仙台在住ライターが選ぶ、これからの音楽シーンを盛り上げる仙台発インディーズバンド4選!

竹内 将真

竹内 将真

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あなたが今住んでいる街、生まれ育った街にはどのようなバンド・アーティストがいるだろうか。もしかするとあなたが知らないだけで、誰もが知っているアーティストの出身地は今あなたが住んでいる街かもしれない。

「あのアーティストやあのバンドが生まれた街に住んでいる」という事実を知ったあなたは、これまでとは違った街の見方をするはずだ。そのアーティストがどのように過ごし、何を見て生きてきたのか。そのようなことを考えるのではないだろうか。

街を知る視点はたくさんあるはずなのに、観光地や知名度でしかその街のことを知らないのはもったいないと思う。それゆえ、誰かが生まれ育った街という視点が、これまでとはまた違った街の味わい方を教えてくれるはずだ。

今回は仙台市に住んでいる私が、仙台発のインディーズバンドを紹介する。それぞれに色がある芯の強いバンドばかりなので、ぜひ一度聴いてみて欲しい。


様々なジャンルのニュアンスをミックスした実力派ロックバンド

BruteRocks

BruteRocks(ブルートロックス)は2014年に仙台で結成された、Sota(Vo./Gt.)、Koichi(Gt.)、Shu(Ba.)、Taiga(Dr.)からなる4人組ロックバンド。

2022年7月に初の全国流通アルバム『ROCK THE WORLD DOWN』をリリースし、東北と東名阪にてリリースツアーを行った。現在も仙台を中心に活動している注目バンドだ。

彼らの特徴は楽曲の幅の広さと完成度の高いサウンドだろう。彼らの楽曲は洋楽を中心としたさまざまな音楽のニュアンスを落とし込んでいるため、楽曲の幅がとても広く感じる。しんみりと心に染み入るバラードや疾走感あふれるポップパンク、パワフルでド直球なロックサウンドなど、どのジャンルの楽曲も完成度高く表現されている。

『Re:Starter』
BruteRocks
youtube動画


〈新しい僕の旅路だ〉がキーフレーズのこの楽曲は、彼らからの応援歌だ。長い人生の途中で大きな壁に何度もぶつかるだろう。その壁を乗り越えられずに挫折してしまうこともあるかもしれない。そんな時にこの曲を聴いて欲しい。

壁を乗り越えることはこれからの自分にとって大きな経験になる。しかし、その壁をいつ乗り越えられるかは誰にもわからない。それゆえ、腐ってしまうこともあるだろう。そのような中で心の支えになるものが「あの日描いた夢」なのだと思う。この曲は夢を描いていたあの時の自分を思い出させてくれる。もし、あなたが今、先の見えない暗闇の中でもがいているのなら、ぜひ一度この曲を聴いて原点に立ち戻ってはいかがだろうか。

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もう終わってしまった時期に戻りたくなるような、淡く切ない楽曲たち

セツナシティ

次にご紹介するのはセツナシティだ。2017年に結成し、その後、活動休止期間をはさみ、2019年6月から活動を再開。正規メンバーのマサトモ(Vo./Gt.)とユイト(Dr.)、そしてサポートメンバーのタカマツ(Ba.)からなるスリーピースロックバンド。

活動休止期間はあったものの、精力的に楽曲発表やライブ活動を行っており、2022年10月に再録版であるデジタルシングル『三面鏡(2022ver)』をリリースした。

『春風に着替えて』
セツナシティ

軽やかなギターサウンドに爽やかなボーカルが非常に心地良い楽曲だ。このようなバンドサウンドに、どこかノスタルジックで寂しさを感じる歌詞が乗るため、聴いていると心がキュッと締め付けられてしまう。

青春は刹那的だ。いつの間にかやってきて、いつの間にか去っていく。しかし、このような事実に私たちは大人になってから気づくのだ。もう戻れない青春の日々に感じていただろう感情を代弁するようなマサトの歌声は、リスナーを青春時代へと舞い戻す。

2000年代を感じさせる、深い哀愁に包まれたい20代・30代へ

TIDAL CLUB

続いてはTIDAL CLUB(タイダルクラブ)をご紹介する。彼らは2020年に結成された、カメオカユウキ(Vo.)、レイ(Gt.)、ヨシオカシュウト(Ba.)、ジョージ(Dr.)の4人からなる4ピースバンドだ。

2000年代を感じさせるオルタナサウンドで多くのリスナーからの注目を集めており、仙台を中心に精力的にライブ活動を行っている。2022年4月に1stミニアルバム『queue』をリリースした。

『she side』
TIDAL CLUB
youtube動画


2000年代の楽曲の影響を受けているだけあって、20代後半から30代前半のリスナーには彼らの楽曲は刺さるのではないだろうか。どこか懐かしくて、聴き覚えのあるサウンドが、自分の子供の頃に聴いていた楽曲と重なってしまうからだ。アーティストのことも音楽のことも何も知らなかった時期に、親が車やラジカセで流していた楽曲たち。先入観を捨てて、ぜひ一度聴いてみて欲しい。私の言っている意味がわかると思う。

ずっと聴いていられるような優しいサウンド。「エモい」という言葉で簡単に言い表したくないのは私のエゴだろうか。とても深くて温かみがあり、どこか寂しさを感じてしまうサウンドは「エモい」の一言で表してはいけないような気がするのだ。何かいい表現があったらぜひ教えて欲しい。

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誰かに教えたいけど自分だけの秘密にしておきたいバンド

底なしの青

最後にご紹介するのは底なしの青だ。2018年に結成され、下田陽太(Vo./Gt.)と安齊太亮(Gt.)、2019年に加入の新井怜(Dr.)、2020年に加入の相原一平(Ba.)の4人からなるバンド。

精力的にライブ活動を行っており、アルカラとも対バンをしている。2021年に1st E.P.『fruits』を自主イベントにてプレリリースし、そのイベントはソールドアウトしている。有名バンドとの対バンや数度のソールドアウトなどからしても、彼らの音楽への評価は非常に高いことがわかる。

『最低な僕にしてみれば』
底なしの青
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〈何者でもない〉や〈最低な僕のことだから/強がっているんだ〉という歌詞の部分から、主人公の心情が読み取れる。過去の過ちを犯した自分を俯瞰して、罪悪感に押しつぶされそうになる経験は誰にでもあるのではなかろうか。

「なんであんなことをしてしまったのか」と振り返っては思うが、過去は消せない。誰にも「最低」だった自分はいると思う。その自分は消すことのできない事実だ。だが、未来の自分を「最低」にしないことはできる。〈何千回何万回 同じこと〉をしないように生きていくことはできるはずだ。この歌詞の主人公のような後悔をしないために、どうやって生きていけばいいのだろうか。そのようなことを考えさせられる。

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あなたの街からは、どのようなバンドやアーティストが生まれただろうか。この記事を読んで、気になった人はぜひ調べてみて欲しい。意外と有名なアーティストが近所にいたりする。近所に住んでいたことがわかると、遠い存在だったアーティストが一気に身近な存在へと変わるだろう。

また、彼らの歌詞の中にも、街の情景を感じられる箇所があるかもしれない。そのような風景を想像してみることも、また違った音楽の味わい方だと思う。ぜひ一度、調べてみてはいかがだろうか。

さて、今回は仙台にフォーカスして4組のバンドを紹介した。どのバンドも自分たちの色をしっかり持っており、これからどのような成長を遂げていくのか今から楽しみである。もし、仙台に住んでいる読者の方がいれば、ライブに足を運んでみて欲しい。きっと地元でしかできない熱いライブを披露してくれるだろう。

(文・竹内将真)