ガールズバンドと聞いて、どんなイメージを抱くだろうか。やわらかな声色？ うっとり味わえる演奏？ しなやかに駆けるライブ？ ある程度「ガールズバンド」のイメージは固まっているかと思う。
しかし、そんな概念をさらに広げている「炙りなタウン」というバンドがいるので紹介したい。
2018年に結成された「岡山発平成最後の貧乳パンクバンド」というちょっとふざけたキャッチコピーを持ち、岡山・倉敷を中心に県内外で活動しているガールズバンドである。2020年3月には1st EP『我楽多』をリリースし、今後もさらなる活躍が期待されている。
パワフルなライブから溢れ出る3人の魅力
炙りなタウンの魅力は、少し青臭さが残る「女の本音」をパンクに歌っているところ。その姿に「ああ、こんな衝動や葛藤もあったなあ」と懐かしい青春が呼び起こされるのだ。窮屈な壁を気にすることなく、がむしゃらなライブ演奏には本当にエネルギーをもらう。
メインボーカルはGt.ゆきなりだが、Ba.しおきちとのハモりや掛け合いも心地いい。Gt.ゆきなりの力強い声と、Ba.しおきちのキュートで芯の通った声が炙りなタウンの音楽を彩り、それらを支えるDr.やままのドラムはいつも安心感がある。3人のバランス感覚と漲ったパワーをどうか一度体験していただきたく、炙りなタウンを強く勧める。
まっすぐな歌詞が織り成す、青春の葛藤
YouTubeでMVが公開されている『63円』という曲はまさにハモりと掛け合いが好きだ。BメロのサウンドとBa.しおきちの声で胸がきゅうっと切なくなるが、サビでGt.ゆきなりの声を浴びると一気に心が晴れやかになる。そんな感情のラリーが「青春の葛藤」を強く表していて共感を覚えてしまう。
じっくりと聞く際にはもちろん歌詞にも注目してほしい。『63円』のサビでは「海よりキミに飛び込みたかったぜ」と最後に歌っていてとても印象的だ。真っ直ぐすぎる言葉の数々は、炙りなタウンの人情が溢れ出ていると強く感じる。そして歌詞とパンクな演奏が3人にしっかりマッチしていて、いつも鼓動を揺さぶられるのだ。
ちなみに『63円』とは一体なんのことなのか、じっくり歌詞を感じ取ってみると答えが出てくる。じんわり汗をかいた夜の川辺で食べたくなったり、夕焼けをくっきり見ることができる防波堤にしゃがんで食べたくなったりするものだ。夏の青春を味わうべく、ぜひ聞いてほしいイチオシの一曲だ。
他にも筆者がイチオシの曲は、1st EP『我楽多』の一曲目に収録されている『馬鹿』である。「馬鹿だからわからない」というなんとも素直で憎めない歌詞が特徴的で、キャッチーなサウンドに心を奪われてよくリピートしている。リリース前にもライブで歌っていたので、音源化されると聞いたときは純粋に嬉しかった。今後の炙りなタウンの代表曲に並ぶはずだ。
青臭さを歌う姿を「ダサい」と思うか、「カッコいい」と思うかは、やっぱりライブを見てもらった方が早い。世代を問わず、がむしゃらな姿を応援したくなる人はきっと多いはず。ぜひ炙りなタウンの音楽が広く知れ渡り、今後のガールズバンドをぐんぐん牽引してほしいと切に願う。
MESSAGE
ヂラフマガジンをご覧の皆さん！ やっぴー！ 炙りなタウンです！
炙りなタウンは岡山、倉敷を中心に活動している平成最後の貧乳パンクバンドです！ 今回はありがたいことにギターボーカルのゆきなりの中学からの友達きゆかちゃんが誘ってくれたぜー！ ありがとー！
3月15日より発売の1st e.p.『我楽多』
がらくたっていうと想像するのはゴミとか、使い道のないものを想像するけど、がらくたの意味にはもうひとつありまして「他人には価値のない雑多なもの」って意味があります。 わしにはこれが自分にとっては宝物って意味に思えたんですよね。だからこのタイトルにしました。
わしらの宝物が詰まった3曲、ぜひ手にとって聴いてください！ そしてライブハウスであなたの我楽多を教えてくださいな〜！
こんな大変な時期にライブができなくて悔しいけどいつかライブハウスでみんなと歌いたいです！ 待ってるぜー！
じゃな！ ばいびー！
（文・きゆか）
PROFILE
炙りなタウン（あぶりなたうん）
メンバー
L→R
やまま（Drums / Chorus）
ゆきなり（Vocal / Guitar）
しおきち（Vocal / Bass）
活動開始
2018年
主な活動拠点
岡山、倉敷
HP / SNS
公式サイト
公式Twitter @aburinatown
公式Instagram aburinatown
公式YouTubeチャンネル
