落ち込んだ気持ちを吹っ飛ばす! 関西人が選ぶ関西発バンド4選

あらた いと

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関西といえば何を思い浮かべるだろう。

「何かおもしろいことを喋りそう」「めちゃくちゃ元気」このようなイメージを持つ人が多いのではないだろうか。もれなく筆者自身も、ずっと黙っていられない典型的な関西人である。

今回は筆者が生粋の関西人ということもあり、ぜひとも関西発のアーティストを紹介したい。すべて独自の世界観を持つ注目のアーティストばかりなので、読んでいるだけで楽しい気持ちになるはずだ。


縦横無尽に駆け回るパフォーマンスは見逃せない

Boiler陸亀

大阪発のロックバンド・Boiler陸亀(ボイラーリクガメ)は、黒谷ギューン(Vo./Gt.)、どえ(Gt.)、ショーン(Ba.)の3人で構成。本人たちは自身のバンドを「劇場版激情エンターテイメントロックバンド」と称しており、かつては「動くサファリパーク」と喩えていたほど。そのユニークな歌詞と型破りなパフォーマンスで、ライブハウスでは常に観客を楽しませてくれる頼もしい存在である。

また、黒谷(Vo./Gt.)は同名義でソロ活動も並行して行っており、独特な世界観を惜しげもなく披露している。

『関西電気保安協会』
Boiler陸亀
youtube動画


関西圏に住む人なら必ず耳にしたことがある「関西電気保安協会」のCM。関西人なら思わず『♪関西電気保安協会〜』と口ずさむのではないだろうか。きっとこの記事を読みながら脳内で、あのメロディーが流れていることだろう。

CMを知らない人のために補足しておくと、関西電気保安協会は関西の電気を点検・保安をする法人。CMでは独特なメロディーで自社の名前を出しているので一度聴いたら頭から離れなくなるのだ。CMを知らない人は一度本家のCMを観てから、このMVを観て聴いて、新しいメロディーを覚えることをおすすめしたい。

関西人ならではの発想力と発信力でファンを魅了しているBoiler陸亀。聴いているうちに思わず口ずさみたくなるキャッチーなメロディーは病みつきになるはずだ。

ハスキーボイス×パンクの融合

ハイファイコーヒーズ

ハイファイコーヒーズは、佐藤麻里(Vo.)、神田陽(Gt.)、中村晃平(Dr.)の3人からなる2005年結成、大阪堺発のバンド。パンクな音楽を得意とし、ベースを持たない奇天烈パンクトリオとして主に関西で暴れ回っている。

なぜベースが不在なのか。理由は音楽的なこだわりではなく、ベーシストの突然の失踪によるものだという。メンバーは一軒家を借りて共同生活を送っているが、現在でも新たなベースを加入させないのは、かつてのメンバーがいつ戻ってきてもいいようにという彼らの思いからかもしれない。

佐藤(Vo.)は、ハスキーでありながらどこか切なさを感じさせる不思議な声の持ち主だ。ライブではパンキッシュなサウンドに合わせて、これでもかと感情を込めて歌う。自分たちで作った楽曲に対する並々ならぬ愛情を、自身の武器である声とともにファンに届けているのだ。もちろん数多くのライブで培っている経験を生かし、独自のセンスで観客を盛り上げることも忘れない大阪魂はさすがである。

『斉天大聖』
ハイファイコーヒーズ
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初のポエトリーリーディングに挑戦したこの楽曲は、佐藤麻里の持つ声の魅力を存分に発揮させるにはもってこいの楽曲ではないだろうか。ギターとドラムの心地良いサウンドに、佐藤麻里のパワフルな歌声が乗る。その声は、サウンドは、パンクでありながらも聴いていてなんだか子守唄のようにも感じるのだ。

童貞と坊主のはちゃめちゃコミックバンド

メタボリックシンジゲート

ウチミズ(Vo./Gt.)、ボビー(Vo./Ba)からなる、「平成の日本が生んだ、生活習慣病的組織」を合言葉にするメタボリックシンジゲート。メンバーのウチミズは自他ともに認める童貞を売りにしており、2021年に無事、妖精になったことを自身のTwitterにて報告済み。相方のボビーも特徴的な見た目(坊主)で、2人とも良い意味で可愛げのあるキャラクターが魅力。

なんと2016年には、関西の秋の風物詩とも言える巨大イベント「ミナミホイール(通称ミナホ)」に出演経験もあり、今後が楽しみなバンドである。

『MVの再生回数が戦闘力に見える。』
メタボリックシンジゲート
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YouTubeを武器にしているアーティストからすると、MVの再生回数は生活のほぼすべてと言っていいほどを占めている重要事項だろう。そのMVの再生回数について歌った楽曲がとにかくコミカルなのだ。MVの中で着用している衣装にチープさは否めないが、それも気にならなくなるほど、キャッチーなメロディーにいつの間にか引き込まれているから不思議である。

1曲聴けば「次はこれを聴いてみよう」と思わずにいられないサウンドが魅力の彼ら。なぜだか聴いていて楽しいのだ。まずは楽曲を聴く前にタイトルを確認してほしい。ほぼどのタイトルも、ネタのようにクスッと笑わせてくれるものが多いのである。タイトルだけで「この曲は何だろう」と思わせてくれるので、面白いものを求めている人にはとても楽しめるのではないだろうか。

銀杏BOYZ以上の活躍を目指して

犬人間ニョンズ

2013年にVo.とくらたくろうを中心にフィリピンで結成された、犬人間ニョンズ(イヌニンゲンニョンズ)。とくらたくろう(Vo.)、ひなね(Ba.)、takkan(Gt.)、ケント(Dr.)の4人組であり、現在は京都をメインに活動中である。また、毎年夏には「サムライロックフェス」というフェスを主催している。

さらに2019年には銀杏BOYZの日本武道館ライブにて、オープン前アクトとしての出演経験もある実力派として知られている。本人たちはいつか銀杏BOYZをライブに呼ぶことを目標のひとつとしているが、幾度となくオファーを断られているそうだ。頑張れ…!

『君と本屋さん』
犬人間ニョンズ
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楽曲から銀杏BOYZへの強いリスペクトがうかがえる。強く影響を受けるが故にでき上がるサウンドは、犬人間ニョンズならではのスパイスが効いていて、どこか懐かしい雰囲気を感じさせてくれる。ロックバンドらしくものすごくロックに決めたかと思えば、突然ガラッと雰囲気を変えてエモさを表現してみたり…常に全力で挑み続けているのが魅力である。そんな彼らから放たれるメロディーを、ぜひ一度じっくり味わってほしい。



関西人には関西人だからこそ伝えられるものがあり、ほかの地域にはないユニークなキャラクター性もあると思っている。贔屓目かもしれないが、関西の人間は基本的にサービス精神が旺盛で、笑わせてなんぼの気持ちを持っている気がするのだ。

今回紹介した4組もどれもエンターテイメント性が高く、聴く人たちを楽しませようとするサービス精神にあふれている。何かと暗いニュースの多い現代において、この上なくピッタリなバンドたちではないだろうか。

何かに落ち込んでいるとき、新しい音楽を発見したいとき、疲れているとき、テンションを上げたいとき。そんなときに関西人魂が炸裂するパワフルなサウンドを聴いて気持ちを盛り上げれば、元気になるための一歩をきっと踏み出せるだろう。

(文・あらたいと)