2022年3月20日、吉祥寺SHUFFLEで開催された『Melody Line~はじまりのうた~』は、次世代の新たな才能を持つアーティストを発掘できるライブイベント。2016年10月より都内のライブハウスで定期的に開催され、多くの人に愛されている。
5周年記念となる今回は、川谷絵音『美的計画』プロジェクトのボーカリストに選抜された青空(そら)、小芝風花主演『妖怪シェアハウス』のドラマ&映画主題歌を担当するayaho、歌うまキッズとしてメディアから引っ張りだこの加藤礼愛など、10代を中心とした注目のシンガーたちが出演。それぞれの個性や熱い想いがつまったライブとなった。
なお、今回は会場限定でCOOKIE MAGICとのコラボクッキーも販売。キュートなクッキーたちが5周年を彩った。
力強く芯の太い、存在感のある歌声に注目
ANAIS(あないす)
ANAIS(ペレ アナイス)は18歳の現役高校生シンガー。3ヶ国語を話せるトリリンガルで、モデルとしても活動している。
今回のライブでは昼の部に出演し、『BOOMBAYAH』(BLACKPINK)、『MONEY』(LISA)などのカバー曲と、オリジナル曲『Memories』『please don’t』を含む6曲を披露してくれた。
メロディアスな楽曲とラップパートのある楽曲、どちらも自在に歌いこなす歌唱技術の高さと、トラックに埋もれることのないぐっと重みを感じるような力強い歌声が印象に残る。大人びた格好いいパフォーマンスと、元気で可愛らしいMC。その素敵なギャップが感じられるのも彼女の魅力のひとつなのだと感じた。
【Setlist】
1. BOOMBAYAH / BLACKPINK
2. MONEY / LISA
3. ベテルギウス / 優里
4. Memories
5. SHYでもいいよ / AISHA
6. please don’t
華やかな明るさと、音楽への切実さ
AYANE(あやね)
AYANEは19歳のシンガーソングライター。楽曲はもちろんのこと、ファッションやメイクなどの彼女らしいスタイルも同世代から多く支持され、TikTokのフォロワー数は37万人を超える。メディアへの出演経験も多く、今後もより注目していきたいアーティストだ。
この日は『I miss you』『P.M.』『何度も』など、オリジナル楽曲を中心に披露した。
AYANEの歌は、触れたら指先が切れるくらい研ぎ澄まされているのに、花束を差し出されているようなあたたかさもある。なによりもそのパフォーマンスから、彼女の音楽を愛する気持ちや、音楽を心から楽しんでいる気持ちがあふれるほど伝わってくるのだ。心がゆさぶられて、じわりとあたたかくなる。
その小柄さからは想像できないほどのパワフルな歌声と、こちらまで明るい気持ちになってしまう花のような笑顔も強く印象に残った。
【Setlist】
1. I miss you
2. P.M.
3. 何度も
4. 藍色
5. Way back home / SHAUN(オリジナル和訳カバー)
6. Message
【HP / SNS】
Official site
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切なさの純度が高い恋の歌
ayaho(あやほ)
ayahoは、19歳、京都出身のシンガーソングライター。『チャイムの音で』のMVが100万回再生を突破し、恋をする女の子に寄り添う楽曲で同世代の女性から絶大な支持を集めている。
TVアニメ『であいもん』エンディングテーマで、ミュージシャン・曽我淳一と制作した『ここにある約束』が4月20日にリリース予定。小芝風花主演『妖怪シェアハウス』のドラマ&映画主題歌(曲提供・フィーチャリングはシンガーソングライターの和ぬか)に決定するなど、期待値の高さがうかがえる。
この日は夜の部に出演し、『君を泣かせたい』『チャイムの音で』『ラメ降る夜』など、恋の楽しさや透き通るような切なさを感じる楽曲を披露。10代の頃にayahoの音楽に出会っていたらきっと心強かっただろうな、と勝手に想像してしまった。力強くギターを弾く姿は、ライブが終わってもずっと印象に残っている。
【Setlist】
1. 君を泣かせたい
2. トーキョー
3. チャイムの音で
4. わたしの幸せはあなた次第!
5. ひとりのよる
6. ラメ降る夜
【SNS】
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TikTok
圧倒的な歌唱力で魅了する12歳の若きシンガー
加藤 礼愛(かとう れいあ)
テレビ番組『千鳥のクセがスゴいネタGP』(クセスゴ)をはじめ、多くのメディアやイベントへの出演でその歌唱力が話題を呼んでいる加藤礼愛は、「このあいだ小学校を卒業しました」とステージではにかんだ笑顔を見せた。
この日は全曲カバーで『踊』(Ado)、『Starting Now 〜新しい私へ』(清水美依紗)、『Stone Cold』(Demi Lovato)などを披露。
それまでどこか恥ずかしそうに、困ったように微笑んでいた彼女だが、歌い出すとがらっと雰囲気が変わる。会場の空気が張り詰めて、目が逸らせなくなってしまう。歌唱の技術は勿論のこと、伸びやかで力強い歌声は聴く人の心を強く揺さぶり、深く記憶に刻まれるものだった。
最後は弟のはやてくんと一緒に『阿修羅ちゃん』(Ado)を歌い、可愛らしい振り付けのダンスで会場を和ませていたのも印象に残っている。
【Setlist】
1. 踊 / Ado
2. ベテルギウス / 優里
3. Starting Now 〜新しい私へ / 清水 美依紗
4. Stone Cold / Demi Lovato
5. 阿修羅ちゃん / Ado
【SNS】
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KARASTA
生身の人間の持つ、36℃くらいのあたたかさ
Soala(そあら)
Soalaは愛知県出身、19歳のシンガーソングライター。楽曲『Glorious』が「パルクール東京2022」の大会テーマソングに起用されるなど、その歌声で着実に道を切り開いている。
今回のステージでは、カバー曲として『Some』(赤頬思春期)、オリジナル曲は『君に夢中』『溶けたアイス』『Glorious』などを披露。
思わず口ずさみたくなるサウンド、情感のある低めの歌声が耳に心地よく、ステージでの真剣な眼差しが胸に刺さる。伸びやかさとパワフルさが互いに引き立て合い、損なわれることなく両立している、レベルの高いライブパフォーマンスを見せてくれた。
人と人は同じくらいの体温で生きて、その中で他者と握手したり、手を繋いだり、抱擁したりする。誰かの体温に触れると安心するように、彼女の歌にもそのあたたかさが存在している。
【Setlist】
1. Some / 赤頬思春期
2. 君に夢中
3. 溶けたアイス
4. ONE DAY
5. Glorious
【SNS】
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暗闇を照らし出す大きな光
青空(そら)
昼の部でオープニングアクトをつとめ、夜の部でイベントの大トリを飾ったのは、高校3年生、福井県出身のシンガーソングライター・青空。川谷絵音の『美的計画』プロジェクトにてデュエット曲のボーカルの1人目に選出されるなど、 期待の新星として注目を集めている。
昼の部では『ヒビ』『そろそろ』の2曲、夜の部では『あこがれて』『戦いの唄』『17』など5曲を披露。東京でのライブ出演は初めてだとMCで語った彼女だが、緊張を感じさせない堂々としたパフォーマンスを見せてくれた。
今回のイベントのオープニングアクトと大トリをつとめてほしい、という主催者ささかわゆうご氏からの相談に、彼女は「任せてくれるならぜひ!」と力強く頷いたそうだ。ささかわ氏はその言葉をもらい「Melody Lineの5周年は青空と心中するつもりでいこうと決めた」という。
そのエピソードを聞いて、なんて強く、なんてしなやかなアーティストなのだろうと驚いた。パフォーマンスにもそれは表れており、歌うことへの愛と喜びがまぶしく光り目が眩むようだった。
【Setlist】
昼の部
1. ヒビ
2. そろそろ
夜の部
1. あこがれて
2. 戦いの唄
3. 17
4. ヒビ
5. そろそろ
【SNS】
Twitter
Instagram
YouTube
TikTok
誰かの苦しさや悲しさを肯定する強さ
だてぃが
だてぃがは14歳のシンガーソングライター。尖ったナイフのような鋭さと、傷ついている人を守るやさしさ、そしてそれを多くの人に伝える強さを持った芯のある歌を歌うアーティストだ。
今回のイベントでは夜の部に出演し、『聲』『宵闇』『ぶっ殺したい過去の記憶』『だてぃがちゃんの視点』などを披露。「あなたの痛みや苦しさを、私は知っている」まるでそう言ってくれているような、強い想いと熱量があふれるほどつまったパフォーマンスだった。
楽曲の合間のMCで「会場後方のライトをつけてほしい」とスタッフに頼み、観客の顔をしっかりと見つめていた姿が印象的。だてぃがは、ステージでひとりで歌っている。でも、もしかしたら彼女自身に「ひとりで歌っている」という感覚はないのかもしれない。そう感じる瞬間だった。
【Setlist】
1. 聲
2. 宵闇
3. ねぇこのまま猫のまま
4. あなたとわかちあう望み
5. ぶっ殺したい過去の記憶
6. だてぃがちゃんの視点
チャーミングな魅力あふれるパフォーマンス
所谷 彩未(ところだに あみ)
テレビ番組『ものまねグランプリ』『THEカラオケ☆バトル』『関ジャニ∞モーツァルトへの道』への出演や、月9ドラマ『海月姫』OP主題歌のメインボーカルを担当するなど、期待と注目の集まるシンガー・所谷彩未。
今回のイベントでは、昼の部と夜の部の両方に出演し、可愛らしく楽しい人柄があふれるステージで観客を魅了した。昼の部ではカバー曲とオリジナル曲の7曲を惜しむことなく全力で歌い、夜の部では専門学校の同期であるやまもとりんがサポートとして加わり、カバー曲を含む5曲を披露した。
そこにいて、歌うだけで周りが明るくなる。歌うことが大好きなのが伝わってくる。太陽みたいな、あたたかく全てを照らすアーティストだと感じた。
【Setlist】
昼の部
1. GOサインは1コイン / カフェラテ噴水公園 feat.にゃんこスター
2. 春〜spring〜 / Hysteric Blue
3. despacito / Beverly
4. Mela! / 緑黄色社会
5. ありがとう
6. ウツクシキモノ / AI
7. Flower
夜の部
1. リンスインシャンプー
2. Y / C&K
3. 消えない光 / やまもとりん
4. 嘘 / やまもとりん
5. ありがとう
美しく澄んだ水の中で
Nozomi Kanno(のぞみ かんの)
素敵なパンツスーツ姿で夜の部のステージに登場したのは、ミステリアスな空気をまとうシンガーソングライターのNozomi Kanno。
ピリッとした心地良いスパイシーさ、しっとりとした甘さをかすかに含む歌声で、『悪魔が眠る夜』『シャーベット』『夜明けの低体温』『Lost』『好きになれたらいいのに』の5曲を披露した。
彼女の歌を聴いて連想したのは湖だ。湖底に多くのものが沈んでいる美しい湖。そこに沈んでいるのは、寂しさだったり、悲しさだったり、諦念だったり虚しさだったりするのだろう。あるいは、愛のような何かも沈んでいるのかもしれない。
物語性があるのにリアルで、楽曲の中に存在している「誰か」の表情や仕草が見えるような、表現の解像度の高い楽曲を作るアーティストとして、今後も注目したい存在だ。
【Setlist】
1. 悪魔が眠る夜
2. シャーベット
3. 夜更けの低体温
4. Lost
5. 好きになれたらいいのに
前を向いて歌い続けるということ
Miyu-(みゆう)
夜の部のオープニングアクトをつとめたのは、16歳のシンガーソングライター・Miyu-。『roaming』『泣きたいわ』『大人になるってなんなんだろうな』などを含むオリジナル曲5曲を、年齢を感じさせない落ち着きのある堂々とした歌声で歌い上げた。
ライブパフォーマンスのレベルの高さはもちろんのこと、歌詞の無防備なまっすぐさに心打たれる。安定感や安心感とはまた別の、もっと大きくて強くて、決して揺るがない何かが彼女の中にあるのを感じた。
Miyu-なら、どんな時でも、何があっても前を向いて歌っている。聴く人が無条件にそう信じてしまうような、不思議な魅力のあるアーティストだ。
【Setlist】
1. roaming
2. you say be all right
3. 泣きたいわ
4. 眠れない週末に
5. 大人になるってなんなんだろうな
【SNS】
Instagram
忘れたくない感情を紡いでいく
Leina(れいな)
Leinaは東京都出身の実力派シンガーソングライター。中学生の頃から作詞作曲を始め、SNSに歌をアップし始めたことがきっかけとなり、2019年にデビュー。16歳とは思えない深みのある歌声と楽曲の世界観、歌詞の表現が幅広い層の共感を呼び、注目を集めている。
この日は夜の部で『浴槽』『カロリーメイト』『灯火』などを披露。低く澄んだ歌声を聴いていると、海辺に落ちている、角のまるくなった綺麗なガラス片を拾い集めているような気持ちになる。
14歳の時に作ったという楽曲『未開封の恋』では、「恋」というものに必ず付随する悲しさや虚しさを、特別な言葉ではなく普通の言葉で歌い上げていることに驚きを隠せなかった。
彼女の歌は確かに大人びている。だがそれは決して背伸びではない。そこに大人がたじろぐほどのまっすぐさがあるからこそ、誰も目を背けることができないのだと感じた。
【Setlist】
1. 浴槽
2. カロリーメイト
3. 灯火
4. 未開封の恋
5周年を迎えた『Melody Line 〜はじまりのうた〜』では、昼の部から夜の部まで11人のアーティストが吉祥寺SHUFFLEのステージに立った。夜の部の配信ライブでは、叶望、木村未夢、Secret actとしてEmily17も出演。アーティスト全員の個性が強く光るライブだったと感じた。
彼女たちの歌に対する気持ちや、そこに込められている想いはきっとそれぞれ形が違っている。でも、違っているからこそ、ステージにさまざまな色の光があふれているのを見たような気持ちになったのだと思う。
あたたかくて、眩しくて、透き通るような色とりどりの輝き。それは会場を出てからもずっと消えることなく、頭上で光る星のように強く瞬いていた。
(取材/文・望月柚花)
(撮影・kaiki)Twitter Instagram
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