あなたと話したい、明日からの地球のこと。音楽の力を借りて気候変動問題を考えるイベント『Climate Live Japan』

望月 柚花

望月 柚花

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熱波による森林火災、ゲリラ豪雨や巨大台風をはじめとする異常気象、海面の上昇など、気候変動問題はもはや他人事ではありません。気候変動問題が取り返しのつかないことになってしまう「ティッピングポイント」までおよそあと7年と言われています。

何もかもを失ってしまう前に、私たちに何ができるのか。

Climate Live(クライメイトライブ)は、世界40か国の学生が主体となり、気候変動問題への理解と行動喚起を目的とする音楽ライブイベントを主催する団体。2021年4月24日(土)と10月16日(土)に各国でイベント開催を予定しています。

今回は、「ウチらの声で、世界は変えられる」というスローガンを掲げ、日本でのイベント開催へ向けて準備を進めているClimate Live Japanの共同代表である小出愛菜さん、髙橋英江さん、山本大貴さんに、気候変動問題とイベント開催についてのお話を伺いました。

cover photo ©Climate Live Japan PR 事務局


気候変動問題を知り、活動を始めたそれぞれのきっかけ

Climate Live Japan共同代表の小出愛菜さん(左下)、髙橋英江さん(左上)、山本大貴さん(右下)、ライター望月(右上)

——最初に、Climate Live Japanはどういった経緯から始まったのかをお聞きしたいです。

小出: もともとClimate Liveは、音楽を通じて気候変動の危機を伝えるためにイギリスの高校生が始めたものなんです。私たちは、スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんの呼びかけからスタートした学生運動『Fridays For Future』(以下:フライデーズ)に参加しているのですが、そのフライデーズ経由で「Climate Liveを日本でもやってみないか」という話を受けたことがきっかけでした。

そこからフライデーズの日本メンバーの中で主旨に賛同した者たちから実行委員会が立ち上がり、今に至ります。現在では世界40か国でイベントの開催が決まっています。

——みなさんが環境問題に関心を持ち、Fridays For Futureに参加しようと思った経緯は?

小出: 私はもともと環境問題に関心があって、そういった問題について学んだり調べたりしてきたのですが、実際に行動を起こすことはなかったんです。でもある時、私よりも年下であるグレタ・トゥーンベリさんが行動を起こしたのを知って衝撃を受けて。それからは自分も何か行動しようと思い、フライデーズの活動に参加し始めました。

山本: 僕は去年の3月に高校が休校になったタイミングでフライデーズに参加して活動を始めました。きっかけが大きくあるわけではないのですが、今までずっと異常気象や熱波による森林火災に対してはおかしいなと感じていたんです。そんな中、学校にSDGsの会というサークルがあってそういったコミュニティーの人たちと出会い、その流れでフライデーズを知って「ちょっとやってみたいな」という軽い気持ちで活動を始めました。

——気候変動問題への活動とは具体的にどういったことをされているのでしょう。

山本: 内容は人それぞれだと思いますが、僕の場合は異常気象による災害ボランティアや、フライデーズへの参加、そしてClimate Live Japanの共同代表としての活動です。2019年の台風19号の時には災害ボランティアとして栃木県佐野市に行ったのですが、実際に災害の現場に行って感じたことは色々ありましたね。それ以来、気候変動問題に対して自分は何ができるのかをずっと考えています。

——山本さんは気候変動問題への行動として、ご自身もヴィーガンになられたと伺いました。

山本: 畜産業はメタンガスなどの温室効果ガスを大量に排出しているため、もともとは温室効果ガスの排出量削減という観点からヴィーガンになったんです。お肉を食べる機会を少しずつ減らしていこうという軽い気持ちで始めたのですが、意外にもご飯が美味しくて、体調も良くなりました。

ヴィーガンというとストイックなイメージがあるかもしれませんが、ポジティブにやっているので我慢という感じは全くしないですね。気持ちも明るくなりましたし、ヴィーガンになったことをきっかけに、気候変動問題だけではなく食品ロス問題について考えることも増えました。

——それは素晴らしいですね。髙橋さんはどんなきっかけで環境問題に関心を持ちましたか?

髙橋: きっかけは幼少期に見た気候変動問題に関するドキュメンタリー。それを見て気候変動という問題があることを知りました。当時ポルトガルに住んでいたのですが、10歳のころに日本に戻ってきたら政治的な話や社会問題についての話を友達と気軽にすることが「普通」ではなくなってしまい、しばらくそういった問題について考えることから離れていたんです。大学に入学してようやく気候変動に対する活動をしている人たちがいると知り、私もフライデーズに入りました。

——日本とポルトガルで、気候変動などの環境問題についての取り組み方の差は感じますか?

髙橋: 感じますね。私が当時住んでいたポルトガルのリスボンは自然が豊かな土地で、自然を身近に感じたし、簡単に自然と関連性を持つことができていました。夏になると山火事も結構ありましたし、そういう問題が本当に身近にあったんです。だからみんなで話題にしやすかった。

——日本では環境問題や社会問題などを話すことが嫌厭される傾向が強いとは感じているのですが、やはり他国と日本では違うものなのですね。日本で活動をする上で大切にしていることはありますか?

髙橋: フライデーズでは政府や企業に直接訴えかける政治的なアプローチを多くするのですが、私はその前の段階、世の中の人たちに色々知ってもらうことが政治的なアプローチの成功につながると思っているので、Climate Liveをきっかけに気候変動問題について知ってもらうことがまずは大事だと思い活動しています。

ライブやトークセッションを交えたイベント『Climate Live Japan』
——4月24日開催のClimate Live Japanがどういった内容のイベントになるのか詳しくお伺いしたいです。

小出: 4月24日のClimate Live Japanでは、新型コロナウイルスの影響も踏まえ、新宿LOFTから無観客でのYouTube無料生配信という形をとることにしました。アーティストによるライブだけではなく、環境問題に取り組んでいる方をゲストに迎えたトークセッションなど、盛りだくさんのコンテンツを企画制作しています。

——出演アーティストやトークゲストにはどんな方々をお招きしているのでしょう。

山本: ライブにはアーティストのAnlyさん、ermhoiさん、ローホー(RowHooMan)さんをお招きしています。また、「気候変動のウソ・ホント」をテーマにしたトークセッションには環境活動家の神澤清さん、気象学者の江守正多さん、エナシフTVの前田雄大さんをゲストに、もうひとつ「これからの社会をつくるうちらができること~衣食住~」というテーマのトークセッションにはモデルの長谷川ミラさん、未来リナさん、積水ハウス株式会社の酒井祥樹さんをお呼びしています。

——環境問題に関するトークセッションは「難しく学術的なもの」というイメージがあったのですが、身近なことをテーマにされているのですね。Climate Live Japanの前に行われる『CL week』はどんな企画ですか?

髙橋: 4月24日のイベントを盛り上げるだけではなく、音楽以外の方法でも様々な観点から気候変動問題を知ってもらうため、Japan独自の企画として『CL week(Climate Live week)』を4月19日から23日に開催します。

こちらも映画上映やトーク企画など本当に盛りだくさんのイベントにするので、色々な視点から見ていただいて少しでも気候変動問題に関心を持っていただければ嬉しいです。

——今回、イベントの出演アーティストや賛同者への声かけは、どのように行われたのでしょうか。

小出: 私たち学生のメンバーと一緒に各方面で専門的に動き、イベント運営や情報発信、楽曲周りの配信などをしている「アドバイザー」というポジションの方々がいて、賛同者の方を紹介していただいたりしました。私たちがこういった方に声をかけたいとお願いをし、お手紙を書いて渡していただき、賛同者になってもらうという形をとっていました。

山本: (先日ヂラフマガジンにインタビューが掲載された)シアターブルックの佐藤タイジさんに関しては、代々木公園で行われていたライブイベントに僕と髙橋さんの二人でお会いしにいって、様々なお話を伺いました。その後正式にオファーし賛同者になっていただきましたが、音楽だけではなく環境問題にも興味を持ち貢献しようという想いで活動されている佐藤さんから「頑張れよ!」と力強い応援の声をいただけたのが嬉しかったですね。

——気候変動問題に興味を持ってもらう手段として、音楽を選んだ理由を教えてください。

山本: そもそもイギリスの高校生がClimate Liveを立ち上げたのは、クイーンのメンバーであるブライアン・メイが「気候危機を訴える『Live Aid』のようなイベントがあれば出演したい」と発言したことがきっかけでした。

僕は昔からピアノをやっていたのですが、音楽を通じて気候変動の危機感を伝えることは、即興でピアノを鳴らす時に感情をのせて組み立てていくあの感覚に似ている気がするんです。音楽は世界共通言語なので、音楽を介することで、国を超えて色々な人たちと「気候変動を止めたい」という想いを共有できると感じています。

「ウチら」のこれからのために
——Climate Live Japanの開催に向けて、苦労したことや意識したことなどはありますか?

髙橋: いつも感じているのは「見せ方」の難しさですね。学生運動というものは社会問題に興味がある人でないと冷めた目でみられてしまうことが多いのですが、そうならないように気候変動に興味をもってもらうのが大事だと思っていて…でも、学生主体の活動であるという事実は隠せないところもあります。そこのバランスの取り方はいつも意識しています。

現在行っているクラウドファンディングでは、開始2日で目標金額を達成でき、温かい応援コメントもたくさんいただいています。みなさんの前向きな気持ちを目に見える形で実感できて、大きな励みになっています。

小出: 私の場合は、気候変動を伝えたいという気持ちはあっても自分を含むメンバーのほとんどにイベント企画の経験がなく、0からのスタートだったことですね。

山本: そうですね。僕も、気候変動を多くの人に知ってもらうためには今までのアプローチではいけないとずっと考えていて。「音楽の力を借り、さらにそれを最大活用するにはどうすればいいか」ということを常に考えながら企画を進めています。

髙橋も言っていましたが、こういう活動をしていると、どうしても心ない批判を受けてしまうことがあります。そんな時、僕は本当に音楽に助けられてきました。好きな音楽を聴いていると心が落ち着き、自分たちを応援してくれる人がいることや、自分の想いと行動が間違っていないことを再認識できる。そういう音楽の力を、Climate Live Japanでも最大限に発揮できればと考えています。

——Climate Live Japanの「#ウチらの声で、世界は変えられる」というコピーは、前向きで切実で、すごく素敵だなと感じました。あの言葉は一体どんなふうに生まれたのでしょうか。

髙橋: プロのコピーライターの方に相談して協力いただきつつ、メンバー全員で何をイベントで伝えたいかを考えて固めていきました。これから変えていくことを担う同世代へのメッセージとして「ウチら」という一人称複数を使っています。

小出: ちなみに、私たちは現在、SNS投稿へのいいねやRTの数、動画再生回数、イベントへの参加人数など、気候変動を止めたいという想いや情熱を「MINI」という単位を用いて集めています。集まった「MINI」は私たちの民意として、11月に開催されるCOP26(今年26回目を迎える気候変動枠組条約締約国会議)に向けて日本政府に提出する予定です。

「気候変動を止めたい」という想いを発信する時にはぜひこのMINIをハッシュタグにつけて使ってもらえたらいいなと思っています。イベント当日にはMINIが沢山増えていると思うので、そちらも楽しみにしていただければと思います。

——Climate Live Japanをどんなイベントにしたいか、みなさんそれぞれにお聞きしたいです。

小出: 私が一番重要だと思っているのは、自分が行動を起こすことが大切であると一人でも多くの人に知ってもらうこと。社会を変えるのは「ウチら」でしかないし、大きなものを動かすには一人一人の声を集めていくしかない。そういったことを感じ取れるイベントにしたいと思っています。

山本: 今の日本では、まだまだ気候変動に対するネガティブなイメージが多くあって、我慢してどうにかしなければいけない問題だとみんなが思ってしまっている。

多くの人がポジティブな気持ちで取り組むことができるように、気候変動問題に関心を持って行動をするということは世界や未来をよくしていくことだし、そこから先は明るくて新しい時代が始まっていくのだということをClimate Live Japanで示すことができればと思います。

髙橋: 「今」が、社会として変わらないと間に合わないタイミングです。私たちが求めることを声を大にして発信しないと、政府も企業も迅速な決断ができない。本当に、時間がないんです。だからイベントを通して気候変動問題に興味を持っていただいて、気候変動問題への前向きな発信をSNSなどで増やし、最終的には多くの人が「気候変動を止めたい」という意思表示をすることができるようになればいいなと思います。

——今回お話を伺って、みなさんの真剣な想いと行動はきっと多くの人に影響を与えると感じました。最後になりますが、Climate Live Japanの今後について教えてください。

小出: Climate Live Japanは10月にも開催を予定しています。活動しているメンバーはほぼ学生で、共同代表の一人である山本のように来年受験を控えていたりするメンバーもいます。それぞれ参加が難しい時期もあるのですが、気候変動への取り組みは「継続」が重要。今後は私と髙橋さんが中心メンバーに残って新たなメンバーも呼びつつ、10月開催に向けて継続的に活動していこうと考えています。

(取材/文・望月柚花)


Climate Live Japan
気候変動の解決に向け、40か国の若者を中心とし、開催する音楽フェス

日時:2021年4月24日(土) 18:00頃~21:10 ※開始時間変更の可能性あり
場所:新宿LOFTより、Climate Live JapanのYouTube公式アカウントにて無料生配信
※ライブ終了後、YouTube上にて、ライブ映像のアーカイブを24時間限定で公開

ライブ出演:Anly、ermhoi、ローホー
トーセッション出演 ※五十音順:江守正多(気象学者)、神澤清(環境活動家)、酒井祥樹(積水ハウス株式会社)、長谷川ミラ(モデル)、前田雄大(エナシフTV)、未来リナ(モデル / ライフスタイルクリエイター)
賛同者:佐藤タイジ、小林武史、亀田誠治、KOM_I、Little Glee Monster、滝川クリステル ほか

主催:Climate Live Japan実行委員会
企画制作:Climate Live Japan実行委員会
アドバイザー:iPledge / THE FOREST / divercitizen / レーベン企画 / 350.org JAPAN
運営:Climate Live Japan実行委員会

公式サイト
Facebook @Climate Live Japan
Twitter @climate_japan
Instagram @climatelivejapan
YouTube

クラウドファンディング

企画名:【気候変動を止めたい】未来を担う、若者のアクションにご支援を。
募集〆切:2021年4月30日(金) 23:00
支援金額:¥1,000〜
募集サイト:READYFOR

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youtube動画

©Climate Live Japan PR 事務局