アフターコロナ新時代の幕開けを迎える2021年。愛媛を中心に活動する4ピースロックバンド、Jessicaの初となるアルバム『Good Time』が3月3日に満を持してリリースとなる。
音楽業界のみならずあらゆる人々にとって厳しい1年となった、オリンピックイヤーとなるはずだった2020年。Jessicaにとっては苦境の中でもなお歩みを止めず、自分たちのペースで進み続けた結果のアルバムリリース、そして初の中四国ツアー敢行となる。バンドとして此度ひとつのピークを迎えようとする彼らに、今回インタビューで話を聞いた。
アルバムを通してリスナーに「いい時間」を提示したい
——アルバム発売おめでとうございます! 少し前にリリースの話を聞いてから、今回のアルバムをすごく楽しみにしてました。
りょう(Vo./Gt.): ありがとうございます。
——そうしたらまずは早速、今回のアルバムなんですが。タイトルが『Good Time』ということで、テーマとしてはどういったものになるんでしょうか。
かつ(Ba.): テーマとしては…現段階の僕らの集大成、という感じですね。何か主題を据えて作った、というよりは、今まで僕らが作った物を一旦パッケージ化する意味合いで作りました。なので一概に統一したテーマの曲より、いろんなカラーの楽曲が入る形にはなりましたね。
——アルバムタイトルはどこから来てるんですか?
りょう: 今回のアルバムのラスト曲が「Have a Good Time」という曲なんですが、そこから取られていますね。
——じゃあやっぱりアルバムの全体感から見てこの曲がメインというか、かなり大きな存在の楽曲なのかな。
りょう: この曲だけに重きを置いている、という訳ではないんですけど。
かつ: 最終的に聴いてくれる人たちに、このアルバムを通して何が伝わるか、というか。そう考えた時に漠然としてるんですけど、「いい時間」っていうのを提供したいな、っていう思いがありますかね。
——この曲自体も、ライブの時なんかに会場一体で楽しむような印象ですよね。
りょう: そうですね、みんなで手拍子したり、シンガロングしたり。
——バンドとしても、そういったものを大事にしたいという意識があるのかな、と。
りょう: うん、それはやっぱりあると思います。
——1曲目の「君を愛した唄」なんかも、サビにシンガロングできるようなコーラスが入ってますよね。すごくバンドのモードが、会場全体を巻き込む方向にシフトしているようにも思うんですけれど。
かつ: 最近は自然とそういった方向に向かってる気もしますね。会場との一体感が欲しい時期、というか…。そういった部分があるのかもしれないです。
——ちなみに、バンドがそういったモードに向かっている理由というか。きっかけみたいなものはあったりするんですか?
かつ: 一番印象としてあるのは、セックスマシーン!!との対バンですね。あの方たちって会場との一体感の塊、みたいなバンドじゃないですか。1曲目なんかは特にそれに影響を受けて、りょうが作った曲だったと思います。やっぱりライブをやってて、会場の盛り上がりが目に見える状態が欲しいな、っていうのがあって。
りょう: 自分たちの曲で楽しんでくれてるのが伝わる感じがすごく嬉しいな、というか。
——シンプルにやりがいはあるよね。
りょう: うん、そうですね。
——それこそじゃあこれまでJessicaが対バンしてきたセックスマシーン!!とか、あと突然少年とか。そういった諸先輩方からのインスピレーションが大きい部分もあるのかな。
りょう: そうだと思います。最初はそれこそ青パン、青春パンク系統のバンドになると思ってたんですけど、実際やってみると少し違うな、と思う部分もあって。やっぱりライブバンドでありたいっていう気持ちが強いですね。会場を巻き込まない曲調の曲を作ったとしても、自分たちの重心はやっぱり皆を巻き込む方に置いておきたいな、と。
——音源だけで完結しない、という所かな。やっぱりライブが一番、バンドの地の力が問われる部分でもありますしね。
アルバムのここを聴け! メンバーのイチオシポイントとは?
——そうしたら、アルバムの制作期間で一番印象的だったことや、このアルバムで一番推したい曲とか。そういった部分をそれぞれ教えてもらおうかな。じゃあ…りょうくんから。
りょう: 僕が一番推したいのはやっぱり「Have a Good Time」ですかね。会場で一体ともなれる曲というか。そういう部分は音源で伝わりきらないこともあるので、曲を聴いてぜひ一度ライブに来てもらいたいですね。
——この曲って元々前からあった曲でしたっけ。
りょう: 曲の原案自体は結構前からありましたね。で、アルバム作るってなった時に少しいじって組み込んだ形でした。
——ライブでもよく演奏している曲だと思うんですけど、実際やってる時にりょうくん自身としてはどうですか?
りょう: やっててやっぱり一番楽しいかなとは思いますね。結構ハッピーを前面に出す雰囲気の曲なので、僕らがやってて楽しいのもあるし、お客さんがリズムに乗ってくれるのも嬉しいし、楽しみが伝わってきます。
——ありがとうございます。そしたらおのちゃんにも聞こうかな。
おのちゃん(Dr.): 僕が一番推したいのは「夢見る夜」で。この曲は元々、僕らが参加した四国の若手バンドを集めた『Sound of Reboot』っていう、コロナ禍でも頑張って活動しているバンドのトリビュートアルバムにも収録した曲ですね。
——すごくストレートでシンプルなバンド曲だよね。
おのちゃん: はい。こういう曲もできる、っていうのをアピールできるかな、と思います。僕自身も、レコーディングとかでも叩いてて楽しかったですね。
——レコーディング! どんな感じでした?
おのちゃん: …淡々とやってましたね。
かつ: 時間がねえ!っつって黙々とやってた感じでしたね(笑)。期間が1か月もなくて、ほぼ完成してたこの曲をなんとか仕上げて録音した形でした。
おのちゃん: そのトリビュートアルバムに収録したものを、今回のアルバムにもそのまま入れている、という感じです。
アルバムリリースツアーも開催! 初の中四国ツアーへの意気込み
——それではここからは、ツアーの話なんかも聞かせて頂ければ。今回ツアータイトルが『素敵な時間旅行』ということで。これはアルバムタイトルから?
かつ: アルバム収録曲の「素敵な暇つぶし」からですね。後はツアーって冠するより旅行、っていう方が面白いかなって思って(笑)
——なるほど。Jessicaのツアーでここまでいろんな土地に行くのは初めてですよね?
かつ: そうですね。今回初めて行く県が3つ?
りょう: 島根、岡山、山口か。
——広島、高知、島根、岡山、山口、愛媛の6か所ですよね。各週の土日…結構大変なスケジュール組んだね(笑)。島根とかもかなり遠いでしょ? 松江…すごいとこ組んだなって。
かつ: あ、松江は僕の地元なんですよ。なのでお客さんはまあ呼べるかな、と。
——大事ですよ、集客は(笑)。ツアー、一番楽しみなところとかってある?
かつ: 僕は個人的には山口ですね。今回行く周南RISEは周囲のいろんなバンドさんも行ってるイメージで、いつか一度行きたいとも思ってたので。
——周南RISE、めちゃくちゃいい箱ですもんね。バンドマン愛に溢れている場所で。
かつ: あとは高知も楽しみですね。以前対バンしてわりと仲良くしてくれているBombHead-307が今回企画してくれてて、そこに参加する形だったりもするので。
——なるほど、ありがとうございます。他の3人はどうですか? ツアーへの気合とか、不安とか。えいとくんとかはどう?
えいと(Gt.): …運転が怖いですね。
——あっはっは! 免許はみんな持ってるの?
えいと: はい、一応4人全員持ってます。
——あ、じゃあまだマシかな…(笑)。山口や島根は片道でも5時間ぐらいかかりますもんね。
えいと: そうですね。なのでまあ全員で上手いこと交代しながら行きたいな、と思います。
——ぜひ楽しんできてください。そしたら一旦はアルバム発売してツアーして、って感じかな。そこから先の話はまず目の前の活動をクリアしてからですよね。
かつ: うーん、そうですね。4月から生活環境が変わるメンバーもいますし。各々が生活とバンド活動の両立を一度ちゃんと確立してからって感じですね。
とはいえ、バンドでやりたいことはキリがないほどあるので。いろいろ今回初めて経験することも山積みなので、これを乗り越えて新しく見えるバンドの景色というか。そういうものを楽しみにしながら、今回のアルバム発売、ツアーに臨みたいですね。
(取材/文・曽我美なつめ)
PROFILE
Jessica(ジェシカ)
往年のロックンロールに影響を受けるも、自らの青春のあり方を曲にのせる愛媛の新星。2019年結成、松山を中心に精力的にライブを行い、1年目にはセックスマシーン!!、突然少年や古墳シスターズらと対バンを果たす。2020年2月には1st Single 『変えろ』を発売し松山サロンキティで自主企画『叫鳴-序ー』を開催した。結成2年目の2020年、十分なライブ活動ができない中でも積極的に作曲活動を続け、2021年ついに1st Mini Album 『Good Time』が完成。3/6(土)からは広島を皮切りに高知・島根・岡山・山口そしてツアーファイナルの松山の合計6か所を巡る”Good Time” Release Tour 『素敵な時間旅行』がスタートする。