【乃紫】「“一目惚れ”されるような曲を作りたい」エモーショナルな存在感を放つTikTok発のシンガー

宮本 デン

宮本 デン

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目を細めたくなるほどの眩しさと、どうすることもできない切なさを運ぶ夕暮れが、そのまま彼女という人間になったような——そんなエモーショナルな存在感を醸し出すシンガーソングライター・乃紫(のあ)。

2022年よりTikTokに曲の制作過程をダイジェストとして載せた動画を投稿し、活動開始1ヶ月後には200万回再生を突破。2023年から本格的に音楽活動を開始し、2023年6月21日には4曲目となる「東京依存性」をリリースした。

「大学の知り合いにDTMのソフトを触らせてもらったことがきっかけで、作曲にのめり込むようになりました。それ以前から文章を書くことや動画撮影・編集が好きだったので、どうせならショートコンテンツとしてSNSに載せてみようと思い立ち、実験的にTikTokを中心とした活動を開始したんです」

その独特なリズム感から紡ぎ出されるキャッチーな音楽の鮮烈さは、一度聴けば虜になってしまう。TikTokから更に活動の幅を広げた彼女を世間が見つける未来は、そう遠くないだろう。

まるでスクリーンを一枚隔てた向こう側にいるような、どこか危うさすら覚えるような儚い雰囲気を持つ彼女だが、一体どのような人物なのだろうか。今回はその輪郭を探るべく、音楽のルーツから今後の展望まで、広く話を聞かせてもらった。


弱さも強さも投影して、ちゃんと愛していけるような曲が大好き
『東京依存性』
乃紫
youtube動画


「幼少期にピアノとバイオリンを習っていました。その頃は作曲なんて考えたこともありませんでしたが、必要となる音感やリズム感、コード進行などのおおまかな感覚は鍛えられたのかもしれません。

高校生のときに母のアコースティックギターを実家の物置で見つけて興味本位で弾き始めましたが、こちらも誰かの前で演奏するという発想はありませんでした」

「女子大生がセンスだけでかっこいい曲作ってみた」でお馴染みの乃紫だが、幼少期から着実に経験を積んでおり、その経験が今の音楽活動に寄与していることがうかがえる。天性の才能とこれまでの経験が合わさった結果が、現在の彼女の活躍をもたらしているのだろう。

クラシック好きのご両親の影響もあってクラシックコンサートへも足を運んだが、その他にも自分で好きなアーティストを見つけて広く浅く聴くのが好きだったと語ってくれた。

「幼少期からずっと聴いているのは椎名林檎さん、東京事変さんです。自分自身の弱さも強さも投影してちゃんと愛していけるような曲が大好きで、今でもよく聴いています

「自分自身の弱さも強さも投影してちゃんと愛していける」。それは人としての強さの指標のひとつである。そしてこの言葉を聞いたとき、彼女自身もそういう強さを持ち合わせているのではないだろうか、とふと思った。どこか掴みどころのなさげな雰囲気の彼女だが、弱々しさはあまり感じない。むしろ確かな存在の強さを静かに感じさせてくれる。その理由が少し、わかった気がした。

ストリーミング世代での音楽活動。大切にしているのは「一目惚れ」

「TikTok世代、ストリーミング世代の中で音楽活動を始めたので、一目惚れしてもらえるような曲でないと流されてしまうという意識があります」

「一目惚れ」されるような、一度聴いただけで覚えてもらえるようなキャッチーなメロディと歌詞を大事にしていると語る乃紫。それがどのような効果をもたらしているかは、TikTokでの快進撃が物語っている。

例えば2023年5月に再リリースした「アフターオール」などは、サビの進行が独特であるがゆえに、一度聴いただけでは音を取るのが難しい。だが決して頭から離れない、そんな曲である。

あの曲を聴いたときがまさに、筆者が彼女の音楽に「一目惚れ」した瞬間だった。

『アフターオール』
乃紫
youtube動画


「若年層だけでなく少し大人の世代にも刺さる、どことなく懐かしいような印象を持ってもらえる世界観を作るようにしています。作詞と作曲は同時に行い、友達と話している時、ネットの記事を見ているときなど日常のさまざまな場面でピンと来た言葉をiPhoneのメモ機能に残しています」

決して古臭くはないのに、どこか平成の初期を感じさせるようなMVや音楽は、乃紫の日常の中で紡がれているものだという。何気ない日常の中から見つけ出す感性の鋭さは、やはり幼少期から広く浅く音楽を聴き続けてきたことによるものなのだろうか。

また、ここ数年は「昭和レトロ」が音楽に限らず流行している傾向にある。そういった時勢もあり、彼女の曲は一気に若い世代に受け入れられたのだろう。今後、TikTokを使わない世代が彼女の音楽と出会ったときどのような化学反応を起こすのか、非常に楽しみである。

同世代のVaundyやWurtsを通して見えた、新しいアーティスト像への展望

「音楽活動を本格化させたいと思わせてくれたアーティストは、Vaundyと Wurtsです。お二方とも同世代で、楽曲制作だけではなく映像、アートワークにまで及ぶ活動をされていて、これからの時代の新しいアーティスト像を見た気がしました」

作詞作曲編曲に留まらず、映像やアートワークまでを自己プロデュースするマルチアーティストとして活躍したいと語る乃紫。一刻も早く自分の作品を多くの人に届けたいと展望を語る彼女の輪郭は、もう話を聴く前よりも遥かにはっきりとした、力強く愛しいものとなった。

実は乃紫は、本格的に音楽活動を始める前にもいくつか曲をリリースしている。筆者自身も当時からのファンであったため、それらの再リリース予定はないのかを聞いてみたところ、

「今年は新曲のリリースをガンガン行っていく予定で、今のところ『アフターオール』を除く再リリースの予定はないです。ですが、今後ブラッシュアップされた過去の曲を再リリースする機会があれば是非ご注目ください」

あの頃よりも感性が磨かれた乃紫によって紡がれるあの曲に、もう一度出会えるかもしれない。そのいつかを夢見ながら、そしてまだ見ぬ新曲との出会いに胸をときめかせながら、彼女の今後に注目していきたい。

(文・宮本デン)


PROFILE

乃紫(のあ)

乃紫(noa)は、作詞・作曲・編曲・歌唱・映像・アートワークに至るまでをセルフプロデュースする新世代女性シンガーソングライター。 2022年から本格的に音楽活動を開始し、「女子大生がセンスだけでかっこいい曲作ってみた」というテーマで投稿したオリジナル楽曲が、200万回以上の再生を記録。これまでもTikTokでバイラルヒットした「杯杯」「接吻の手引き」の2曲を配信し、Z世代女性を中心にSNSやサブスクで話題の大注目アーティスト。

活動開始

2022年

主な活動拠点

東京都

HP / SNS

YouTube @noa_aburasoba

MESSAGE

ソロアーティストの乃紫と申します。
6/21に新曲「東京依存性」がリリースされました。
自信作となっておりますので是非お聴きください☺︎

乃紫