
5月23日に愛知・栄Party’zにて「Yua presents 愛縁奇縁vol.2」が開催された。
個人イベンターの優愛による2度目の企画。以前、このヂラフマガジンのコラムでも取り上げたが、SNSでの積極的な発信、愛情を込めた出演者紹介、来場者への細かな気配りといった面が、名古屋のみならず多くのライブハウスラバーの目に止まり、当日は見事にSOLD OUT。しかもそのうち4分の1が初めてライブハウスに来る人という、ライブハウスシーンにとっても大きな意味を持つ日となった。
その愛に応えた8組の熱いライブの模様をレポートする。
イネムリだるま

これがライブハウスで戦ってきた意地
トッパーはvol.1にも出演した大阪のイネムリだるま。ライブを始める前に晟晧(Vo./Gt.)は自己紹介がてら“初めてライブハウスに行った日”の話をし始め、サポートメンバーのあび(Ba.)と、vol.1が縁となって繋がったというともちん(Dr.)にも打ち合わせなしで問いかけた。
(あびは物心つく前から行っていた可能性もあるとも言っていたが)3人とも初めての日は覚えており、だからこそ今日初めてライブハウスに来た人にも、もちろんいつも来ている人にも、「何かを感じ取るライブしますよ!」と力強く宣言して、『中嶋になっちまえ』からライブをスタート。優しい歌声で歌われるバラードからは、この空間に足を踏み入れた人の幸せを本気で願っていることが伝わる。
この3人になら身を預けていいかも、という空気の中、一気にギアを上げた彼ら。『日情』の疾走感のあるサウンドが会場のテンションを上げる。多くの笑顔と、サビではハンズアップが見られた。
ただ中盤では、ライブハウス歴が長い私も見たことのない風景に。「こういうライブハウスの楽しみ方もある」と言って彼らが指示したのは、なんと大勢いたフロアのオーディエンスを一旦外に出し、合図で一気にフロアになだれ込ませるというもの。空っぽのフロアが秒で人の熱気に包まれる光景は、非現実すぎて全員笑うしかなかった。
「音楽を聴いて楽しむだけがライブハウスだと思ってたでしょ? 時々シャトルランもします」と晟晧。楽しさを噛み締めつつ、「前回から2年経って、自分が好きなバンドも皆おらんくなったり、形が変わったりした。優愛ちゃんが『シーンが変わった』と言ったのを覚えている。それでも呼んでくれた。2年前よりダサいとは言わせない」と『98’』へ。ノスタルジックな思いを抱かせながらも、未来に歩み出す勇気をしっかりと与えてくれるナンバー。もしいつかその足が止まっても、今日〈たしかに僕らはここにいた〉と歌われたことを私たちは思い出すだろう。
最後は「ライブハウスがあったから作れた曲」と『むらさき』を演奏。シーンがどれだけ変わっても、ライブハウスでの幸せとは、君が笑うこと、君と歌うこと。それだけは意地でも守り抜くという強い意志を示し、愛縁奇縁の幕を開けた。
【Setlist】
1. 中嶋になっちまえ
2. 日情
3. 98’
4. むらさき
DOPERS

スケールの大きさを見せつけた名古屋新世代
2組目は5ピースラウドパンクバンド・DOPERS(ドーパーズ)。主催者と同い年の20歳であり、同年代のファンも多く来ていた。
SF映画のBGMのようなSEで現れた5人は、その雰囲気に負けない若きアベンジャーズのような堂々とした存在感。大きな音を鳴らした後、「1番獲りに来た!」とkyoga(Vo.)が叫び、フロア1人1人を指差しながら「良い思い出作りにいこうぜ、Party’z!」とアジテートして『FUZE』からスタート。kyogaのデスボイスと重厚なサウンドは早速ヘドバンを起こすが、クリーンに歌うサビなどのパートやギターソロは一転してピースフルな雰囲気も作る。初見でも非常にノリやすい掛け声もあり、途中で投げかけられた「誰も置いていかない。ついておいで」という言葉に嘘がない。
「まだまだやっちゃいましょうかー!」と繋げた2曲目『GREED』も、ツーステが発生する激しさもありながら爽やかな味わいの曲。続く『脳内マニピュレーター』もまた、クラップと両手を左右に突き上げるサビが誰にとっても楽しい遊びになっていた。
7月30日に同じ栄Party’zで開催されるMV撮影を兼ねたフロアライブの告知と、今日の主催への感謝を伝えたkyoga。「その愛をバンドマンとして音楽で返していきます!」と宣言し、「あなたと一緒に作っていきたいんですよ!」と『Hyper Rockets』へ。ステージ左右に立つharu(Gt./Cho.)とTAZAWA(Gt.)のギターは両翼、リズム隊のHiro(Ba.)とTake(Dr./Cho.)は頑丈な装甲。そしてフロアのシンガロングと掲げる手の平から生み出されたパワーをエンジンに、kyogaのハンドリングで一気に大気圏までブッ飛ぶロケット! そうか、宇宙に行く時のワクワク感ってこれなんだな。
その最高潮のテンションのまま、『BLAZE CORE』ではフロアが自由に飛び跳ねる。最後の『Rock For a New Era』での各パートによる渾身の音のぶつけ合いでは、5人がここからさらに大きな会場で音を鳴らす姿しか見えなかった。彼らをジャンルだけで判断しているリスナーとブッカーは損してる。まだまだこのロケット、何万人も乗れますわ。
【Setlist】
1. FUZE
2. GREED
3. 脳内マニピュレーター
4. Hyper Rockets
5. BLAZE CORE
6. Rock For a New Era
SHARON

大どんでん返しの夜
3番手のSHARON(シャロン)は『Slumber』からスタート。イネムリだるま、DOPERSで上げたテンションを良い意味で抑えて、しっかり聴かせるリズムにフロアも小刻みにノリ始める。
そのままじっくりとボルテージは上昇。Takuro Osada(Dr.)は立ち上がってドラムを叩き、Keita Oshikawa(Vo./Gt.)の歌唱、Fumiya Ebihara(Ba.)の演奏も熱を帯びていく。ガッチリとフロアの心を掴み、もう離さないとばかりに『Journey』へと強制連行。ゴリゴリと駆けていくバンドサウンドで、フロアとの一体感がより増していく。Osadaはまた立ち上がる。
Oshikawaは「今日声の調子悪い。でも俺も男の子だから、大ピンチからの大どんでん返しが大好き。今日は一人で作ってるわけじゃないし、皆がいるから大丈夫。よろしく」と語り、『リベンジ』の壮大なイントロを響かせる。その音は空間を包むだけでなく、音1つ1つの濃度が濃い。フロントの2人もセンターで演奏し、Osadaはまた立つ。前衛的に放たれる強大なエネルギーに拍手が起こった。続く『Grow』は寂しい夜を抱きしめるような曲で、先ほどとはまた違う温かい空気を作った。
「喉の調子が良くなってきた。いろんな薬を飲んだけどライブが一番の万能薬だった。楽しいから。ありがとう」とOshikawaが感謝し、最後の曲『鯨』へ。Ebiharaのベースが奏でる深く広い音のイントロが、壮大な夜空のような情景を作る。感情を抑えきれないOsadaはもう立っている。そこに手を伸ばすように歌い始めるOshikawa。このファンタジックなロックナンバーは、これまでに抱いた様々な葛藤を光に変えて空へと打ち上げ、星にしてくれる。
「今日みたいな夜を繋いでいこう。最高の夜を最後まで楽しんで。いこうぜー!」とOshikawaが叫び、最高照度で輝く爆発力のあるラスサビ〜アウトロで締め括った3人。名作童話のような夜を、これからもライブハウスで創り続けてほしいと思えるロックバンドだった。
【Setlist】
1. Slumber
2. Journey
3. リベンジ
4. Grow
5. 鯨
THE STONE AGE

ライブハウスで華金する人生で良かった!
様々なジャンルや感情の集まったイベントだったが、彼らはただひたすらに、ハチャメチャに「楽しい!」を届けた。
リハーサルから楽しそうだったが、登場の際も焦らして1笑いを取るおっち(Vo./Harp)。そして1曲目『DRINK KING EXPLOSION』からハイテンション! 今日は金曜日だが、華金にもほどがある宴ソングだった。たかけん(Gt./Cho.)はフロアに下りてノリノリでギターを鳴らし、タイガ(Ba./Cho.)の陽気なベースラインがフロアの酔いをさらに回す。
2曲目というか2次会は『DREAM LAND SAGA』。関節全てが踊り出す軽快なサウンド。おっちのハーモニカも炸裂し、ジャンプも生まれ、揺れ出す栄Party’zは大盛り上がり。そのまま「皆、お金は好きかい!? お金は好きか!? 俺は嫌いだー!!」という、おっちのまさかのシャウトから『MONEY!MONEY!MONEY!MONEY!MONEY!MONEY!』へ。勢いよくフロアに飛び出し歌い出すおっち。〈MONEY!〉と繰り返すサビやコーラスの気持ちよさは、たしかにプライスレスである。
「ここに来ることさえなければロックンロールにもパンクロックにも触れることなく、真っ当な人生を送ることができたであろう人が沢山見受けられます!」と話すおっちに、総ツッコミのような笑いが起こる。「それが愛縁奇縁という恐ろしいイベントでございます! お前らの初めて、俺たちが奪っていくぜー!」と叫ぶと、歓声が…思ったより起こらなかったので、「そこもうちょっとワー!って言わんと」と再チャレンジするシーンも。
そして「これだけは覚えて帰ってくれ。俺たちがロックンロールバンドだー!」と叫び、『ロックンロールバンド』へ。はち切れんほどの愛と夢とロマンに満ちたそのデカい音に、拳と拳でコミュニケーションを取るParty’z。茶間(Dr./Cho.)が圧倒的な手数で次々と強い音を鳴らす様からは、技術の高さも感じられた。
ラストの『THE STRONG MAN』では、おっちがいつの間にか上裸になっており、変わらぬ暴れっぷり。〈今日も頑張ろう!〉という歌詞の通り、またこの宴に参加するために頑張れる人は多いはずだ。
【Setlist】
1. DRINK KING EXPLOSION
2. DREAM LAND SAGA
3. MONEY!MONEY!MONEY!MONEY!MONEY!MONEY!
4. ロックンロールバンド
5. THE STRONG MAN
Rock de nasiy

LOVE & PEACE & DANCE
なるほど、このバンドは愛縁奇縁の“奇”を担当しているのか。どこか捉えどころのないダンスロックは奇天烈。奏でるサウンドと熱量の掛け算は理論を超えた先の快楽だった。
「ワクワクしたり、好きなことをいっぱいして遊んだり、ライブハウスがそんなところだと証明して帰ります!」と右近雄馬(Vo./Gt.)が宣言し、『強制的Answer』からフルスロットル。Saiyar(Ba.)の煽りもあり、クラップがしっかり巻き起こる。静と動や緩急のテクニックからは色気さえも感じる。
「さぁ音楽やろうぜ!」と告げてから始まったのは『命短し噛ませよロックンロール』。官能度はより上がり、歌詞通り“浮世離れ”な世界観に。オカダカズキ(Gt.)のギターソロ、Saiyarの所狭しと動き回るステージングからも目が離せない。
息もつかせぬまま、右近が「調子はどうだい、愛縁奇縁! 俺たち、心と体と全部を踊らせるロックバンドです。好きに楽しんで。それが大事だよ」と伝え、『チャーリー』をプレイ。仕掛けたっぷりで、音で突き刺してくるタイミングが面白い。その主犯格であるオカダとシモ・ジョニーゴン(Dr.)の楽しそうに演奏する姿も印象的だ。シモはカメラマンとなんかしてたな。
そのままノンストップでタオルぶん回し曲『turn in night』へ。好きに楽しんでと言いながら、「一緒に踊る」一択にしてくるってなんなんですか。
「8組中の5番手だからって中弛み禁止令」は続く。クラップが終始止まらない『Dancing Bardie』 では、多彩なボーカルワークが光った右近と、今日何度目かのギターソロを今度もエモーショナルに決めてくるオカダ。Saiyarもそんなに動き回って大丈夫かい。
ラストは「もっとこのイベントが大きくなりますように!」と伝えて『PARADE』をドロップ。脳神経まで支配し尽くすダンスロックにもう平伏すのみ。これが名古屋の噂のLOVE&PEACE&DANCEのロックバンド・Rock de naisy(ロクデナシ)。ほぼMCなしだったが、このバンドがどういうバンドかをフロア中に知らしめた、あまりにも濃密な25分だった。
【Setlist】
1. 強制的Answer
2. 命短し噛ませよロックンロール
3. チャーリー
4. turn in night
5. Dancing Bardie
6. PARADE
歴史は踊る

ライブもトークももっともっと欲しくなる!
「まぁゆるゆるっとね。やっていきますか」。そんな小林右京(Vo./Gt.)の言葉からライブが始まると思いきや、また少ししゃべる小林。「あ、普通に50分とかしゃべっちゃうんでやります。やりますねぇ!」と、Twitter芸人らしい一言から『Life -Size』をスタート。
縦横無尽に広がっていくサウンドに会場がゆらゆらと揺れていく。大人の渋みを持つKitta(Gt.)のギターが芸術性の高いロックを描いていく。小林のボーカルも熱を帯び、『飛べ!彗星』での畳み掛けるリリックには、振り回される快感みたいなものさえ感じるほど。その中でクールなプレイを続ける松本陸(Ba.)のベースも引き立っていく。
小林は「さっきの曲をやると心拍数がえげつないことになって、俺のApple Watchが警告している!」「さっきエフェクターを足で触れちゃったみたいで。直すからなんかやっといて!」とワールド全開のMCを繰り広げ、ステージに舞い戻った後『Break Time』へ。メロウで優雅なメロディを味わっていると、体が軽くなってバカンスへとトリップさせられた。明日どこかへ行こうかな。
続いて「どこにも出していない新曲をやります」と新曲をプレイ。少しザラついた音圧が波となってフロアを飲み込む。小林もその音圧に負けない強いボーカルを聴かせて、熱狂を作り出した。
最後のMCでも小林は、フロアからの声を拾いながら、このライブに向けて買った服の話などを飄々と話す。そしてラストナンバーは『パラノイア』。ダンディーなバンドサウンドに乗せて放たれる意味深な歌詞をオーディエンスにブッ刺して、スパッと終了した。
終演後、間違いなく彼らを初見だった大学生くらいのお客さんが「あれがチョイ悪なロックってことかな?」と話していた。大人の魅力がしっかり出ていたということだろう。やる時にやれるのが大人の嗜み。本人達も「労働後のライブは楽しいぞ」と言っていたが、それは演者だけでなく、リスナーも然り。「アフター5はロックンロール」が栄から世界の常識になれ。
【Setlist】
1. Life-Size
2. 飛べ!彗星
3. Break Time
4. 新曲
5. パラノイア
ナイトサファリ

思わずハイボールを4回飲み干した夜
初っ端から問答無用の轟音を響かせながら、ウケグチシュウヘイ(Vo./Gt.)は「今日は此処から始まりやから、またこの場所で出会えるように!」と告げて『また此処で』をスタート。トッパーからこのイベントを特に楽しんでいた前田紘幸(Gt./Cho.)も、待ち侘びていたかのように全身を振り乱しながらギターを鳴らす。途中のウケグチのポエトリーなパートと、前田・風間伊織(Dr./Cho.)・島添和樹(Ba./Cho.)のシャウトのような魂のコーラスが、〈また此処で〉という誓いが嘘じゃないことを心の臓まで分からせてくれる。
続けて「赤く染まる!」とウケグチが3回シャウトして始まったのは『噺家は今も笑う』。歌はもちろん、ドラムの風間も含めて4人でジャンプする衝動性から目が離せない。
ガトリングパンチで殴られ続けたような前半を終え、ウケグチは「俺らは初見で見るにはだいぶチャレンジャーなバンド。ベロベロで記憶がないくらいで見たら超気持ちいいと思うけど」と話して笑いを誘い、「本日のセトリは1曲目以外、優愛ちゃんがやってと言った曲やるから全力でやりますね」とエールソング『Quartz』、そして爆発一閃のロックな代表曲『一撃』を重ねる。あまりにもタフでパワフル。むしろ風間のプレイに耐えるドラムセットやスティックに賞賛を与えたいほど。ライブであり格闘技を見たような拍手が巻き起こった。
ウケグチは改めて主催者への感謝を繰り返し、「出会ったからには、またここで会いましょう」と『水平線の先へ』を始める。変わらず圧倒的な爆音でありながら、感動的で泣けてくるメロディー。そこに「まだまだ行ける!」というウケグチの叫びが重なり、明日へ駆け出す力が自然と湧き出てきた。
そして「こんなハッピーな夜には…ハッピーなお酒の曲を!」と告げると、『恋するハイボール』をなんと4回演奏した。最上級のハッピーエンドを届けた滋賀県発琵琶湖ロックバンド・ナイトサファリ。初見に向いてないバンドと自己紹介したのはあれか。これを初見に喰らうと、他のバンドじゃ満足できなくなるってことか。
【Setlist】
1. また此処で
2. 噺家は今も笑う
3. Quartz
4. 一撃
5. 水平線の先へ
6. 恋するハイボール
7. 恋するハイボール
8. 恋するハイボール
9. 恋するハイボール
a frankenlouie

寝屋川グッドミュージック、ここにあり
トリを務めるのは大阪寝屋川発・a frankenlouie(フランケンルイ)。vol.1でトリを務め、今回のフライヤーも作成したaiwoの谷口イサムとの縁で生まれた出演。気合が入らないわけがなく、1曲目『開口一番』から全身全霊のパフォーマンスを見せる。フクハラタクヤ(Vo.)はフロアの1人1人と目を合わせながら歌い、その気迫につられるようにシンガロングが起こる。
そのまま繋いだ『ありか』では、歌や演奏だけでなく、ステージの4人の拳と表情からも嘘のない“美しい感情”が伝わり、フロアにも笑顔が広がっていく。「愛を歌わせてください!」という言葉から始まった『1LDK』のサビでは、フロア中がピースサインを掲げる景色が生まれた。〈愛は永遠〉と歌う歌。そんなことは綺麗事と笑われてしまう世の中でも、このバンドの説得力のあるステージングを見ると、信じる以外ないじゃないかと思えてくる。
MCでフクハラは「こんなに一生懸命イベントを作ってくれる人を僕は知らないです。来場者の1人1人も、主催者の思いをちょっとでも考えて来ているんだろうなと思いました。残りの時間、思いを全て込めていこうと思います。この夜にどっぷり浸って帰ろうと思うので、皆さんも余韻に浸って帰ってください」と話し、ミディアムバラード『この夜を飲み干して』を披露。あらゆるバンドを聴いてきた体に、この優しさは沁みる。
そして「全員が笑顔になれる曲! 笑顔見せあおうぜ名古屋!」と叫び、ハッピーポップな『Kubittake‼︎』へ。〈思いは届くから〉と歌いステージから伸ばす手と、フロアから伸びる手はたしかに繋がり、そこに寝屋川と名古屋の距離はなかった。
「(優愛さんは)俺らが最高だと思う音楽を『最高だ!』と言って発信してくれた。俺らインディーズのバンドはどんだけ良くても聴かれるまでが厳しい。だからこそ本当に力になりました。結果として名古屋でこれだけ多くの人に見てもらえたし、この愛に全力で応えて一緒に上に上がっていきたいと思ってます。俺ら、初めてのワンマンを11月29日に心斎橋BRONZEでやります。取り置きなしの手売りしかないチケットです! 繋いでもらった手を1つも離したくないです。大阪に連れていきます。今日はどうもありがとう!」
最後のMCでフクハラはそう伝え、『グッドエンディング』へ。途中に挟まれた「SNSだけじゃ届かんかった!」という言葉にグッときた。生身の人間同士が今日ここにいたからこそ迎えられた、美しいフィナーレだった。
すぐに起こったアンコール。最後は詰め込むように1分半の『マジックハッピーアワー』を披露して、ライブは終了した。愛あるイベントを締めるに相応しいグッドミュージックが栄に刻まれた。
【Setlist】
1. 開口一番
2. ありか
3. 1LDK
4. この夜を飲み干して
5. Kubittake‼︎
6. グッドエンディング
En. マジックハッピーアワー
多様なジャンルを揃えて、1日でライブハウスの楽しさを堪能できるイベントになった「愛縁奇縁 vol.2」。
転換中、私の目の前で大学生と見られる女性が、別の女子大生2人組に声をかけられていた。どうやら人違いだったようだが、そこから「実は同じ大学だった」かなんかで話が盛り上がっていた。恐らくこの縁を本人達は一生忘れないだろう。
私自身も、ライブハウスだからこそ生まれる不思議な縁をこれからも繋げていく人になりたいと、改めて刺激を受けた1日になった。
(取材/文・遊津場)
(撮影・イノコシゼンタ)