【re:LIVE 東京 fes / earth garden “秋” 2020】コロナ禍のトライアルフェスとして開催された代々木公園2days

五辺 宏明

五辺 宏明

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2020年10月31日~11月1日、代々木公園の野外ステージ・イベント広場で、コミュニティフェス「earth garden “秋” 2020」と、音楽フェス「re:LIVE 東京 fes」(リライブ東京フェス)が同時開催された。

「earth garden」や東日本大震災以降から活動を続ける追悼・復興ムーブメント「Peace on Earth」の事務局を担うアースガーデン・オフィス、新宿ロフトをはじめ10店舗を有するロフトプロジェクト、チェルシーホテルやスターラウンジといったライブハウスを経営するLD&K等が主催に名を連ねた「re:LIVE 東京 fes」は、準フリー野外フェスとしての開催。新型コロナウイルス感染抑制の設備経費等をまかなうため、ステージ前エリアの入場券500円、サブスクによるライブ動画配信費(月額料金580円)が徴収された。

新型コロナウイルスの影響により苦境に立たされているライブハウスという文化を守るために奔走している人達に協力したいと思い、代々木公園へ。


「re:LIVE 東京 fes」出演アーテイスト
10月31日(土)

TEX & Sun Flower Seed
佐々木亮介(a flood of circle)
NakamuraEmi
大森靖子
いとうせいこう is the poet

11月1日(日)

ユカリサ
加藤登紀子 & 佐藤タイジ(トークゲスト:鎌田實)
かりゆし58
Salyu

新型コロナウイルス以降、初めて開催された代々木公園のイベント

晴天に恵まれた「re:LIVE 東京 fes / earth garden “秋” 2020」の初日。音楽のみならず、様々なイベントが開催される代々木公園には過去に何度も訪れているが、今年はこの日が初めて。コロナ禍以降、代々木公園のイベントは全て中止されたので、当然といえば当然なのだが。

イベント広場は柵で囲われ、入場できるのは消毒液と検温機が設置された2ヶ所の入場ゲートのみ。ステージ前の有料エリアには、間隔を広く開けて並べられたベンチに腰を下ろした入場者が、声を上げることなくステージを凝視していた。視界に入る全ての人間がマスクを着用していたことは、言うまでもない。

かつて見慣れていた開放感あふれる代々木公園のイベントとは異なる光景に、新型コロナウイルスの影響をまざまざと見せつけられた気がした。

とは言え、久々に大音量で生演奏を聴ける喜びで胸が高鳴ったことも事実。元NAILS OF HAWAiiANの天野功と元DMBQの吉村由加に、元ABNORMALSのIxSxOを加えたニューロマンティックス with Kを鶯谷ワッツアップで観たのが3月21日なので、ライブを観るのは約7ヶ月半ぶり。30年前に上京してからこれほど長い期間、ライブハウスやクラブに行かなかったことはない。

「朝霧ジャム」や「フジロック」でお馴染みの朝霧食堂や、LD&Kが経営する宇田川カフェ、自然派カフェ&バーとして人気のキミドリ.など、「earth garden “秋” 2020」のフードブースも充実していて、食欲もそそられた。

迷いに迷って選択したのは、宇田川カフェのカレー。ほどよい辛さのキーマとグリーンカレーの合いがけをビールで流し込みながら、「外で飲むビールは、なんでこんなに美味いのだろう」などと思いながらステージを眺めた。

いとうせいこう is the poet

初日のトリは、いとうせいこう is the poet(通称ITP)。會田茂一(g)、Watusi(b)、龍山一平(key)、佐野康夫(ds)、コバヤシケン(sax)、SAKI(tp)によるバンドサウンドに、いとうせいこうが詩や演説を乗せ、SUGIヤーマンがダブミックス。

7インチシングル(アナログレコード)でリリースされた「直して次に渡す」や「怒りを吠えるけもの」も披露され、音源を遙かに上回るカッコ良さに声を上げたくなる気持ちをグッとこらえた。来年初頭にリリースされるという1stアルバムが待ち遠しい。

ITPのライブ中に、ロフトプロジェクトの加藤梅造氏を見かけたので声をかけた。開催までの苦労話を語りながらも充実した表情を浮かべた加藤社長。四半世紀ほど前にライブハウスで知り合った友人の笑顔を見ることができただけでも、足を運んだ甲斐があった。

佐藤タイジ(シアターブルック)

2日目も快晴。予定よりも少し遅れて代々木公園に到着すると、佐藤タイジの歌声が聴こえてきた。大急ぎで野外ステージへ。

日曜日の昼前という(私のような宵っ張りには十分すぎるほど)早い時間にもかかわらず、イベント広場は賑わいを見せ、マスクを着用した観客がステージ上の表現者に大きな拍手を送っていた。

この日のハイライトは、プリンスの「I Would Die 4 U」のカバーから続けてプレイされた「ありったけの愛」。何度もライブで感銘を受けたシアターブルックの名曲を、マスクを着けたまま小声で口ずさんだ。周囲にいる人達に触れない程度に身体を揺らしながら。

後半は加藤登紀子とのデュオ。2人が奏でるジョン・レノンの「Power to the People」が青空に鳴り響いた。

(文・五辺宏明)