【UNFAIR RULE】夢を諦めた高校時代。想定外の日々を歩む彼女たちが、全国で掻き鳴らすありのままの想い

竹内 将真

竹内 将真

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「私たちの音楽が全国に届いていることも、全国のCDショップに置いてもらっていることも、まだまだ実感はなくて夢のようです」

人生は時として、思いもよらぬ方向へ進んでいくことがある。そのきっかけはほんの些細なものかもしれないし、立ち直るのに時間がかかるほど大きなものかもしれない。今回、話を伺ったUNFAIR RULE(アンフェアルール)のVo./Gt.山本珠羽(みはね)も、過去の出来事がきっかけで想定外の日々を過ごすことになった1人である。


あなたはそのままでいい。
UNFAIR RULEが描く着飾らない感情は、リスナーの背中を押してくれる

UNFAIR RULEは2019年6月に岡山で結成された、Vo./Gt.山本珠羽とBa./Cho.片山葉(よう)、そしてDr./Cho.杉田崇(しゅう)の3人からなるスリーピースバンドだ。山本珠羽の芯のある優しい歌声をリズム隊の安定した演奏が支えている。

その中でも注目を集めている理由の1つが、山本が描き出す歌詞だろう。着飾らない、自分の本心をありのままに描き出した瑞々しい歌詞。ありのままをそのまま外に出しているからこそ、アーティストではなく、山本珠羽という1人の人間としての感情がリスナーの心に直接届いているのではないだろうか。

4月にリリースされた初の全国流通盤『いつものこと』に収録されている楽曲もそのような歌詞ばかりである。しかし、その中で1曲だけ、他の曲とは毛色の違う楽曲があった。多くの楽曲は人間関係や恋愛経験を基にしているが、この曲には自分の人生が変わったきっかけと決意を歌っているような印象を持った。

それが「非行少女」という楽曲だ。はじめてこの楽曲に触れた時、心が非常に熱くなった。感動とは少し違う、「そのままでいい」「自分の道を進む決意を持て」と励まし、応援してくれるような感覚。きっと、この楽曲に綴られている山本珠羽の感情に感化されたのだと思っている。多くのリスナーがUNFAIR RULEの歌詞に共感する理由が、実体験で理解できた瞬間でもあった。

今回はこの1曲にスポットを当て、この楽曲ができた経緯やこの曲を受けたメンバーの反応など、様々な角度からUNFAIR RULEのメンバーに尋ねてみた。

『いつものこと』
UNFAIR RULE

2023.04.26 Release
全国初流通盤 2nd Album

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山本珠羽が想定外の人生を送ることとなった高校時代の経験とは?
『非行少女』
UNFAIR RULE
youtube動画


「福祉関係の仕事をしたかったという夢は諦めたけど、結果的にバンドに専念する選択肢をくれた人たちにはありがとうの気持ちでいっぱいです」

山本珠羽は小学生の頃から、人のために何かをすることが好きな献身的なタイプで、将来は介護士や看護師になりたいという夢があった。高校に入学してから、小学生の時に抱いた夢を叶えるべく福祉コースへと進んだ。

福祉コースでは、テストやレポートで高得点を取り、実習にも熱心に参加しており、夢を叶えるために人一倍努力を重ねていたという山本だったが、2年生に上がってから状況が一変してしまったという。

「2年生で福祉の授業に休まず通うと資格がもらえたんです。その資格をもらうために頑張ろうと意気込んだ矢先に、担任と生徒に色々めちゃくちゃにされてしまって、通えなくなってしまいました。しかも、2年生の福祉の授業が始まるタイミングで。余計に心が折れましたね」

夢への階段を一歩ずつ上がっている最中に起きた出来事。夢に向かって人一倍努力をしていたからこそ、この出来事が山本に与えたダメージは大きかった。小学生の頃からの夢を諦めなければならないほどに。

大きな挫折を経験した山本だったが、周囲の人たちの支えによってバンドマンへの道を歩み出していく。

「でも、友達に会いたくて学校に行った日に、保健室で先生と話をしたりして、それが心の支えになっていました。怪我をしているわけではない私を理解してそばにいてくれた保健室の先生は大好きでしたね。少しだるそうな日もあったけど(笑)」

このような人に支えられていた山本の当時の感情が「非行少女」の歌詞に描かれている。それゆえ、話を伺ってから改めて聴き直してみると、これまで以上に深く、この楽曲に込められた感情に触れられたように思う。

ありのままの感情はメンバーを、そしてリスナーをも巻き込んでいく

冒頭で「着飾らない、ありのままの感情だからこそ、リスナーの心に届く」と書いたが、それはバンドメンバーも例外ではない。

Ba.片山葉が「私は学校でたくさん友達ができるタイプではなかったです。でも、バンドを始めてからちょっとずつ友達ができて、色んなことを考えられるようになった自分を良いと思っていて、『非行少女』を初めて聴いた時はなんとなく自分と重なったというか、全く同じ人生ではないけど救われたと思いました。本当にこれでいいんかな、と思ってた私を肯定してくれる歌です」と答え、Dr.杉田崇が「自分もメンバーと同じ夢に向けてもっと頑張ろうと思ったきっかけの曲です。元々別の夢があったのにもかかわらず、夢を諦めて音楽の道に進む姿もみーちゃん(山本)らしいなって思うし、みーちゃんの作る歌が大好きなので一生ギター鳴らして歌っていて欲しいです」と答えているように、山本珠羽の純粋な感情は聴く人を巻き込む力があるのだと思う。

様々な関わりの中で、自分の感情をありのままに吐き出すのは勇気がいる。そのため心に背いた選択を続けている人や、自分自身がわからなくなったり、心を病んでしまったりする人が多い。

そのような中でも、最終的に自分や他者の心を動かすのは、やはりありのままの感情なのだろう。本心を相手にぶつけるからこそ、思いが伝わり、共感につながるからだ。山本の歌詞が多くのリスナーの共感を集めているのは、本心をありのままにさらけ出しているからなのではないだろうか。

「大人になった」UNFAIR RULEがこれから歩んでいく道

「バンドを始めてからたくさんのライブをやってきましたが、同じライブをしたことは1回 もなくて、その日の自分の感情のままにライブをしているので毎日見ても飽きさせない自信があります。その日に関わってくれている人やお客さんを想う気持ちと自信。いつもそれを大切にしながらライブをしている…気がします

この自信に裏付けられているのは、過去の挫折から一歩ずつ確実に歩んできた日々なのかもしれない。もちろん、心が折れそうになったことは何度もあるだろう。しかし、それらの経験を糧にして、歩みをやめなかった人間は強く、美しい。そんなことを感じさせる一言であった。

その時々の感情を表現し続けてきた山本珠羽が「その時やりたいことを、必死こいてやり抜いていこうと思っています」と語るように、彼女たちはこれからも刹那的に生まれる感情に従って音楽を生み出し、今より多くのリスナーの心を掴んでいくだろう。これからどんな大きなバンドに成長していくのか、ファンとして楽しみだ。ぜひ、ライブハウスへ足を運んで、UNFAIR RULEの熱と想いを感じてみてほしい。

(文・竹内将真)


PROFILE

UNFAIR RULE
(アンフェアルール)

岡山発! 山本珠羽(Vo./Gt.)、片山葉(Ba.)、杉田崇(Dr.)からなる岡山発3ピースロックバンド。現在18歳のみはね(Vo./Gt.)から放たれる、優しく且つ芯のある歌声と、”今っぽさ”が濃縮された10代の目線で歌われた歌詞は聴くものを魅了している。見た目や歌声とは裏腹に、ダイナミックなライブは今ライブハウスへ通う若者達から人気を集めている。

CD流通や音源配信がされていない中、一部の店舗とライブ会場のみで発売されていた作品が口コミで評判を呼び、インディーズバンド音楽配信サイト「Eggs」のスタッフが2022年を象徴する10枚を選ぶ「Eggs Choice! Award 2022」に選出、さらに今年1月にオンエアされた日本テレビ「バズリズム02」の「今年これがバズるぞ!THE BEST 10」にランクインするなど大きな注目を集めている。「京都大作戦2022 前夜祭」に出演し、「FM802 MINAMI WHEEL 2022」では入場規制がかかるなど、着々と知名度を拡大中!

4月に初の全国流通盤『いつものこと』をリリース。タワーレコードのタワレコメンを獲得し、「ああバンドやりたい!」第二弾アンバサダーにも起用されるなど勢いは増すばかり! 現在『いつものこと』リリース全国ツアー真っ只中の彼女らから目が離せない!

メンバー

山本珠羽(Vocal / Guitar)
片山葉(Bass / Chorus)
杉田崇(Drums / Chorus)

活動開始

2019年

主な活動拠点

岡山県

HP / SNS

Official Website
Twitter @UNFAIR_RULE
Instagram @unfair_rule
YouTube @UNFAIR_RULE

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