【earth garden “秋” 2021】4度目の緊急事態宣言解除後に開催されたアースガーデン

五辺 宏明

五辺 宏明

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2021年10月30~31日、コミュニティフェス『earth garden “秋” 2021』が、代々木公園で開催された。今回は『Spring Love 春風 ~The Chillout』と『巡音彩祭』(JUN-ON-SAI-SAI)との共同開催。

メインステージ(巡音彩祭STAGE/The Chillout STAGE)と、イベント広場の北側に設営されたArt of Chill STAGEでは、ライブやトークショーが行われた。


コロナ禍の穏やかな週末に

晴天に恵まれた初日のアースガーデン。

自動検温機と消毒液が設置されたゲートから、柵で囲われたイベント広場に入場して会場内を散策。緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が10月1日に解除されたことで賑わいをみせていたが、十分にフィジカルディスタンスを保てていたと思う。

雑貨、アウトドアグッズのブースやフードエリア、ワークショップを楽しめるキッズエリアなどをのぞきながらビールを一口飲むと、それだけで心がはずむ。

東京では、年明け早々から2回目(1月8日~3月21日)、3回目(4月25日~6月20日)、4回目(7月12日~9月30日)とくり返された緊急事態宣言。4月以降は、まん延防止等重点措置も適用された。誰もが疲弊している2021年の秋に、酒を飲みながらフェスを楽しめるのは本当に幸せなことだとしみじみ思う。

出演アーティスト
2021年10月30日(土)

巡音彩祭STAGE
・TOSHIKI
・佐藤タイジ × タブゾンビ × ジョー横溝
・JABBERLOOP
・Muff
・toconoma

Art of Chill STAGE
・ULU a.k.a Tateyama
・☆マーレーズ☆
・千尋
・G.A.S.
・DAHMA

2021年10月31日(日)

The Chillout STAGE
・タイヨガ☆パラダイス
・Yumii
・THE FACTORS
・Kay Nakayama feat. Sandii with Masahiro Fujioka
・Artman

Art of Chill STAGE
・Ree.K
・蜻蛉 -Tonbo-
・Auto & mst
・Shhhhh
・山頂瞑想茶屋

ソラリズム・セッション
佐藤タイジ × タブゾンビ × ジョー横溝

シアターブルックの佐藤タイジ(g,vo)とSOIL&“PIMP”SESSIONSのタブゾンビ(tp)が共演した「ソラリズム・セッション」は、初日の12時30分にスタート。

まず、佐藤タイジが現れて「朝焼けのHumanity」を独奏。舞踊家のATSUSHI、BRAHMAN & OAUのKOHKI、和太鼓奏者の坂本雅幸とのセッションイベント『THE FOURCE』でも毎回披露される「朝焼けのHumanity」。個人的にはコロナ以降、最も生で聴いた回数が多い曲だったりする。

思えば佐藤は、長らく中止されていた代々木公園のイベントの復活第一弾として行われた1年前の『re:LIVE 東京 fes / earth garden “秋” 2020』(レポートはこちら)にも出演していた。

久しぶりに野外でライブを観る喜びと、「冬になれば、また感染が拡大するのではないか?」という不安が入り交じる。現在の状況は、あの頃とよく似ている。

佐藤が「投票所はあっちプロジェクト」のスタッフを呼び込み、翌日行われる衆議院議員総選挙の投票を呼びかける。期日前投票が定着してきた今なお、我が国の投票率は著しく低い。

タブゾンビが登場して、佐藤と共にプリンスの「I Would Die 4 U」をカバー。過去にも共演経験があり、さまざまなジャンルのミュージシャンとセッションを重ねる両者だけあって、息もぴったり。

続いて、佐藤が立ち上げた100%ソーラーエネルギー活用のロックフェス『中津川 THE SOLAR BUDOKAN』のMCを務めるジョー横溝を交え、衆院選やソラリズムについてのトークタイム。

佐藤が提唱するソラリズムは、公園などにあるステージを利用して、世代を超えた人々が音楽を楽しめる場を作っていこうというプロジェクト。野外で密を避け、通りかかった子供やおじいちゃん、おばあちゃんも生演奏を聴くことができるというソラリズムは、コロナ禍のいま、最も注目すべき音楽イベントである。

ハーブ・アルパート「Rise」のカバー。そしてラストは、シアターブルックの代表曲「ありったけの愛」。

サビにさしかかったところで、ベンチに座っていた小さな女の子が立ち上がって踊り出した。両腕を突き上げ、身体を揺らす娘と、やさしく見つめる母。ソラリズムを象徴するような光景に、周囲の人々がみな微笑んでいた。

THE FACTORS
Kay Nakayama feat. Sandii with Masahiro Fujioka

2日目は、あいにくの空模様。衆院選の投票を済ませ、雨の合間をぬって代々木公園へ。

イベント広場に到着すると、メインステージにはTHE FACTORSのSAKi(vo,syn)とJody Tenku(g)の姿が。軽い気持ちで眺めていた彼等のパフォーマンスに引き込まれ、小雨がパラついていたことも忘れて最後まで聴いてしまった。

わずかな転換時間を挟み、DJ/プロデューサーのKay Nakayamaとサックス奏者の藤陵雅裕のライブがスタート。ゲストプレイヤーとしてTHE FACTORSの2人も数曲参加していた。

中盤にSandiiが登場。70年代から活躍する人気シンガーを目当てに来場した観客達がステージ前に押し寄せると同時に、タイミングを見はからったように雨が止んだ。

この日のハイライトは、ルパン三世のエンディングテーマ「ラヴ・スコール」。1978年にSandii がサンドラ・ホーン名義で発表した名曲を生で聴ける日がくるとは。

終盤には、Sandii’s HULA Studioのダンサーが現れ、フラ・カルチャー伝道師の最高位「ウニキ・クム・フラ」の称号を持つ恩師のステージに華を添えた。

(文・五辺宏明)
(撮影・須古恵)


アースガーデン 公式サイト
re:LIVE 東京 fes / earth garden “秋” 2020 レポート
佐藤タイジ インタビュー