2019年10月27日、大阪北堀江にあるライブハウスclub vijonの17周年を記念して開催されたライブイベント「club vijon17周年 【松藤ROCK FESTIVAL’19】day1初日公演「松」」に、大トリで出演したDr.FOOL。
インディーズシーンを賑わすそうそうたるバンドが名を連ねるこのライブイベント。その初日を締めくくるにふさわしい圧巻のパフォーマンスで、会場をひとつにまとめ上げたDr.FOOLのステージをレポートする。
「Ladies and gentlemen! We are…Dr.FOOL!」
バック・トゥ・ザ・フューチャーのテーマにのって登場したメンバー。セッティングを終えてスラップベースが炸裂するイントロに合わせて、シゲ(Vo.)の「Ladies and gentlemen! We are …Dr.FOOLですよろしく!!」で会場のテンションが一気に爆発した。
インタビューでも言っていたように、club vijonの松藤店長が最初にDr.FOOLを見出したという『Dear Dani』からライブがスタート。日頃の恩や、このライブに呼んでくれたことへの深い感謝の気持ちをぶつけるかのように熱唱した。
間髪をいれずに始まった2曲目はアッパーなダンスチューン『L.D.P』。コール&レスポンスで会場をひとつにまとめ、さらにボルテージは上がっていく。
MCでは、Dr.FOOLが恩人と讃えるclub vijonの店長に対する感謝の気持ちが言葉で述べられ、これまでバンドが繋いできた関係性や人間性が垣間見える暖かい時間が流れた。
3曲目、ポップチューン『マイペース』で再び会場の熱気に火をつけ、4曲目の『ギネスガール』へと続いていく。オシャレな雰囲気をまとったこの曲は、ギターのZn作曲ということでギターサウンドが心地よく会場を包む。
そして5曲目、ミディアムナンバーの『Tonight』のイントロでゆったりとオーディエンスを揺らす。Dr.FOOLの紅一点、キーボード兼パフォーマーのY-summerが正式加入後に初めて制作されたこの曲は、キュートなシンセ音でハッピーな気持ちにしてくれる1曲だ。
高まった幸福感を解放するかのように、キラーチューン『WA・DO・WA』が演奏される。
Dr.FOOLのライブでは定番となっているこの曲は、バンド初の全国流通版1stシングルとしてリリースされたもので、彼ら自身の思い入れもひとしお。サビ部分の振り付けでその場にいる全員を巻き込み、ひとつの大きなグルーヴへと昇華させるカリスマ性とパフォーマンスには圧倒された。
最後の曲「WA・DO・WA」が終わって一旦バンドは退場するも、最高潮に達した会場のテンションは収まることを知らず、熱いアンコールに応える形で再びステージへと呼び戻される。
「ガツっともう1曲やります! Dr.FOOL最後の曲ですよろしく!」
シゲ(Vo.)のMCで歓声に包まれる。
アンコールに選んだ曲は『ALL FICTION』。疾走感満載のロックチューンだ。
ここまでの流れで上がりきった観客のボルテージは、この曲で限界を超えて一気に解放される。コール&レスポンスで会場とひとつになる中、バブルマシーンによるシャボン玉が降り注ぎ、照明のライトと合わさって幻想的でドラマチックなクライマックスを迎え、4時間を超えるライブイベントの初日は幕を閉じた。
最高峰のエンターテイナー。それがDr.FOOLというバンド
「みんながこうして楽しんでくれてる間は、俺ずっとこんな感じやと思います! 本当にみんなのおかげです! 今日は楽しかったです! ありがとうございます!」
アンコールでステージへと戻ったシゲ(Vo.)が満面の笑みで幸せを噛み締めながら、会場の観客に向けて語ったこの言葉がおそらく全てを物語っていると思う。
エンターテイナーとしてのバンドの立ち位置を理解し、観客を楽しませることを何よりも大切にしてきたDr.FOOL。そんな彼らの目の前で、笑顔で、踊って、歌って、心から楽しんでくれている観客に対しての感謝の気持ちと、「これからも自分たちはもっとみんなを喜ばせていくんだ」という決意表明のようにも感じた。
自分たちが楽しみながら、その場にいる全員をひとり残らず楽しい空間へと連れていってくれるDr.FOOLという大きな船は、これからも様々な化学変化を起こしながらミュージックシーンを突き進んでいく。
彼らの音楽はCDという形でも聴くことができるが、その本質はライブにこそあるということを今回改めて実感した。是非とも、一度でいいからDr.FOOLのライブに足を運んでみて欲しい。そして五感で直接彼らの想いを体感したなら、きっとその充足感を忘れることができなくなり、「また行きたい」と感じるはずである。
それほどまでに大きなチカラを持ったバンド、Dr.FOOL。今後の活動からも目が離せない。
(取材/撮影/文・倉田航仁郎)
TODAY’S SET LIST
<ENCORE>
- ALL FICTION
PROFILE
Dr.FOOL(ドクターフール)
2013年に前身バンド『ChromeCipher』から『Dr.FOOL』に改名して本格的に活動を開始。2016年にY-summer(key/performer)を正式にメンバーに迎えて現在の5人編成に。以降も様々なライブやフェスへの出演や、オムニバスやコンピレーションアルバムへ楽曲を提供するなど、精力的な活動を続けている。1st Single 『WA・DO・WA』、1st Full Album 『FOOL BOX』が発売中。