意外と多い「素顔を隠して活動するバンド」。日本でいえば聖飢魔II、海外でいえばKISSのように激しいメイクや独特のマスクで演奏するバンドの中から、今回は覆面をかぶっているバンドに焦点を当ててご紹介します。
「これからバンド活動がしたいけど恥ずかしい…」というシャイなあなたに贈る、覆面バンドのススメ。そこに信念と熱意があれば素顔を隠したっていいんですよ?
覆面バンドの代名詞『MAN WITH A MISSION』
覆面バンドといえば、今やこのバンドをハズすわけにはいかないでしょう。5人組のオオカミバンド、MAN WITH A MISSIONです。
とはいえ彼らは、顔はオオカミで身体は人間という「究極の生命体」。正確には覆面ではありませんので、その辺りはご了承ください。ただ今回は、一応「人間だと仮定したら素顔を隠しているはず」という観点でランクインしてもらいました。
ターンテーブルやサンプリングを行うDJを従えたロックバンドで、激しいながらもメロディアスな楽曲で多くのファンを獲得しており、今やフェスには欠かせない存在となっています。その活動は国内だけにとどまらず、海外ツアーも敢行するなど世界規模で人気を博している、日本が誇るマスクバンドです。
素性の知れないクリエイター集団『Xmas Eileen』
目元だけ隠した白い仮面で活動する11名のクリエイター集団、Xmas Eileen。ステージングは7名、コンポーザーやデザイナーといった裏方4名という構成で、ミュージックビデオやジャケットワーク、グッズなどのデザインも自分たちで手がけています。
しかも、この人数にもかかわらず全員名前が『NO NAME』となっている、謎に満ちたバンドです。
とはいえ、仮面も「ギャグであり、いつでも外せる」と公言していることから、ミステリアスな雰囲気で推していきたいわけでもないというのが、なんとなく親近感が持てますね。活動開始してすぐに上記のMAN WITH A MISSONなど大型バンドのツアーサポートに抜擢されたり、大型フェスに名を連ねるなど、勢力的に活動しています。
まるでSF映画の登場人物『CTS』
まるでSF映画に出てくるような、顔の部分に発光するLEDモニタを搭載した覆面を被って活動する3人組エレクトロユニット。一度見たらその姿を忘れることはないほどのインパクトを持っています。
メンバーは、ボーカル/Circle、シンセサイザー/Triangle、DJ/Squareという名前で活動しており、それぞれの頭文字を取ったユニット名になっています。
デビューEPをYouTubeで配信してからクラブシーンを中心に人気が広まっていき、CMやゲームとのタイアップを果たすなど、その実力は折り紙つき。エレクトロなダンスポップに乗せた親しみのある日本語を基調とした歌詞が、とても馴染みやすいと思います。
人間の内側をえぐる『神様、僕は気づいてしまった』
最近、人気急上昇中のスリーピースバンド、通称『神僕(かみぼく)』。
なんとも形容しがたい形状のマスクを被って活動する彼らは、そのマスクについて「楽曲をきちんと伝搬するにあたり邪魔になる表情を隠す意図がある」と公式にコメントしており、明確な意志とこだわりを持って着用しています。
そんなこだわりは楽曲にも現れており、人間の内面をえぐるような歌詞の世界観や、独特なメロディセンスで他の追随を許さず、ひときわ異彩を放っています。ギターボーカル/どこのだれか、の声も非常にクリーンで耳触りがよく、丁寧に歌詞を届けてくれるので心にスッと落ちてくる。
見た目の奇抜さに騙されるなかれ、ハイセンスで高い演奏技術に独特の世界観を持つ彼らの今後の活躍から目が離せません。
マスクドバンドの最高峰『Slipknot』
猟奇的なマスクで見るものを震撼させる、アメリカが誇るマスクヘヴィメタルバンドの最高峰、Slipknot。1995年の結成以降、世界中で記録的なヒットを連発しています。
まるでホラー映画に出てくるようなその容姿は一度見たら忘れることができないほど。サマーソニックや来日公演などで目にした人も多いのではないでしょうか。
その過激な見た目に反することなく、デスボイスを交えた激しく、時にメロディアスな音楽性を武器に音楽シーンを沸かし続けています。このバンドの音楽に影響を受けたアーティストは数知れず。独特の存在感を放ち続ける彼らは、今後も世界中で新たなファンを獲得しつづけることでしょう。
「覆面=企画モノのおふざけバンド」ではない
一見ふざけたマスクをかぶり、素顔も見せず演奏する覆面バンドに対して、「本気ではないのだろう」という声も少なからずあるでしょう。しかし、明確なポリシーと信念を持ってそのマスクをかぶり活動を続ける彼らに、ふざけた要素など微塵もありません。
表情が見えないからこそ、音楽の世界観がストレートにリスナーへ届く。そこに見た目のインパクトが加わって、一度目にすれば忘れることができないほどの衝撃を私たちに与えてくれます。
自分たちの音楽性を表現する方法のひとつ。それが「覆面をかぶること」。これからも彼らはその表情を覆面の中に隠し、人間の内に秘められた様々な感情を音に乗せて運んでくれることでしょう。
(文・倉田航仁郎)