
「ダサい」バンドは嫌い。でも、「いなたい」バンドは嫌いじゃない。
おそらく、フツーの人よりはいろんな音楽を聴いてきた人生だ。その中で「カッコいい」バンドにもたくさん出会ってきたが、当然バンドによってその「カッコいい」の種類は全然違う。
なのに、ばかの一つ覚えみたいに全部同じ「カッコいい」で一緒くたにすんのってナンセンスすぎんか? そんな思いに嘘がつけなくて、今私はこんな仕事をしている。
サウンドやルックス、ムード。「フー・ドゥー・ユー・ラブ」というバンドが持つカッコよさは、間違いなく彼らにしかない「いなたさ」だ。
村上貴一(ex-キイチビール&ザ・ホーリーティッツ)と岩出拓十郎(本日休演)という、一部のインディーロック好きにとって夢のようなタッグを実現したこのバンドは、2024年にドラマー・茂木左(the myeahns・ピーズ)をメンバーに迎え、ますますその独自性に磨きをかけている。
そんな彼らへ今回、2025年10月にドロップされた2ndアルバム『We Don’t Know What Love Is』リリースに際しての文面インタビューを実施。バンドの今までとこれから、そして新作にまつわる話を、村上と岩出が一緒に考えての回答で綴ってもらった。
村上貴一と岩出拓十郎、2人の個性光るボーカリストの邂逅と結成の経緯

共通の知り合いを通じて、貴一と岩出が接触。貴一が京都の「ボロフェスタ」へ、岩出のバンド・本日休演のライブを観にくる。確か地下のステージ。ちゃんと話したのはそれが最初だったと思います。貴一がなんだか衝撃を受けてくれてたような気が。
その後、本日休演とキイチビール&ザ・ホーリーティッツのライブ共演などを経て、バンドを脱退した貴一が関西に移住。そこから交流の機会も増えました。
2020年、名古屋にてソロで対バン。ようやくじっくり話して意気投合しました。友達の車の中で、Theピーズ やトモフスキーなどについて話したり。そんなこんなでお互い「バンドやりたいね」となり、2021年夏頃に結成。最初のドラムは本日休演の樋口拓美。当時は貴一と樋口が関西、岩出は東京に住んでいたため、活動は関西が主でした。
最初のライブは名古屋の「ブラジルコーヒー」。ぐだぐだな瞬間はあったけど、初期衝動に満ちた良いライブだったんじゃないかな。貴一はモヒカンをワックスで立てて。ちなみにこの時の写真はテロテロに加工されて、1stデモCD-Rのジャケになっています。
結成の経緯について、当時を思い出しつつそう語ってくれた村上貴一(Vo./Ba.)と岩出拓十郎(Vo./Gt.)。対バン仲間という間柄からバンドという共同体として活動するに至ったということは、ルーツミュージックや理想とする“バンド像”に、大いに共鳴する部分が互いにあったのだろう。そのことがよく窺えるエピソードだ。

2人の共通点としては、高校の頃にTheピーズのコピバンをやっていたことですね。しかも2人ともベースボーカルで。「鉄道6号」とか。Theピーズ、トモフスキーにはかなり影響を受けてるんじゃないかな。茂木さんも今ピーズで叩いてますし、大木兄弟の影響はとにかくでかいですよ。他には、奥田民生とかゆらゆら帝国が共通点かな。
岩出は高校生の頃、奥田民生以外にもウルフルズ、真心ブラザーズ、斉藤和義とか、その辺りの人がちゃんとロックやってる、みたいな認識があって。当時流行ってたBUMP OF CHICKENやRADWIMPSとかよりも若干世代は上だけど、フォークの系譜があるロックが好きというか。そういった王道ロックをやりたいという思いはあります。
貴一はホフディランが好きだったり、岩出はアングラ・サイケっぽいのも好きだったりとか。後はRCサクセション、ルースターズ、じゃがたら…どこか漂う80年代っぽさは貴一の曲に強く感じますね。
もちろんビートルズやビーチボーイズも好きだし、ハーモニーは気持ちよくやりたいなと思ってます。最近違う声でハモるバンドってあんまりいないし。2人ともXTCとかムーンライダーズも大好きですよ。レゲエ、ソフトロックなども好きですし。
ちなみに最近、貴一はNRBQを聴いてるらしい。ベースのコピーとかしてるらしい。岩出は最近シンゲリ(タンザニアのダンスミュージック)を聴いてるらしい。Sissoというアーティストがオススメらしい。
前作から約2年半ぶり、新体制初のアルバムに詰まった“自然体”
「We’ll Love You」
フー・ドゥー・ユー・ラブ
2025年10月1日(水)にダウンロード&ストリーミング配信開始、10月29日(水)にCDリリースも行われた『We Don’t Know What Love Is』。前作からおよそ2年半ぶり、新体制となって初のアルバム制作は、いったいどのような経緯を辿って行われたのか。
今回のリリースは、きっかけも何も、溜まったものを出したって感じですけど、1stアルバムから結構経っちゃって…2年くらいかな? 今回で持ち曲は全部出しました。
ただ、2ndのデモCD-Rを自分たちで作ったのは1stアルバム出した頃で。そこにプラス6、7曲足して今の形になりました。感覚的にはもうちょっと早く出したかったですけど、間が開いたからこそ新しく入った茂木さんとの連携とか、曲をしっかり練って身体に落とし込んだ状態で、録音にも臨めたんじゃないかなと思います。
1stアルバムは中村宗一郎さんに録音もミックスもマスタリングもお願いしたけど、今回の2ndはそれぞれ全部違う人に任せてます。3人とも個性があって、いろんな人の感じが入ってて面白い気もします。全部別の場所で作業したことも新鮮だったし、録音自体もめっちゃ順調でした。立ち合いミックスは京都だったし、何往復もするのは大変だったけど、結局何の問題もなくできたと思います。
制作が始まったらかなり早かったというか。変にこだわらなくて、何回もやろうとしたりしなかったのも良かったです。ボーカル録りも凄くスルッと終わりました。俺(岩出)は過去最高に上手く歌えたと思ってるので、聴いて欲しいですね。

話を聞いていると、彼らの音楽のムードに通ずる自然体かつ脱力感あるスタイルを、音源制作においても随所から感じることができた。出来た曲を出来たままに、生まれた音を生まれたままにリスナーへと届ける。ある意味で非常に健全な精神・モードの中で、バンドが今思うままに自分たちの音楽を楽しんでいることも、2人の言葉からは感じられる。
そんな彼らに今作の聴き所を聞くと、こんなユーモアある言葉も返ってきた。
茂木さんの加入によって迫力あるビートになり、以前よりパワーアップした演奏が聴けると思います。よりロックな感じになって、それがサウンド全体にも影響して、曲が明確になったという感じがします。もちろん樋口の時もまた違ったグルーヴで、1stも1stで良い演奏が録れてると思います。ただ聞き比べると全然違って面白いですね。あと1stは中村さんが怖くて、縮こまっていたかもしれないです(笑)。
先人が築き上げたロックンロールへの敬愛、憧れを内包する“純粋さ”
「春の涙」
フー・ドゥー・ユー・ラブ
また今作のインタビューと併せて、普段のバンドの制作スタイルについても2人の見解を尋ねてみた。
今回の新作だけでなく総じてこれまでのどの曲も、2人ともコード進行とメロディはポップにしっかり作ってると思います。メロディとかは適当に作らず、太くなるように心がけてるかもしれないです。
アレンジに関しては曲によって色々あるけど、例えば今作に収録されている「夏の海の歌」はネオアコとかソフトロックっぽくアコギをキラッと重ねたり、ハーモニーを60年代っぽくしたりしました。ミレニウムとかロジャー・ニコルズみたいなソフトロックの曲が好きで、そういう風にしたいと思うことは多いです。まあでも2人なりのソフトロック。演奏の芯はパンク、ロックンロール的なビートでやってるつもりですね。
それぞれに個性と強みを持った村上貴一と岩出拓十郎というボーカリストだが、その源流を紐解くと共通して辿り着くのは、古き良きオールディーズ・ロックンロールへの真摯な敬愛と憧れだ。
音楽創作における手法・技術がまだまだ未発達であった当時ならではの、アナログなバンドサウンドそのものが持つ純粋さ。加えて、そんな純粋なロックの音に対し、彼らが持つリスペクトの純度の高さ。「フー・ドゥー・ユー・ラブ」というバンドの持つ「いなたいカッコよさ」は、そういった二重の意味合いでの純粋さを根拠としているのだろう。
音楽における温故知新の良さ。はたまた数十年の時を経ても、良いものは良いという価値観を貫く粋さ。自らのバンドの活動を以てそれらを発信し続ける彼らに、最後に今後の目標・活動指針についても訊いてみた。
持ち曲が0になったけど、時間を開けないで来年もアルバムを出したいです。新曲も用意し始めたところです。なんか今のノリとしていけそうな感じはある。
あとは来年以降、フェスとかにももっと出たいですね。今年「パンと音楽とアンティーク」という競輪場を使ったフェスに出演して野外で演奏したんですが、それが気持ちよかったので。野外でも俺らもっと盛り上げられるんで(笑)、お誘いお待ちしてます。

MESSAGE ハロー、みんなフー・ドゥ・ユー・ラブに興味を持ってくれてありがとう。 メールインタビューでちょっと味気ないけど、バンドから代表して貴一と岩出が一緒に考えながらお答えしたぜ。よろしく。 そしてアルバムを聴いてくれた人、どうもありがとう。 こう見えて社会派で、愛と平和目指してるので、俺らの曲を聴いて考えてくれたら嬉しいぜ。 ロックンロール。
(取材/文・曽我美なつめ)
PROFILE

フー・ドゥー・ユー・ラブ
村上貴一(ex-キイチビール&ザ・ホーリーティッツ)と岩出拓十郎(本日休演)という2人の個性的なソングライター/ボーカルを擁し、ピュアでポップでひねたメロディが瑞々しく躍動するスリーピースバンド。新たなドラマーとしてthe myeahnsやピーズでも活躍する茂木左が加入。2025年10月に待望の2ndアルバムが完成。
メンバー
村上貴一(Vocal / Bass)
岩出拓十郎(Vocal / Guitar)
茂木左(Chorus / Drums)
活動開始
2021年
主な活動拠点
東京都
HP / SNS
X @wewhodoyoulove
Instagram @who_doyou_love
LIVE
■WHO DO YOU LOVE LIVE TOUR 2025-2026
・1/17(土)
福岡・public space四次元
・2/11(水祝)
東京・渋谷WWW
・2/15(日)
大阪・心斎橋Live House Pangea
・2/23(月祝)
沖縄・浦添groove(w/天国旅行)
■redcloth×フー・ドゥ・ユー・ラブ pre.
・1/31(土) 新宿red cloth
フー・ドゥ・ユー・ラブmeets THE HOLDENS
・2/28(土) 新宿red cloth
フー・ドゥ・ユー・ラブmeets 大木温之
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