FUJI & SUN ’21レポート! 2年ぶり開催のキャンプフェスを富士山も祝福

三橋 温子

三橋 温子

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令和の新しいフェスとして注目されたFUJI & SUN(フジアンドサン)’19から2年。コロナ禍でやむなく中止となった昨年の無念を乗り越え、2021年5月15日(土)・16日(日)に静岡県富士市の富士山こどもの国で無事に開催を果たした。

初回’19の心地よさが忘れられず、今年も張りきって取材へ。1日目は午後に富士山が顔を出す好天、2日目は雨が降ったりやんだりの初夏のフェスらしい空模様に。入場者は会場キャパ50%以下の約4,500人に制限され、感染対策も各所で万全。ウィズコロナ時代のキャンプフェスのあり方を前向きに示した、意義のある2日間となった。

cover photo by ©FUJI&SUN’21


3ステージ・全27組が出演
【SUN STAGE】

©FUJI&SUN’21

ステージ構成は’19と同じ3ステージ。メインステージのSUN STAGEは、前方エリアに色とりどりのガーランドとグリーンの目印が設置されており、互いの距離を保ちながらライブを鑑賞できる環境に。

©FUJI&SUN’21

もちろん歓声や合唱はNGだが、拍手やクラップ、ハンズアップで思い思いに気持ちを表現するオーディエンス。コロナ禍でライブが再開されてから1年近く経ち、このライブの形にもだいぶ慣れてきた(マスクの下で思わず声が漏れてしまうことはあるものの…)。

SUN STAGEではオープニングセレモニーに始まり、1日目には民謡クルセイダーズ、君島大空、折坂悠太、くるり、2日目には横手貞一朗(Positive Link エクササイズ)、TENDRE、カネコアヤノ、林立夫 with 大貫妙子、森山直太朗が登場した。

なお、SUN STAGEのライブの模様は7月にWOWOWで放送されるのでお見逃しなく。
※詳細はこちら

Pick up! 折坂悠太

©FUJI&SUN’21

折坂悠太のステージを生で聴くのは初めてだったが、音源以上に魅力的な歌声だった。陽が傾きかけてきた、湿度の高い大自然の夕刻によく似合う。曇り空から晴れ間がのぞき富士山が現れた『さびしさ』、ドラマ「監察医 朝顔」主題歌の『朝顔』、みずみずしさと懐かしさが同居する楽曲『坂道』などを披露した。

Pick up! くるり

©FUJI&SUN’21

1日目のラストは、約1年7か月ぶりのライブというくるり。リハでの『東京』『虹』に続き、名曲『ばらの花』やワンマンでもなかなか聴けない『続きのない夢の中』、アンコールの『HOW TO GO』など、新旧を網羅するセトリで魅せた。

2つ前のステージで君島大空と『ばらの花』カバーを披露した、天才ドラマー石若駿のサポートドラムも素晴らしい。高校時代からくるりの大ファンだったという石若の、ジャズからロックまで叩きこなすセンスは鳥肌ものだ。

▼ 石若駿の過去記事を見る
【追悼 Tony Allen】トニー・アレンと石若駿 – アフロビートの創始者とKing Gnu前身バンドのドラマーが共演してたって知ってる?

Pick up! 森山直太朗

©FUJI&SUN’21

梅雨の始まりを予感させるようなしとしと雨のなか、2日目のラストを飾った森山直太朗。弾き語りの『さくら』を皮切りに、齊藤ジョニー(バンジョー)、山田拓斗(ヴァイオリン)、林はるか(チェロ)、櫻井大介(ピアノ)とともに『生きとし生ける物へ』『どこもかしこも駐車場』『生きてることが辛いなら』などを歌いあげた。

昨年のコロナ禍に作ったという『最悪な春』では、サビの「な、な、な」を心の中で歌うオーディエンスに「心の声、聴こえてますよ!」と力強く言い放ち、わたしたちの不安や迷いを吹き飛ばしてくれた。かと思えば、予定外のアンコールでは『うんこ』を美声で披露。ステージを笑顔で締めくくった。

【GREENHILL STAGE】

グリーンヒルキャンプサイト内、小高い丘にあるGREENHILL STAGE。ステージ前には間隔をあけてアウトドアチェアが置かれ、座ってゆったりとライブを眺められるようになっていた。

©FUJI&SUN’21

GREENHILL STAGEには吉原祇園太鼓セッションズ、寺尾紗穂、青葉市子、U-zhaan、GOMA、OLAibi + KOM_I、マヒトゥ・ザ・ピーポー、ハンバートハンバートが出演。ライブのほか、冒険のプロ集団「人力チャレンジ応援部」や、静岡のローカルミュージック・シーンをリードする人物たちによるトークセッションもおこなわれた。

【STONE STAGE】

©FUJI&SUN’21

岩場に突如現れる、DJメインのSTONE STAGE。日中はさわやかな野外ステージ、陽が落ちるとムーディーなクラブに早変わりする。

ここから近いフォレストキャンプサイトBにテントを張ったのだが、2日目の朝に聴こえてきたTOP DOCAの心地いい選曲がキャンプフェスの多幸感を高めてくれた。DJユニット・悪魔の沼が奏でる午前中にまったく似つかわしくないサイケなプレイ、日本の古き伝承や情景を描き出すトラックメイカー・冥丁による幻想的なパフォーマンスなど、バラエティに富んだステージとなった。

好みのキャンプスタイルに応じて選べるキャンプサイト

会場内のフリーキャンプサイトは3つ。GREENHILL STAGEのある見晴らしのいい「グリーンヒルキャンプサイト」、森のなかで穏やかに過ごせる「フォレストキャンプサイトA」、“秘密基地”感を味わえるトレイルランニングコース沿いの「フォレストキャンプサイトB」。いずれも火器類が使用でき、キャンプ飯も楽しめる。

今年はテント設営可能エリアがロープなどで区切られ、密を避ける工夫がなされていた。

我々がテントを張ったのは、フォレストキャンプサイトB内の少し開けたエリア。STONE STAGEの音色が心地よく届く距離で、すぐ近くにトイレや水道もあって非常に便利。キッズ連れのファミリーも多かった。1日目の午後には冠雪の富士山が顔を出し、キャンパーたちを沸かせた。

そのほか、コールマンのギアが常設された「手ぶらでキャンプサイト」、遊牧民の円形住居「パオ」、テント横に駐車できる「オートキャンプサイト」などが用意されており、好みに応じて選べるのが嬉しい。

ライブやキャンプにとどまらず、アウトドア体験やオリジナルグッズづくりができるワークショップ、こだわりのフェス飯や物販などのコンテンツも豊富。フェスビギナーも常連も、大人も子どもも飽きずに楽しめるのがFUJI & SUNならではの魅力だ。

©FUJI&SUN’21

©FUJI&SUN’21

来場者のみなさんのインスタをご紹介

ここで、FUJI & SUN ’21を満喫した来場者のみなさんによるインスタ投稿と、FUJI & SUNへのメッセージをご紹介。思い思いにフェスを楽しんでいる様子が素敵。

まずは、FUJI ROCK FESTIVALで自主的にゴミを拾う「フジロックリーン」という活動をされているBeBeさんから。

開催していただいたことに非常に感謝いたします。初回も参加しており、絶対2回目も参加したい!と思っていたので、参加できて非常に嬉しく思います。やはり生音サイコー! フェスサイコーだと思いました!

マイベストアクトはマヒトゥー・ザ・ピーポー。ステージも素晴らしかったですが、ご自身もフェスを主催してるだけあって、全てのアーティストをくまなくちゃんと見て参加してるのは素敵だなと思いました。グリーンヒルステージはほぼマヒト君参加でしたし、マヒトステージではないかと思いました(笑)。(BeBeさん)


FUJI & SUNは今回が初参加。コロナ感染対策もしっかりしていただき、それを参加者がしっかり守り、そしてあとは音楽、キャンプなどでめっちゃ楽しみました!

やっぱりライブは最高でした♪ 来年も参加したいです♪(shirafuji michiyaさん)


お酒を酌み交わし肩を組んだり抱き合いながら朝まで踊り狂うようないつかのフェスの風景は当分お預け。

今は穏やかに健やかに遠くから見守るように楽しみを育む事が、ウィズコロナ時代の新しいフェスの在り方なのかなと考えさせられました。今回の開催に感謝します。(宮田蘭丸さん)


1回目から気になっていたFUJI & SUN初参戦! 人数制限やコロナ対策が練られていたおかげで、ゆったり安心して楽しめました!!

ライブと景観最高、ビールがうまい、けん玉楽しい! また来年きます!
『富士山! 富士山! 高いぞ高いぞ富士山!』(松井優さん)


入場者数の制限をはじめ、チケットの早期販売停止、個人情報の事前登録、検温やアルコール消毒の実施、飲食可能エリアの制限など、細やかな感染対策が講じられたFUJI & SUN ’21。コロナ前の初回開催時にも流れていたゆったりとした時間は、参加者・スタッフ・アーティスト一人ひとりの配慮により、さらに心地いいものになっていたように思う。

今年の成功体験が、来年のFUJI & SUN ’22をより進化させることは間違いない。来年もまたこの地で、心を揺らす音楽と出会えますように。

(取材/文・三橋温子)