アーティストの生ライブを体感できる「ライブハウス」。Zeppや豊洲PITなどキャパ数千人の大規模会場から、数十人でいっぱいになる小さな会場まで、さまざまなライブハウスが全国各地に点在しています。
ひと昔前は「ライブハウス=ちょっと怖い」というイメージがあったかもしれませんが、実際はそんなことありません。スタッフさんは(一見無愛想だとしても)だいたい親切でウェルカム。アパレルショップのようにスタイリッシュなお店も増えていて、ひとりで来る若いお客さんもたくさんいます。
そこで、初めてライブハウスに行く予定の方・今後行ってみたいと思っている方に向けて、ライブハウス上級者の編集部スタッフが徹底ガイド! 事前に不安を解消して、初めてのライブハウス体験を思いきり楽しみましょう!
初めてのライブハウスガイド -準備-
◆ ライブハウスに適した服装は?
Tシャツ、パンツ、スニーカーは間違いなし。激しく動かないライブなら普段着でOK。アーティストのグッズTシャツも一体感を味わえておすすめ!
激しめアーティストなら、動きやすさ重視
ロックやパンク系のバンド、クラブやダンス系のアーティスト、アイドルなど、いわゆる“ノリのいい”楽曲の多いアーティストのライブは、オーディエンスも激しく動く場合が多いです。Tシャツ、パンツ、スニーカーなどの動きやすい服装が吉。ライブハウス内は季節問わず熱気でかなり暑くなるため、汗対策でタオルを首に巻くのも一般的。
とくにロックやパンク系は、ライブハウスで禁止されていなければモッシュ(客同士がノリながら激しく体をぶつけ合うこと)やダイブ(密集する客の上に飛び乗ること)が発生する可能性も。自分もやりたい場合はもちろん、参加するつもりがなくても巻き込まれる場合もあるので、スカートやヒールは要注意。帽子やアクセサリーも外しておいたほうが安心かもしれません。
大きな荷物はロッカー(後述)に入れて、できるだけ身軽になるのがおすすめ。フロア内では手ぶらか、もしくは小さめのショルダーバッグやサコッシュに貴重品だけ入れて身につけます。おすすめのライブ用バッグはこちらからチェック。
なんだか脅しみたいになってしまいましたが……、激しい動きをするオーディエンスはたいてい前方中央部に集中するので、巻き込まれたくなければ壁際や後方に立ちましょう。その場合、服装や荷物はそんなに気にする必要はありません。周囲の邪魔にならなければ、コートを脇に抱えたり、バッグを足元に置いたまま観ている人もいます。
会場ではアーティストのグッズを販売していることが多いので、グッズのTシャツやタオルを買ってその場ですぐに使うのも◎。アーティストとの一体感を味わえますよ。もちろん、自宅から着ていくのもアリ!
聴き入る系アーティストなら、普段着でOK
聴き入る系の楽曲の多いバンドやシンガーソングライターのライブは、オーディエンスがその場からあまり動かないため、服装は自由でいいと思います。ただし、ライブハウスは基本的にスタンディングがメインで、フロアの隅に椅子があっても埋まっていることが多いため、ライブ中は1〜2時間立ちっぱなし。疲れにくい靴をおすすめします。
ライブハウスによってはフロア内に段差があることもありますが、全面フラットなことも多いです。私は身長が低く、立ち位置によってはステージがほぼ観えないことも。オーディエンスが激しく動くライブでなければ、あえて厚底のサンダルやブーツを履いていくこともあります。
荷物は足元にも置けますが、混雑具合によっては邪魔になる可能性が。ショルダーバッグやトートバッグなど両手があくバッグなら、拍手をしたり、ドリンク片手に腕を上げたりできるので便利です。リュックは背負わず前か足元に。
大規模ライブハウスの場合、1階がスタンディング、2階が指定席となっているケースも。もし指定席のチケットなら、アーティストの音楽性に関わらず服装は自由でOKです。荷物も座席の前や下に置くか、立ってライブを観るのであれば座席の上に置いておけます。
◆ ライブハウスに持参する持ち物は?
チケットとドリンク代さえあれば、とりあえずなんとかなる!
チケットとドリンク代はマスト!
最近は電子チケットが増えていますが、コンビニなどで紙チケットを発券しなければならない場合もあるので、事前に確認しておきましょう。
チケットがソールドアウトしていない公演、当日券のアナウンスがされている公演、インディーズやアマチュアのイベントなどは、チケットなしで行って当日券で入場できることも多いです。価格は前売券より少し割高。ちょっと上級者向けですが、あえて予定せずにふらっと立ち寄るのも楽しいですよ!
入場の際は、チケットとは別にドリンク代がかかることがほとんど。ライブハウスの多くは「飲食店」として営業許可を取得しており、飲食物を提供する必要があるからです。ドリンク代はライブハウスの貴重な収入源にもなっているので、「すてきな音楽との出会いをありがとう」の気持ちを込めてお支払いしたいもの。
近年は物価高の影響で以前よりやや値上がりしていて、600円程度のライブハウスが多い気がします。大きい会場や新しい会場だと交通系ICカード・電子マネー・クレジットカードなどキャッシュレス化されていることもありますが、現金のみの会場も多いです。事前にHPやSNSで確認するか、念のため現金を用意しておきましょう。ロッカー代やグッズ代で現金が必要なこともあるので、用意しておいて損はありません。
そのほか、必要になる可能性があるもの
ライブによっては、身分証明証やファンクラブ会員証が必要な場合があるので注意。
汗をかきそうなら、タオルや着替え、汗拭きシート、メイク道具なども。着替えはライブハウスのトイレや駅のトイレでささっと済ませます(ほかの人に迷惑をかけないようにね)。
先ほど紹介したように、フロア内で身軽になるためにはショルダーバッグやサコッシュがあると便利です。また、会場でグッズを購入する場合、袋やショッパーをもらえないことが多いので、エコバッグなどを持参しておくと安心です。
スマホの充電が心配な方は、モバイルバッテリーを。電子チケットやキャッシュレス決済の利用にスマホは必須です。最近はスマホのカメラで撮影OK、SNSでシェアOKのアーティストも増えているので、動画や写真をたくさん撮りたい方はしっかり充電しておきましょう。
大きい会場の2階席などでは、オペラグラスがあると観やすい場合も。
◆ ライブハウスへ行く前に調べておくことは?
場所と時間は必ずチェック。ロッカーの有無、キャッシュレス利用の可否、ライブ撮影の可否も調べておくと安心。
開場(オープン)と開演(スタート)の時間をチェック
ライブに遅れることのないように、場所と時間は事前の確認を。とくに時間ですが、ライブには「開場時間(会場がオープンして中に入れる時間)」と「開演時間(ライブがスタートする時間)」があるので、間違えないように注意しましょう。開場から開演まではだいたい30分〜1時間です。
大きいライブハウスの場合、開場時間より前にグッズ販売(物販)時間が設けられていることもあるため、グッズをねらっている方は要確認。
荷物があるときはロッカーのリサーチを!
初めて行くライブハウスの場合に私があらかじめ確認するのは、ロッカーの有無と場所と数。荷物をロッカーに入れる予定があるならマストです。基本的に「ライブハウスのキャパ(収容人数) > ロッカーの数」ですので、ロッカーを確保できない可能性もあるからです。
ロッカーが会場内にある(チケットを提示して入場したあとでなければ使えない)ライブハウスの場合、チケットの整理番号が早いほど確保できる可能性大。整理番号が遅く、キャパに対してロッカーの数があまりにも少ないときは、確保できない可能性を考慮して、最寄駅のロッカーに荷物を入れてから向かうという手もあります。
ロッカーが会場外にあるライブハウスの場合は、早いもの勝ち。心配なら開場時間より前に行って確保するのがおすすめです。
ライブハウスによってはクロークを用意していることも。専用の袋を渡され、そこに荷物を入れて預かってもらう形です。貴重品は預けられません。ロッカーより割高なことが多いですが、数の制限がなく(たぶん)、ロッカーに入らない大きな荷物があるときなどにも便利。
そのほか、調べておくと安心なこと
ドリンク代・ロッカー代・グッズ代にキャッシュレス決済が利用可能かどうか、ライブのスマホ撮影が可能かどうかなど、気になることがあればHPやSNSでリサーチ。ライブの撮影は以前はご法度だったため、とくにアナウンスがなければ原則禁止と考えておくのが無難です。詳細は会場で確認しましょう。
初めてのライブハウスガイド -当日-
◆ ライブハウス到着〜入場
初めてなら、開場(オープン)時間までに到着できると安心。万一、開演(スタート)時間に遅れてしまっても、途中入場できるので大丈夫。
何時くらいに行くのが正解?
初めての場合は、余裕をもってライブハウスに到着できるように向かいましょう。開場時間が近づくとライブハウスの入り口周辺にお客さんが集まっていることが多いので、迷いにくいと思います。ライブハウス名や出演者が書かれた看板なども出ています。
到着時間を決めるポイントは、「整理番号」と「フロアのどのあたりで観たいか」。
整理番号のあるチケットの場合は、開場時間になると整理番号順に呼ばれて入場する流れ。開場時間より前に待機していると安心です。キャパ数千人の大きなライブハウスで、整理番号が早くない(たとえば500番以降や、A・B・C…と分かれているうちのA以外など)ときは、入場に時間がかかるので開場時間より遅れて行っても大丈夫。番号を呼ばれたときにその場にいなければ飛ばされますが、あとからいつでも入れるので心配無用です。
整理番号のないチケットの場合は、フロアのどのあたりで観たいかによって到着時間を決めるといいと思います。最前列や前方中央、フロア内に柵や手すりがある場合はそのすぐ後ろなど、人気エリアをねらうなら開場時間より前に待機しておくのがおすすめ。観る場所にこだわりがない場合や、お客さんがそこまで多くない小規模イベントなどの場合は、何時でも問題ありません。
もし到着が遅れてライブが始まってしまっても、途中入場できます。ライブの演出によっては途中入場できない時間帯があることもあるので、スタッフさんの案内に従ってください。
入場はスタッフの案内どおりに
入場時には、チケットの提示とドリンク代の支払いをします。スタッフさんの案内、もしくは前に並んでいる人に従えば大丈夫ですので、気楽に行きましょう。ドリンク代を支払うともらえるチケットやコインは、ドリンクとの引き換えに必要です。なくさないように注意を。
複数アーティストが出演するライブの場合、たまに「お目当てのアーティストは?」と聞かれることがあります。これはチケット売上の配分を決めるための質問。お目当てが複数いても、1アーティストのみ回答するのがいいでしょう。
フロアへの入り口がわからなくてドギマギする問題
ライブハウスのつくりにもよりますが、たいていは入場してからフロア(ステージがある部屋)に入るまでの間にゴツめの防音ドアがあります。開場直後は人の出入りが多いのでドアが開きっぱなしになっていることも多いですが、ドアが閉まっていて、ほかのお客さんもいないときなんかは、たまに「入り口どこだっけ!?」と焦ることも(私だけ?)。
そういうときは落ち着いて観察を。「ホール」「HALL」「入り口」などの表示を探すか、特殊な取っ手のついたゴツそうなドアを探しましょう。間違いやすいのは楽屋・スタッフルーム・トイレなどのドアですが、間違って開けてしまってもちょっと気まずいだけなので大丈夫です。
防音ドアの開け方は、初めてだと面食らうかもしれません。取っ手を押しながら上か下にガッチャンとやるタイプが多いように思いますが、Zeppなどの大きい会場は手前に引いて開けるだけのタイプですし、まぁライブハウスによります。不安なら、ほかのお客さんの後ろについて入っちゃいましょう。
◆ 入場〜ライブ開演前
ドリンクを飲んだり、スマホをいじったり、おしゃべりしたりしてライブまで待機。ドキドキ!
ドリンク引き換えはバーカウンターで
入場時にもらったドリンクチケットやコインは、バーカウンターで好きなドリンクに交換できます。バーカウンターの場所はライブハウスによりますが、入ってすぐのエントランス付近かフロア内が多いです。バーカウンターの上や周辺にあるメニュー表からドリンクを選び、スタッフさんにオーダーして受け取るだけ。
基本、ドリンク交換は当日ならいつでもOK。ライブが始まる前に飲んでしまっても、ライブを観ながら飲んでも(激しく動くライブの場合は難しいですが)、ライブ後に喉の渇きを潤してもOKです。ただし、ライブ後は混雑して行列ができたり、バーカウンターが閉まってしまったりすることもあるので、注意しましょう。
ドリンクの種類はさまざま。ビール、カクテルなどのアルコール、ノンアルコール、ミネラルウォーターがあり、カップ・缶・ペットボトルなどで提供されます。Zeppでは、ペットボトルのドリンクをオーダーするとオリジナルのドリンクホルダーがもらえる特典も。飲み終わったらバーカウンターにカップを戻すか、指定のゴミ箱に捨てましょう。
ドリンクチケットやコインで交換できるのは1ドリンクのみですが、もし追加で飲みたくなったら、一般の飲食店のように現金やキャッシュレス決済(ライブハウスによる)で購入することもできます。
ライブ体験はポジショニングで変わる
ライブの感じ方は、フロアのどこで観るかによって大きく変わります。どこがいい・悪いではなく、どの場所にもそれぞれのよさがある。
間近で観たいアーティストの場合や臨場感を味わいたい場合、私はできるだけ前方をねらいます。モッシュやダイブのあるライブも好きですが、激しすぎたり屈強なファンが多かったりすると怪我をする恐れがあるので、その際は前方に行きすぎず中央や端のほうに待機して様子見。ライブでは自分の体力を過信しないことが大切!
好きなメンバーの立ち位置を把握しておいて、それをねらうのもアリ。たとえば中央にボーカルとドラム、上手(フロアから見てステージ右)にギター、下手(左)にベースという配置で、ギタリストに注目したいな〜というときは、上手側にポジショニングします。
前方中央エリアから埋まっていくのが一般的なので、左右どちらかにグッと寄れば前方がまだあいていることも。ただし、ステージの左右にはアンプが設置されており、アンプ付近は音の衝撃や偏りが強いため、注意が必要です。
ステージ全体を見渡したい場合やフロアの空気感を楽しみたい場合、落ち着いてライブを聴きたい場合などは、あえて後方や壁際に立つことも多いです。自分の前に身長の高い人がいない場所をねらいます。メンバー同士のグルーヴ感、オーディエンスの盛り上がり、照明の演出などを客観的に楽しめるので、前方とはまた違った思い出が残りますよ。
ライブ開演前の過ごし方は三者三様
ひとりで待機する人、誰かと一緒に待機する人、さまざまです。薄暗いのでまわりはそんなに気になりません。
私の場合、ひとりで来ているときはスマホで本を読んだりSNSを見たり(人が多いとSNSがつながりにくいことも)、ドリンクを飲みながらボ〜〜ッと会場BGMを聴いたり。誰かと来ているときはおしゃべりしたり、1曲目に演奏される曲を予想したり、一緒にできるスマホゲームで暇つぶししたりしています。
フロア内がお客さんでぎゅうぎゅうの場合、一度その場を離れると元の場所には戻れません。たまに無理やり戻ってくる人がいますが、付近の人にあまりいい顔はされません。飲み終わったカップの返却やトイレは早めに済ませておきましょう。
◆ ライブ開演中
ライブの楽しみ方は自由! 音楽に合わせて心地よくノッてください。
いよいよ開演!
大きい会場の場合は開演時間が数分〜数十分ほど押すこともありますが、基本的には開演時間になるとフロアの照明が暗転し、SE(入場曲/ない場合もある)とともにアーティストがステージに登場。最高にワクワクする瞬間です! 大きな拍手や歓声で出迎えましょう。
アーティストによっては、開演すると同時にフロアのお客さんが前方に押し寄せ、後ろから思いきり押されることも。人数が多いとかなりの圧力になります。ヨロけたり転んだりしてしまわないように注意してください。
ライブならではの生音を自由に楽しんで
ライブ中のオーディエンスのノリは、アーティストによって大きく異なります。モッシュやダイブが起こるライブ、その場で体を揺らしたり腕を上げたりするライブ、ドリンク片手にゆったり聴くライブ……。
自分が心地いいと思う楽しみ方で参加するのがいちばん! とはいえ、周囲とあまりにも違うノリだと、そのつもりはなくても迷惑をかけてしまう場合があります。心配なら、ほかの人の様子を見ながら調和させていくといいでしょう。
ライブ中のノリ方にはいろんな種類がある
ライブ特有のノリ方について、主なパターンを挙げてみます。オーディエンスから自然発生することもあれば、アーティストが煽ることも。アーティストや楽曲ごとにお決まりのノリもあったりするので、参加したい方はSNSなどで調べて予習しておくのもいいかも。
モッシュやダイブなどの行為は禁止されているケースも多いので、その際は必ずルールに従いましょう。
- ハンズアップ
サビなど盛り上がるパートで腕を高く上げること。 - クラップ
楽曲に合わせて手拍子すること。 - コール&レスポンス
アーティストの呼びかけに応えること。 - モッシュ
客同士がノリながら激しく体をぶつけ合うこと。 - サークルモッシュ
客同士で円をつくってぐるぐる駆け回ったり、中心に向かって走って激しく体をぶつけ合ったりすること。 - ダイブ
密集する客の上に飛び乗ること。 - リフト
客の肩に乗り、肩車してもらうこと。 - ポゴ
その場でぴょんぴょんジャンプすること。 - ツーステップ/スカダンス/DnBステップ
その場でステップを踏むこと。「DJライブキッズあるある中の人」さんのYouTubeがわかりやすい。
もし途中で体調が悪くなってしまったら
フロア内を移動できそうであれば、ライブ中でも気にせず後ろにはけたり、トイレに行ったりしてください。いったんフロアから出て涼しい空気を浴びるだけでも回復する可能性があります。
お客さんが密集していて移動が難しい場合は、勇気を出してまわりの人にヘルプを。スタッフさんを呼んでくれたり、移動のために手を貸してくれたりすると思います。たまにアーティストがステージ上から気づいて、スタッフに呼びかけてくれることも。申し訳ない気持ちになるのもとてもわかりますが、アーティストの優しさに感謝して休息をとりましょう。
◆ ライブ終了後
余韻に浸りながら帰り支度。ライブによってはアーティストとコミュニケーションがとれることも。勇気を出して話しかけてみては?
終演後、アーティストと話せることも!
ライブが終わったら、順次フロアから出て帰り支度を。退場を促されることもありますが、少しの時間ならフロアに残っておしゃべりしたりドリンクを飲んだりできることもあります。
撮影NGのライブでも、開演前・終演後のアーティストがステージにいないときならステージを撮影していいことがほとんど。お客さんが少なくなってから、バンドセットやその後ろに掲げられているバックドロップ(幕)を記念に撮影する人も多いです。
小さいライブハウスの場合、ライブ後にアーティスト本人がフロアに来たり、物販コーナーに立っていたりすることも。次回のライブのチケットをいち早く販売しているケースもあります。ちょっと勇気がいるかもしれませんが、ライブの感想を直接伝えてみるのはいかがでしょうか。喜んでいただけると思います!
また、これも小さいライブハウスの場合ですが、アーティストによってはライブ中にセットリスト(ライブで演奏する曲順)を手書きした紙を足元に置いていることがあり、その紙を記念にもらうファンもいます。ライブ終了直後にフロアからステージに直接声をかけてもらう人が多いようです。ほしい方は、ファン同士で譲り合いながらゲットしてみましょう。
近隣の飲食店での粋な演出
大きめのライブハウスでのライブ後なら、近くの飲食店でそのアーティストの楽曲を流してくれていて、店内から漏れ聴こえてくるケースもあります。ごはんを食べながらライブ気分を引き続き味わえるなんて最高。ライブ後のお客さんで混雑している可能性も高いですが、気になったらぜひ立ち寄ってみてください。
アーティストのTシャツなどを身につけたまま飲食店に入ると、たまに店員さんが話しかけてくれることがあります。音楽好きの店員さんなら会話が盛り上がりますし、BGMをわざわざそのアーティストの楽曲に変えてくれたり、アーティスト名入りのちょっとしたデザートプレートを出してくれたお店もありました! ホスピタリティに感激……。
SNSでシェアしてアーティストを応援
SNSをやっているなら、ライブの感想をポストしてみては? ライブ後や翌日は、ファンやアーティスト本人が検索して見ている可能性が高く、ファン同士でつながれたりアーティストから反応をもらえたりする場合があります。アーティスト名がXでトレンド入りすれば、アーティストの布教活動の一助にも。
撮影OKのライブであれば、動画や写真をシェアすることがアーティストのPRになります。
初めてのライブハウスガイド -マナー&注意点-
◆ ライブ中に注意することは?
まわりに迷惑をかけないこと、これに尽きます。ライブハウスに限った話じゃないけど。
前列への割り込み・場所取りはしない
いくら前のほうで観たくても、無理やり人をかき分けて前に出るのはマナー違反。モッシュでもみくちゃになるようなライブならいいかもしれませんが、そうでないライブでは迷惑になります。
たまに、最前列の柵にタオルなどをかけてその場を離れている人や、前方にいる友人目がけて無理やり前に行こうとする人を見かけますが、それもどうなのか……。明確なルールがあるわけではないので難しいところですが、私自身、ひとりよがりな行為をしていないか気をつけたいなといつも思っています。
お目当て以外のライブ中でも「地蔵」にならない
複数アーティストが出演する場合、お目当て以外のアーティストをよく知らないこともあると思います。ライブの楽しみ方は自由ですから、お目当て以外のライブ中はフロア外に出たりしてもいいのですが、私はせっかくの機会なので「新しい出会い」を楽しみたい派。
知らないアーティストでも「この曲好きだな」「あの人の弾き方カッコいいな」など、魅力に感じる部分が見つかるかもしれません。そうなればとてもラッキー。ライブ中に誰かとおしゃべりしたり、スマホをいじったりするのは、いいマナーとは言えません。
お目当てのアーティストのために前方を陣取っておきながら、それ以外のアーティストのライブ中は微動だにしない人のことを、ライブ界隈では「地蔵」と言います。その人のお目当てのアーティストがAなら「A地蔵」。地蔵が前方にいると盛り下がりますし、そのアーティスト(A)の印象も悪くなりかねないので、気をつけましょう。
危険な行為はしない
モッシュやダイブは楽しいですが、一歩間違えば自分や他人が怪我をする恐れもあります。気持ちの昂りを爆発させてこそのライブとはいえ、危険な行為になっていないか冷静に判断する頭も残しておきましょう。私はこれまで、知人たちがライブで骨折や出血をするさまを何度も見てきたので、細心の注意を払っています……。
巻き込まれたくないときは、フロアの前方中央には行かないこと。モッシュピット(モッシュが起こるエリア)の外に立っていても、激しくぶつかられたり後ろから押されたり、ダイバーが急に乗ってきたりすることがあるので、危険を感じたら離れてください。
何度も言いますが、モッシュやダイブが禁止されている場合は絶対にしないように。
大声で歌わない
時と場合によるのですが……、楽曲のなかでオーディエンスが大合唱するパートがあったり、アーティストが「歌ってくれ!」と呼びかけたりしたときは、思いきり歌っていいと思います。激しめのライブでは、もみくちゃになりがら自然と歌ってしまうこともあります。
ただ、すぐ後ろにいる人の歌声って意外とよく聴こえてくるんですよね。爆音のなかでも。ですので、あまり大きい声で歌い続けると前の人の迷惑になっている可能性があります。アーティストの歌声が聴こえないのはストレスになりますから、十分に配慮しましょう。
スマホ撮影は周囲に配慮しながら
撮影OKのライブでも、周囲への配慮は必須。スマホを高く掲げたり、手帳タイプのスマホカバーを広げながら撮影したりすると、後ろの人が見えにくくなります。フラッシュも禁止です。
痴漢・スリに注意
残念ながら、ライブという混沌を悪用した犯罪もないとは言えません。私も10年以上前とはいえ、モッシュに紛れて後ろから体を思いきり触られたり、バッグから落ちてしまった財布を盗まれたり(現金だけ盗まれて財布はロッカーに捨ててあった)、被害に遭ったことがあります。
これらは許されざる犯罪。本来はライブハウス側に報告して措置をとってもらうべきなのでしょうが、証拠をとることがなかなか難しいため、ライブハウス側も対応できない場合があるかもしれません。いちばん重要なのは、自分の身は自分で守ること。
近年は、アーティスト側からこうした行為に対してライブやSNSで警告するケースも増えています。その影響もあってか、ライブハウスの治安はかなりよくなったのではないかと感じていますが、油断は禁物です。
みなさんのライブハウスデビューに幸あれ!
初めてライブハウスへ行く際に知っておくと安心な情報を、思いつく限り紹介しました。ライブハウスのあり方や楽しみ方は時代とともに移り変わっていくので、新たな情報が出てきたら順次追記していきたいと思います。
いろいろと書き綴りましたが、ライブハウスはとにもかくにも「音楽を楽しむ場所」。音楽が好きで楽しみたい気持ちはお客さんもスタッフさんもみんな同じですから、気構えずに飛び込んでみることをおすすめします!