki Sakamoto (taiko-1), Kohki (g)
オープニングは、瀬戸内の豊島で撮影されたATSUSHIと坂本によるパフォーマンス。この映像は、実際に会場でも流れたという。
映像にギターの音が重なり、画面に『THE FOURCE』のロゴが表示されて本編がスタート。4拍子の新曲、そして「村雨」。電子楽器メーカーRolandの企画で坂本とKOHKIが共作した『THE FOURCE』を象徴する名曲である。
メンバーの表情や楽器を奏でる指先、ステップを踏むATSUSHIの足もとが四角い画面いっぱいに映し出される。様々な角度から見られるのは、配信ライブならでは。
冒頭の2曲でベースを担当していた佐藤がギターに持ち替え、「Europa (Earth’s Cry Heaven’s Smile)」のあまりにも有名なあのフレーズを弾き始めた。「哀愁のヨーロッパ」の邦題で知られるSANTANAの名曲を『THE FOURCE』のステージで聴くことになるとは。
4曲目にして初のヴォーカル曲は、佐藤の2ndソロアルバム『My Hero』収録曲の「朝焼けのHumanity」。この曲も『THE FOURCE』で毎回披露されている。
KOHKIが「あの、ウチのカクさん、いらっしゃいます？」と、過去2回の『THE FOURCE』に飛び入りしているOAUのKAKUEIを呼び込もうとするが、まさかの不在（笑）。結局、4人でOAUの「夢の跡」をインストで。
（開演時から来場する予定だったKAKUEIが会場に姿を現したのは、ライブ終了後とのこと）
続いて6拍子の新曲。この曲でも佐藤はベースを弾いている。今回披露された新曲はどちらも素晴らしいインストナンバーで、是非このメンバーで録音していただきたい。できればATSUSHIの舞をフィーチャーした映像作品と共に。
ATSUSHIがステージを去り、再びギターを手にした佐藤が「この曲は凄いよ」と言って弾き始めたのは、JOURNEYの「Don’t Stop Believin’」。SANTANAの「哀愁のヨーロッパ」といい、この日の洋楽カバーはいつも以上にロック色の強い選曲だった。
そして「夢とトラウマ」。シアターブルックの曲を歌う佐藤の隣でATSUSHIが静かに、時に激しく舞う。ギターソロを弾いているのはBRAHMANのKOHKI。その後方で鼓童出身の坂本が、担ぎ桶スタイルの電子和太鼓Taiko-1を鳴り響かせている。
地方の音楽ファンや、私のように怪我や病気などの理由でライブハウスに足を運ぶことができない人々が、この珍しい編成のセッションを堪能することができたのは、配信ライブが定着したからこそ。
（もちろん、コロナなんてものが無ければ良かったのだけれど）
本編ラストは、シンディ・ローパーの「Time After Time」。なんとヴォーカルはKOHKIが担当。滅多にお目にかかれない「歌うKOHKI」の雄姿を会場で観られなかったことが悔やまれる。
アンコールに応えてKOHKIがステージに現れると、スティーヴィー・ワンダーの「Happy Birthday」が流れ出して、バースデーケーキを手にしたTOSHI-LOW（BRAHMAN / OAU）が登場。
この日はKOHKIの誕生日。どうやら、KOHKIに内緒でBRAHMAN / OAUのメンバーや多くの友人達が会場に詰めかけていたらしい。KOHKIは全く予期していなかったという。
サプライズが見事に成功し、お祝いムードのまま「村雨」を再演。『THE FOURCE』を締めくくるのは、やはりこの曲であった。
最後に「濱田大介のDJが素晴らしかった」というKOHKIの言葉を付け加えておく。配信で聴くことができなかった彼のDJプレイを楽しむ為にも、次こそは会場に伺いたい。
（取材／文・五辺宏明）
（撮影・コセリエ）
THE FOURCE
2021年7月13日 @晴れたら空に豆まいて
Opening Movie
1. 4 (Four)
2. 村雨
3. Europa (Earth’s Cry Heaven’s Smile)
4. 朝焼けのHumanity
5. 夢の跡
6. 6 (Six)
7. Don’t Stop Believin’
8. 夢とトラウマ
9. Time After Time
1. 村雨
ATSUSHI (odori)
KOHKI (guitar) – BRAHMAN, OAU
佐藤タイジ (guitar, vocal, bass) – シアターブルック
坂本雅幸 (taiko-1)
濱田大介 (DJ) – Little Nap COFFEE STAND
『THE FOURCE』LIVE REPORT
vol.1（2020年11月20日）
vol.2（2021年4月9日）
vol.3（2021年7月13日）
『THE FOURCE』INTERVIEW
【THE FOURCE インタビュー】ATSUSHI、KOHKI（BRAHMAN / OAU） ～異色であっていい。この4人が集まったときにどんな音が出るか
