敏腕音楽制作Dが新人アーティストを発掘!『IMALAB』初の無料配信ライブを見逃すな

三橋 温子

三橋 温子

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オンラインライブの魅力はなんといっても、その手軽さにある。物理的にライブに行けない場合はもちろんのこと、「気になるけどライブに足を運ぶほどでも…」と二の足を踏んでいたアーティストを一見するには抜群に都合がいい。最近はオンラインのフェスやサーキットイベントも増えており、画面の向こうに思わぬ出会いが待っていることもしばしば。

9月28日(月)に開催される無料オンラインライブ『IMALAB LIVE EXPERIMENT #01』もそのひとつだが、ものすごく注目している点がある。それは、フジファブリックや10-FEETを手がけてきた音楽制作ディレクターの今村圭介氏(ユニバーサルミュージック/EMI Records)が主宰する新人アーティスト発掘プロジェクトの一環であることだ。

出演アーティストは、応募者の中から今村氏が厳選した3バンド。果たしてどんなパフォーマンスで視聴者を沸かせてくれるのか。


リアルライブの代替ではない、コロナ時代の新たなライブを

「何年も何十年も、一緒に音楽でドキドキできる新人アーティストを探しています」

今年7月の今村氏のツイートから、新人アーティスト発掘プロジェクト『IMALAB』はスタートした。同氏はBase Ball Bearや10-FEET、9mm Parabellum Bullet、SILENT SIRENなど数多くのアーティストを担当してきた音楽制作ディレクター。フジファブリックをメジャーデビューへ導き、人気バンドへと成長させた立役者でもある。

今村氏のツイートに反応したアーティストは800組以上。そのうち3組をセレクトして開催されるのが、下北沢ReGから無観客でライブ配信する『IMALAB LIVE EXPERIMENT #01』である(一部収録あり)。

「今回のオンラインライブはリアルライブの代替ではない」と『IMALAB』は表明している。コロナ時代の新しい表現方法として、オンラインだからこそできるライブ表現を目指しているという。正直、リアルライブに勝るとも劣らないオンラインライブならではの刺激的な体験に、個人的にはまだほとんど出会えていないので、その部分にもかなり期待を寄せている。

個性派ぞろいの出演アーティスト3組

サヨナラの最終回

物語を綴る、空想ロックバンド。歌とイラストを担当するシバタカヲルを中心に結成。「誰のものでもない物語は、時にして、誰の物語にもなりえる。」という信念のもと、まだ見ぬアナタに物語を届ける。

バンド名からすでにポエティックなムードが漂う横浜発の4ピースバンド、通称「サヨサイ」。最初に聴いた曲『I’m i』は、伸びやかで少し切ないギターリフが心地よく記憶に残った。かと思えば、ボカロPと誤解しそうなほどキャッチーな『才或る兎は侮らなゐ』のような曲もあり、ものの数分でまんまとサヨサイワールドに引き込まれてしまった。

メンバー4人はいじめられっ子や引きこもりなど、世間でいうところの「負け組」だったという。だからこそ彼らの曲たちに救われる人がいて、結成翌年の小田原イズム2016で優勝するといった実績につながっている。弱さを音楽という武器に変えた彼らは、もう負け組などではない。

NIYOCO

2019年12月2日、ホームレスで無職で引きこもりのボーカル川瀬を中心に結成。力強く疾走するバンドサウンドに、印象的な声。中毒性のあるメロディーと、嘘偽りのない言葉。ドン底から「未来はここにある」と、存在ビームを発射する3人組バンド。

こ、これは……とんでもない新人バンドが現れてしまったようだ。とにかく一度『マフエル』を聴いてみていただきたい。チャイニーズ風のサウンドに衝撃のリリック、ほのかに狂気すら感じるMV。これが単なるコミックバンドの域にとどまっていないのは、生きることに不器用で、ときには死に手招きされ、それでも懸命に息をしようとしている者の気配を確かに感じるからだ。

『存在ビーム』『FOOLIGUN – 暗いBOY』も歌詞がすごくいい。Vo./Gt.川瀬祐一のハイトーンボイスにマッチしている。彼がホームレスで無職で引きこもりだったとは想像しがたい。お酒でも飲みながら半生をじっくり聞いてみたい。

blondy

2018年結成の大阪出身の3ピースロックバンド。90年代オルタナティブ・ロックを彷彿とさせるような、浮遊感のあるクリーントーンと轟音の中から優しく真っ直ぐ聞こえてくるメロディーは、観るものに懐かしさ、心地よさを見せる。

90年代オルタナティブ・ロック。大好物である。主張しすぎないのに芯があるバンドサウンドは、自然と耳に馴染んではじめて聴いた気がしなかった。青く切ないメロディーが印象的な『united』、コーラスが重なるサビに胸がきゅっとなる『九月』。マニアックだが、『九月』のラストのサビ前に1小節だけシンコペーションが入るところはとくにグッとくる。

楽曲の透明度をさらに増しているのは、Vo./Gt.奥野陸が綴る歌詞。気取らず、でも美しく日常を切り取った言葉たちは、多くのリスナーの心に穏やかに届くだろう。

始まったばかりの「実験的プロジェクト」を見逃すな

自らを「実験的プロジェクト」と称する『IMALAB』。今回の第1弾ライブに続き、今後も新人アーティストを発掘・発信するさまざまな企画が登場することになると思われる。

まずは9月28日の夜に、注目の3組が織りなすステージを見届けたい。『IMALAB』参加クリエイターがデザインした各バンドのオリジナルTシャツも販売しているので、そちらもぜひチェックを。

IMALAB LIVE EXPERIMENT #01

日時: 9 月28 日(月)20:00~ オンライン配信
※アーカイブ配信も予定しています
出演: サヨナラの最終回 / NIYOCO / blondy
料金: 無料
プラットフォーム: ツイキャス(URLは後日発表)

(文・三橋温子)