【HollowBug】愛とは何か、生きるとは何か……. 哲学的なメッセージ性を内包する4ピースオルタナサウンド

潮見 そら

潮見 そら

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愛とは何か、生きるとは何か。見ず知らずの誰かがそのようなことを急に語り出そうものなら、気恥ずかしくて耳を塞ぎたくなってしまう。しかし、音楽というフィルターを通してなら、愛や生命について自ら熟考してみたり、誰かと語り合いたいと思う時がある。

或る日、メインストリームの斜め上を駆け登る4ピースバンドHollowBug(ホロウバグ)の存在を知った。出会った瞬間、彼らの魅力に綱引きのようにスルスルと引き寄せられていった感覚を、今でも忘れられない。

HollowBugの音楽で表現されるのは、愛や生命など、美しく壮大だが捉え方が各々の価値観によって大きく異なる事象。一歩間違えれば偽善的で薄っぺらいものになりかねないが、HollowBugの音楽からはそうした胡散臭さのようなものを一切感じない。言葉に嘘がなく、一つ一つの要素分解された歌詞がキラキラと乱反射を続け、誰かを愛する意味や私たちが生きる意味と向き合わせてくれる。


本当に伝えたいことだけを表現した音楽
HollowBug

2017年に東京で結成されたHollowBug。結成年にLINEミュージックオーディションのバンド部門でファイナリストとなり、某社主催のオーディションでは最優秀賞を受賞。2019年リリースの1stミニアルバムのタイトルは『SEX』。続く2ndミニアルバムのタイトルは、“生命が形になった”という意味で『BABY』と名付けられた。アルバムのリリースは現時点では2枚のみであるが、タイトルが地続きとなりある種のストーリー性が醸し出されており、次回作への期待も膨らむ。

HollowBugの音楽は、柳澤(Vo./Gt.)の紡ぐオーセンティックな言葉に絶対的な信頼を置き、楽器隊がその軸を支える形でバランス良く成り立っている。歌詞にはどこか哲学的なエッセンスが見られ、一筋縄ではいかない訴求力が宿っており、愛や生命、人生について自ずと考えさせられる。

たとえば、1stミニアルバム『SEX』収録の「風立つ夜に」では〈私は私を愛せるだろうか〉とリフレインし、自分を愛するということについて自問自答する。同アルバム収録の「此処に在る」では〈生きてる意味がないと思うのは/意味を見出せないお前の弱さだ〉と人間の弱さの核心に接近しながら、〈ありふれた日常 人混みの中で/うるせえテメエ 無理にでも笑え〉と強い言葉を並べ、絶望の淵から強引にでも救い出すようなアプローチに帰結させている。

HollowBug

個々の楽曲にこうした哲学的かつ熱情的な一面が垣間見えるのは、曲作りを行う柳澤本人がマイケル・ジャクソンのマインドに影響を受けているためであろう。柳澤は「本当に伝えたいことを表現したくて音楽をしている」(他メディアインタビュー記事より引用)と語っており、音楽に対するそうした向き合い方はソウルフルな歌詞を見れば一目瞭然だ。

2ndミニアルバム『BABY』リード曲
「千年後の未来も」
youtube動画


2ndミニアルバム『BABY』には愛を主題とした壮大な音像の楽曲が立ち並ぶ中、とりわけストレートな言葉をザクザクと心に刺してくる楽曲が「千年後の未来も」。リード曲に位置づけされているだけあって、サビでは疾走感のあるサウンドが駆け抜け、耳心地が非常に良い。メロディの全体像も掴みやすく、キャッチーな音像に心が踊る。アウトロで〈Wow Wow〜〉とユニゾンが挟み込まれたパートを聴くと、老若男女、国籍問わず全人類と肩を組み、合唱したくなってしまう。ご時世的な問題さえなければ、彼らのライブで観客が一斉に肩を組んで合唱する光景を目に焼きつけるのは容易いことであろう。

〈100年だって待つよ 1000年後の未来も/君と笑っていたいんだこの場所で〉という歌詞を見れば、愛ってこういうことだよな、と実感させられる。本曲を聴き終えた後、大切な誰かを自ずと思い浮かべてしまうのは、人間としてごく自然なことではないか。

「なにより私たちは売れたいんです」(他メディアインタビュー記事より引用)という気概を持ち、ライブシーンで確かな実力を発揮しているHollowBug。ライバルたちとは一味違うベクトルでライブバンドとして頭角を現し、バンドシーンを掻き回す存在になることに期待が高まるばかりだ。

(文・潮見そら)


PROFILE
HollowBug

HollowBug(ホロウバグ)

2017年結成の4ピースオルタナティブロックバンド。結成年に開催されたLINEミュージックオーディションのバンド部門でファイナリストとなる。同年開催の某社主催オーディションで最優秀賞に輝くなど、結成間もないながらも確かな実績を獲得。2021年3月、前ベースの脱退を機にハマダタクミをサポートベースとして迎え、同年6月にライブハウス渋谷CLUB CRAWLレーベル “SAKIDORI RECORDS” に所属開始。所属のタイミングでサポートベースのハマダタクミが正規メンバーとして加入し、現在の4ピース体制が完成。

メンバー

柳澤りく(Vocal / Guitar)
佐藤心平(Guitar)
ハマダタクミ(Bass)
三浦周也(Drums)

活動開始

2017年

主な活動拠点

東京

HP / SNS

公式サイト
公式Twitter @hollowbugband
公式Instagram @hollowbug625

RELEASE

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