2020年2月1日(土)、大阪心斎橋にあるライブハウス『大阪MUSE』にて開催された、大阪で活躍する5バンド共同主催のライブイベント『Music Invader』。
『kasumi』『Dr.FOOL』『UNUBORE』『スムージチークス』『君がそうなら僕はこう』、全5バンドの想いが詰まったイベントの記念すべき第1回目。今、勢いに乗るバンドが結集したこのライブイベントをレポートする。
Music Invader開幕!
キャパ350人の会場は、入りきれないほど超満員
開演前、会場内を埋め尽くす人、人、人、人。
会場内に入りきれない人たちがホールへと溢れる状態だったため、定期的に一歩ずつ前に詰めるようアナウンスが流れる。ちなみにこのアナウンスは、今回の出演バンド『君がそうなら僕はこう』のサイツアキノリによるもので、開演を待つ観客に笑いを提供していたのが印象的だった。
ちなみにこの日のライブは、事前に出演順や時間を一切告知していないし、次どのバンドが出るかも開演した後ですらわからないようになっていた。
それは、推し以外のバンドも見てほしいという、彼らの思いによるものだ。来てくれたのが自分のファンだったとしても、仲間のバンドも好きになってもらいたいし、見たらきっと好きになるから、という全バンド共通の認識が背景にある。
この辺りからも、来てくれた人たちに少しでも楽しんでいってほしいという思いが伝わってくる。
5バンドによる共同企画イベント『Music Invader』。それぞれのバンドがこの1年間協力し、拡散し、イベントの成功に向けてさまざまな趣向を凝らして集客してきた。この超満員の会場は、彼らの思いがファンにしっかり届いた証拠だろう。バンドの、ファンの、みんなの思いが詰まったライブイベントが今、幕を開ける。
トップバッター『君がそうなら僕はこう』
感謝と愛に満ちた至福の時間
トップバッターを飾ったのは青春メロキュンバンド『君がそうなら僕はこう』。開演早々、「一歩ずつ前に! いいバンドいっぱい出るから一人でも多くの人に見てもらいたいから!」というMCからステージは幕を開けた。
コールアンドレスポンスを含む、笑いの絶えないMCとメロキュンロックな楽曲で、会場は一気に熱を帯びる。
実はこの日を最後に、8年間苦楽を共にしてきたドラムのかとうが脱退することになっていた。このメンバーでできる最後のステージ。その熱い思いが涙ながらに語られる。引き止めたいけど、そうではなくて背中を押すんだという気持ちが痛いほどに伝わってきた。
「この日のために、いろんなことをやってきた。やりたいこともやりたくないことも、いっぱいやってきた。その結果、こんな素晴らしい景色をかとうさんに見せることができた。この景色を見せたかった。300人を超える人たちをかとうさんに見せられた。本当によかった! みんな来てくれてありがとう!」
涙ながらに語るボーカル、サイツアキノリの優しさと感動に会場が包まれ、盛大な拍手が贈られる。それでもしんみりさせないのが、君僕だ。最後までポジティブに、楽しいステージで締めくくった。
音楽による侵略者『UNUBORE』
セクシーで妖艶なステージで観客を魅了する
「音楽でみんなの心を侵略しにきました! UNUBOREです! みんなのおかげで、こんなにステキな空間ができました!」
2バンド目、『UNUBORE』の登場だ。『Music Invader』の名付け親、ボーカル湯煙ゆうすけによるMCでスタートする。
セクシーでいて切れ味の鋭い楽曲で会場を揺らしていくUNUBORE。独特のムーディな空気感は、彼らだからこそ醸し出せるものだろう。先ほどの君僕のポップなステージとは打って変わって妖艶なUNUBOREワールドに、観客も酔いしれていた。
「他のバンドを見に来た人たちは、どうぞ俺たちに浮気してください。俺たちを見に来てくれた人は、今日出演する他のバンドにいっぱい浮気してください。今日は、最後まで楽しんで、骨の髄まで侵略されていってください!」
全バンドが、自分たちだけのためにこの日のステージに立っているわけではなく、あくまでも5バンドみんなで作り上げるんだという深い愛を感じる言葉だった。
自分たちはいいものを見せるし、他のバンドもいいものを見せてくれる。そんな深い信頼で結ばれた、固い絆を感じさせてくれた。このMCによって、会場の一体感はさらに高まり、次に控えるDr.FOOLへとバトンを繋ぐ。
苦難の末にたどり着いた夢の景色
会場を包み込む大きな感動『Dr.FOOL』
「俺たちがDr.FOOLだ! よろしく! みんなで楽しもう、最後まで!」
一曲目からトップギアで攻め立てるのは3バンド目、『Dr.FOOL』だ。アップビートのキラーチューンで畳み掛け、コール&レスポンスで会場をダンスフロアに変えていく。
「今日は、5バンドが作り上げた日です! 来てくれてありがとう! 全バンド、全メンバーが気持ちを込めたライブです! 本当に感慨深い!」
満面の笑みでそう語るボーカル、シゲはうっすらと涙を浮かべながら続ける。
「19歳の時、僕はなんの自信もなかった。なんにも上手くいかなかった。でも歌を知ってから変わりました。20歳にバンドに加入したけど、それもやっぱり上手くいかなかった。そのときからずっと、この景色を見るのが夢でした。今、こうやってこの景色を見れたのは、このイベントをやろうって言ってくれたバンド仲間と、メンバーのおかげです。これまでたくさんの挫折を味わったけど、そのぶん頑張れって言うことができると思います。僕も、Dr.FOOLに救われました。だから次は、あなたたちを救いたい。何かがあったときに、俺たちが絶対助けるから。だから僕たちは、あなたたちの前でこれからも精一杯歌います! バンド続けてて本当によかったです!」
合間に涙で言葉を詰まらせながらもこう語ったシゲだけでなく、Dr.FOOL全員が同じ気持ちであることは、見ている誰しもがわかったと思う。それほどまでに感謝に溢れたMCとパフォーマンスは、会場を大きな感動で包み込んだ。
究極のエンターテイメントバンド
『kasumi』のパフォーマンスでヒートアップ
「大阪のkasumiです! ようこそ!」
次に登場したのが4バンド目、『kasumi』だ。ダンサブルなロックチューンで会場のボルテージを加速させ、一糸乱れぬパフォーマンスで観客の目を釘付けにする。
「Music Invader、楽しんでますか!!」
ボーカル、Tomoya Kashitamiの煽りで一気にヒートアップさせ、kasumiの真骨頂ともいえるStOタイム『ラ・ラ・ラ・オンザフロア』へと続いていく。
これはkasumi全員が楽器を置いてダンスに徹し、ギターのStOがメインボーカルを務めるというパフォーマンスタイムだ(公式チャンネルでもダンス動画が公開されているので是非そちらもチェックしてほしい)。
今回は、今日で『君がそうなら僕はこう』を脱退するドラムかとうへの思いを歌にのせて、会場内にいた本人に向かって歌い上げられた。こうしたサプライズができるのも、バンド同士の繋がりが強いからこそ。ただの対バンではなく、バンド同士の絆を感じることができるサプライズだった。
「このイベントは、まだまだ大きくなります。大きくしていきます。大きくするのは誰か。ここにいるみんなです。ステージにいる僕たちだけじゃない。みんながMusic Invaderです! この5バンドの動きに、最後までついてきて!」
企画して運営しているのは確かに自分たちだが、実際に関わった多くのスタッフ、関係者、そして観客、どれが欠けてもこのイベントは成功していなかった。Tomoya Kashitamiがその思いをMCに乗せて伝えたことで、会場の一体感がさらに増したように感じる。
みんなで作り上げたイベント『Music Invader』も、残すところラスト1バンド。トリを飾るスムージチークスへとバトンが繋がれた。
トリにふさわしい感動のクライマックス!
次への希望を繋いだ『スムージチークス』
「最高の夜だぜ! Music Invader!!」
ラストに登場した『スムージチークス』のステージが幕を上げる。ここまで4バンドが積み上げて来た観客の一体感と熱気を最高の形で引き継ぎ、さらに昇華させていく。
「始まったと思ったらもう終わりなんだね。なんかね、今日は、柄にもなく泣きそうになりました。俺たちと一緒にラストダンスを踊ってくれるか!」
ボーカル、ゆうとのMCとともに多幸感に満ちたステージで会場を感動の渦に巻き込んだ彼ら。ライブを終えてステージを後にするメンバーに、鳴り止まないアンコールが観客から贈られた。
そんな観客の熱意に応える形で再びステージに上がるスムージチークス。
「みんなで作ったイベント、最高です! ありがとう! 5組で作ったイベントだから本当は5組でやりたかったけど、今回は僕らが代表してアンコールやります!」
歓声に包まれる会場。
「今日は最高に楽しかった! チケットがこんなに売れて嬉しかった! こんなことないよ? 全バンドが誰ひとりサボらずにやったからこその結果だと思う。チケット配ったり、路上ライブやったりして、それぞれのバンドがみんな頑張ったおかげ。そして、何より来てくれたみんなのおかげです! 本当にありがとう! 俺たち5組はMusic Invaderというストーリーを作ったから、次のステージに、またみんなで行こう! 最高のMusic Invaderだったぜ!」
ゆうとのMCで観客だけでなく関係者全員が感動に包まれ、イベントは幕をおろした。
バンドだけでなく、観客も一緒になって全員で作り上げたイベント
『Music Invader』という物語は、まだ始まったばかりだ
アンコール後、5バンドの全メンバーがステージに集合するというカーテンコールと集合写真の撮影がおこなわれた。
全バンドが超満員の会場の景色に感動し、想いを高鳴らせ、感情を溢れさせていた『Music Invader』は、多くの人に対する感謝の気持ちを具現化したようなイベントだったように思う。その感謝はメンバーにも、他のバンドにも、観客にも、会場やスタッフにも向けられたものだった。
自分本位ではなく、そうした周囲への感謝が形になったからこそ、キャパ350人の大阪MUSEが超満員で溢れるほどに大きな波が起こせたのだろう。ステージに立つ彼らだけでなく、見ていた観客も同じ気持ちで、同じ目線でイベントを満喫していた。
この日、SNSでも『#ミュージックインベーダー』や『#MusicInvader』といったハッシュダグで、バンドメンバーだけでなくいろいろな人たちが感想を綴っていたので、ぜひ検索してみてほしい。この日の感動を感じることができるはずだ。
『Music Invader』は始まりにすぎない。これから第2回、第3回と回を重ねるごとに大きなイベントへと成長していくことだろう。『Music Invader』とともに大きくなっていく5バンドの行く末をしっかりと見届けるためにも、今後の彼らの動きに注目していきたいと思う。これからもきっと、私たちに新しい景色を見せてくれるはずだから。
(取材/文/撮影・倉田航仁郎)
(Dr.FOOL 撮影・ポチりさ)
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ARTIST PROFILE
2000年に結成し、その後メンバーチェンジを経て2011年に今の編成となり、海外を視野に入れた本格的な活動を開始。2017年以降、勢力的なライブ活動や各種アルバムのリリースを続けている。1st Full Album『We are kasumi.』、『kiss me』、2nd Mini Album『Re:NEW』が発売中。
2013年から本格的に活動を開始。2016年にY-summer(key/performer)を正式にメンバーに迎えて現在の5人編成に。以降も様々なライブやフェスへの出演や、オムニバスやコンピレーションアルバムへ楽曲を提供するなど、精力的な活動を続けている。1st Single 『WA・DO・WA』、1st Full Album 『FOOL BOX』、会場限定シングル『LIE!』が発売中。
2011年の結成後、メンバーチェンジを経て2013年に今の編成となり、大阪を拠点に勢力的な活動を続けている。各種アルバム『early’s best』『Avec』『colors』が配信中で、『Avec』『New Men』『べっぴんIN THE SUN』『ラブコメと私』が発売中。
2013年に結成し、メンバーチェンジを経て2019年に今の編成となり、自主企画イベントなどを開催するなど勢力的な活動を続けている。Mini Album『Night&Day』が配信中で、イベント限定シングル『SUPER STAR』、ライブ会場限定シングル『バースデー』が発売中。
2012年の結成後、メンバーチェンジを経て2020年に今の編成となり、自主企画イベントを開催するなど勢力的な活動を続けている。Mini Album『恋つはダメだ愛てにならん』『ステージ降りたら一般人』配信中。