ジャンルも世代も国境も越えた、東京スカパラダイスオーケストラの魅力に迫る

倉田 航仁郎

倉田 航仁郎

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1985年の結成以来、幾多のメンバーチェンジを経験しながら快進撃を続ける東京スカパラダイスオーケストラ。この記事では、若手に引けをとることなく、今も最前線でミュージックシーンを牽引し続ける彼らの歴史を追いながらその魅力に迫っていきます!


東京スカパラダイスオーケストラとは?

現在はパーカッショニスト兼ドラマーとして活動を続けるASA-CHANGが創始者となって1985年に結成されたスカバンド。それが『東京スカパラダイスオーケストラ』、通称『スカパラ』です。

レゲエやジャズをルーツにした音楽ジャンル『SKA』を軸にした幅広い音楽性で人々を魅了し続けています。

ASA-CHANGは1993年にリリースしたアルバム『PIONEERS』への参加を最後に脱退しますが、残ったメンバーは脱退や急逝、加入など様々な苦難を乗り越えながらも勢力的に活動を継続し、日本が世界に誇るスカパンドとしてその名を轟かすまでに成長しました。それまであまり馴染みのなかった『SKA』というジャンルを幅広い層に浸透させ、のちに続くインストバンドやスカパンクバンドなどに多大な影響を与え続けています。

リーダー不在のマルチブレーン

2019年現在、メンバーは下記の9名。

  • トロンボーン/北原雅彦
  • テナーサックス兼アジテーター/GAMO
  • パーカッション/大森はじめ
  • キーボード/沖祐市
  • バリトンサックス/谷中淳
  • ベース/川上つよし
  • ドラム/茂木欣一
  • トランペット/NARGO
  • ギター/加藤隆志

これだけ大所帯にも関わらず、適宜必要な人がその場を仕切るというリーダー不在のマルチブレーン状態で活動を続けています。この方式を採用することで、一辺倒にならず、自由で奔放な型にハマらない活動が続けられているのかもしれません。

メディアへの露出はバリトンサックスの谷中淳が多いですが、その他のメンバーそれぞれ個性が強く、この人数ながら誰ひとり埋もれることなく存在感を発揮しているのも魅力ですね。

『SKA』というジャンルを日本に広めたパイオニア

スカパラが軸としている『SKA』とは、ジャマイカ発祥の音楽ジャンルで、裏打ち(2拍目4拍目)を強調する弾むようなリズムが特徴です。ギターやホーンセクションが「ンチャッンチャッンチャッンチャッ」と軽快なリズムを裏打ちで刻み、その上でメロディが流れる構成で、様々な楽曲で取り入れられています。

ジャズやR&Bの影響を受けながら独自の進化を遂げてジャマイカを席巻した『SKA』は、1950年代の発祥から現代まで様々な音楽と融合しながら継承されてきました。

そのため、ひとことで『SKA』といっても様々なジャンルがあります。例えば、緩やか『オーセンティックスカ』、オシャレな『2TONE(ネオスカ)』、激しい『スカパンク』や『スカコア』、ポップス寄りの『ポップスカ』等が挙げられます。

これらの中で、スカパラはそのどれともいえないジャンルレスな『SKA』を聴かせてくれるのです。バンド名で『SKA』を名乗って活動する中で着実に『SKA』ファンを増やしてきたスカパラは、まさに日本におけるスカシーンのパイオニアと呼んでも過言ではないでしょう。

活動は海を越える

スカパラのメインフィールドは日本とはいえ、その活動は海を越えています。幾度となく世界ツアーを敢行し、国境や人種を越えて会場を揺らし続けているのです。

2009年に行われたヨーロッパツアーのフランスライブの様子が公式YouTubeにあがっていましたが、その熱気を感じることができることでしょう。

インストだけじゃない。魅力が詰まったスカパラ歌モノ特集

基本的にボーカルレスであるスカパラ。とはいえ、様々な歌モノもリリースしていますのでそれをご紹介しましょう。

スカパラのドラム/茂木欣一がボーカルを務めた『銀河と迷路』。ドラマのタイアップにもなり、この曲でスカパラを知ったという人も多いのではないでしょうか。


ここからはコラボ曲のご紹介。コラボするアーティストの魅力を最大限に活かす楽曲を製作してゲストに迎える、スカパラの柔軟性とセンスを感じられる楽曲たちです。

ユニコーンとしても活動する奥田民生とのコラボ曲『美しく燃える森』。気だるく歌う奥田民生とゆったりとしたムードスカが相性バッチリ。このあと数曲、この組み合わせで楽曲が製作されたことからも、相性の良さがうかがえます。

thee michelle gun elephantやThe Birthdayのフロントマン、チバユウスケとコラボした『カナリヤ鳴く空』。ジャキジャキした雰囲気とセクシーなスカで大人の世界観を表現しています。個人的にスカパラコラボ曲の中で最もシビれると思っている、純粋にかっこいい1曲です。

異質にも思える組み合わせですが、ポップなスカで桜井和寿の雰囲気をうまく表現した1曲になっています。スカパラ30周年を記念して実現した夢のコラボで話題となりました。

音楽という『祭り』を心から楽しむライブバンド

大所帯で大御所で、もはや日本のミュージックシーンの古株に位置するスカパラ。しかしそんなことを微塵も感じさせることなく様々なアーティストとコラボし、世界中の観客を沸かせ、日本のスカシーンを、フェスを盛り上げ続けています。こうした飽くなき探究心と、音楽という祭りを楽しむ精神こそが彼らの魅力なのでしょう。

その精神はライブでこそ真価を発揮しますので、是非一度ライブに足を運んで、体感してみてください。きっともっとスカパラを好きになること間違いなしです。

(文・倉田航仁郎)


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東京スカパラダイスオーケストラ
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