【ハローモンテスキュー】普遍的な日常すらも、ポップな音像と軽妙なワードセンスで色鮮やかに

潮見 そら

潮見 そら

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「ハローモンテスキュー」。かの偉大な啓蒙思想家が時空を超えて思わず振り向いてしまいそうな、そんな愛らしいバンド名に心惹かれる。

モンテスキューとはフランスの啓蒙思想家であり、三権分立論を唱え、民主主義の基本原理を打ちたてた人物。学生時代、教科書で誰もが一度は目にしたことがある人物名だと思う。

ハローモンテスキューというバンド名は「エゴサーチしやすいように」との狙いでメンバーが名付けたもの。当然ではあるけれど、民主主義の在り方を訴えかけることを目的に結成されたバンドではない。彼らが熱量込めて届けてくれるのは、普遍的な日常を切り抜きポップに昇華し構築した、至高のポップ・ロックミュージックだ。


日常を彩り、ポジティブに日常を救う

photo by ニッタダイキ

愛知を拠点に活動しているハローモンテスキュー。4人組ロックバンドねぐせ。のギター(2021年8月8日正式加入)兼ボカロPとしても活躍する「残響P」こと708(ナオヤ)を中心に、2016年に結成されたスリーピースロックバンド。正規メンバーのはたけ(Vo/Gt)、708(Gt)、カドタリョウヤ(Ba)に加え、2019年末のドラム脱退以降は、サポートドラムを迎え入れる形で音を鳴らしている。

圧倒的な存在感を放つはたけ(Vo/Gt)の歌声、思わず口ずさみたくなるセンチメンタルな歌詞、小気味よいポップ・サウンド。主たるこれらの3要素が緻密に絡み合い、味気ない日常風景すらも鮮やかな色彩で描き出していく。ネガティブな感情を歌ったフレーズも、はたけの明るく弾ける歌声の軌道に乗せるだけで、不思議とポジティブに昇華してしまう。

日常の片隅にハロモンの音楽さえあれば、何も恐れることはない。さらに言い換えるならば、ハロモンの音楽がなければ、私たちの日常は輝かない。そう思わせてくれるほどに前向きでポップなオーラを、ハロモンの楽曲は内包している。「ネガティブをネガティブで終わらせない」、そんな意志を感じるのだ。

空白な日常を過ごす中で

何故だろう。ハロモンの「今日が終わっていく」を聴くと、得体の知れない安堵感に包まれる。

コロナ禍の“空白”を生きる中で生じた葛藤や焦燥などの感情をパッケージ化した3rd Mini Album『空白』の1曲目を飾る曲。再生ボタンを押すたびに、その軽妙なワードセンスとダンサブルなリズムに心が弾み、心が満たされてしまう。青春アニメのタイアップソングとしてお茶の間に流れていても全く違和感がない。そんな耳馴染みの良さが際立つ、バンドの記名性が滲み出た楽曲に仕上がっている。

《昨日のさよならだって なかったことにしたくてさ だめかな》と明るく軽やかに歌うサビで痛感するのは、日常は「今日」の連続で形作られているという紛れもない事実。昨日突き付けられた「さよなら」を一度なかったことにするのは容易いのかもしれないけれど、その「さよなら」を機に味わった経験を地続きに、生活は翌日の朝へと続いていく。だからこそ、日々更新される「今日」の中で味わった喜びや悲しみ、後悔などの感情すべてが尊く、一人ひとりの物語を構成する要素として目を背けることはできないのだ。

一度きりの「今日」を大事に生きることの大切さ。言ってしまえば“当たり前なこと”にポップなサウンドを通じて真正面から向き合わせてくれる訴求力こそが、本楽曲に宿る中毒性、あるいは安堵感の根源なのだと思う。

photo by ニッタダイキ

2021.9.8 Release Single
『彗星 / シーサイドガール』

1st Mini Album『告白』では青春をテーマに描写し、2nd Mini Album『生活』ではリスナーの生活に溶け込む音楽をイメージ。続く3rd Mini Album『空白』ではコロナ禍の日常における感情の起伏を歌にしたハロモンが次に描き出したのは、魔法のように煌めいた情景だ。

バンド史上初となる両A面シングルのタイトルは、『彗星 / シーサイドガール』。彗星は夜空を流れ、シーサイド(seaside)はすなわち海辺を表す。空と海。対極の位置関係にある2つの領域をイメージさせる2曲をタイトルに掲げているのは、何かのワケがあるのだろうか。そんな思いを勝手に巡らせるのも、謎解きチックで愉しい。

「彗星」
youtube動画


ハロモンがこれまで描き出してきた日常風景は、夢の中の世界や一人部屋の空間など、「閉じた世界」のものが多かった。例えば2nd Mini Album『生活』に収録されている「よくある話」のBメロ冒頭《取り込んだCDの抜け殻》やCメロの《また浪費した日々を嘆いては》から想起されるのは、無造作に物が置かれ散らかりきった部屋。また3rd Mini Album『空白』の収録曲「イエロウ」では《瞼こすって朝になる》《今夜は少し更かしてイエロウ》など、自室で繰り広げられる自堕落なルーティンがポップなサウンドの軌道上で描かれている。

これまでの変遷を踏まえて最新の両A面Single『彗星 / シーサイドガール』を聴くと、明らかに「ひらけた世界」へ漕ぎ出している印象を受ける。

「彗星」では小気味よいビートに乗せ《言葉を飲んだまま ずっと見上げる夏の夜空/それはまるで魔法のように 二人を繋いでいく》と歌い、2人で肩を並べ夏の夜道を歩くエモーショナルな情景が鮮明に浮かび上がってくる。爽やかなメロディがまるで吹き荒ぶ海風のように全身を駆け巡る「シーサイドガール」では、《防波堤を超えたら 君の匂いがした気がしたんだ》と、防波堤のある開放感に満ちた海辺、そこに佇む凛とした少女をイメージさせる。もう1曲の「キミツナ」はバラードで、思い出の通り道や印象的なワンシーンを丁寧に描き出しながら、過去の恋愛における後悔を辿っていく。

ハロモンの描き出す日常風景はリリースを重ねるごとに洗練され、今まさに新たなフェーズへと足を踏み込もうとしている。彼らの新機軸とも呼べる2曲をタイトルに掲げた自身初の両A面Singleは、飛躍のきっかけとなる気がしてならない。

MESSAGE

2021年 “夏の終わりと夜明け前” というツアーを終え、2022年もどんどん進んでいきます。より一層ハローモンテスキューのことを好きでいてもらえたら嬉しいです。

色々な人に助けられながらの我々ですが、その分たくさんみんなに恩返しとして音楽を届けていきたいです。これからも応援よろしくおねがいします!

ハローモンテスキュー

(文・潮見そら)


PROFILE

ハローモンテスキュー

4人組ロックバンドねぐせ。のサポートギター(2021年8月加入)兼ボカロPとしても活躍する「残響P」こと708(ナオヤ)を中心に、2016年に結成。2018年8月に1st Mini Album『告白』を全国リリース。2020年に活動拠点・愛知のインディーズレーベルTONIGHT RECORDSへ移籍し、同年10月に3rd Mini Album『空白』をリリース。移籍のタイミングで、これまで素顔を明かしていなかったメンバーが顔出しを開始。2021年9月に待望の1st両A面シングル『彗星 / シーサイドガール』をリリースし、11月には『ハローモンテスキュー tour 2021 “夏の終わりと夜明け前”』を福岡公演を皮切りに開催。12月25日に活動拠点・愛知の新栄RADSEVENにてツアーファイナル。

メンバー

はたけ(Vocal / Guitar)
708(Guitar)
カドタリョウヤ(Bass)

茄子川(Support Drums)

活動開始

2016年

主な活動拠点

愛知県

HP / SNS

公式Twitter @hi_montes9
公式Instagram @hi_montes9
公式YouTube
公式HP

RELEASE

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