COALTAR OF THE DEEPERS(コールター・オブ・ザ・ディーパーズ/COTD)のニューアルバム『REVENGE OF THE VISITORS』が、2021年1月27日に発売された。
初期メンバーのNARASAKI(vo,g)、KANNO(ds)、NEGISHI(g)、NAGASAWA(b)、TAKATORI(g)が集結し、メジャーデビュー作『THE VISITORS FROM DEEPSPACE』(1994年)を再録した本作は、2007年発表の『Yukari Telepath』以来、約13年半ぶりのフルアルバムとなる。
本来、『REVENGE OF THE VISITORS』のリリース記念ライブは、発売日の約2週間前となる1月14日に予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、4月6日に公演延期。当初は残念としか思えなかったが、「アルバムを聴き込んでからライブを観られる」と思い直し、手元に届いた『REVENGE OF THE VISITORS』のアナログレコードを毎日聴き続けながら当日を迎えた。
cover photo by MASAKI YAMASHITA
21世紀版にアップグレードしたメジャーデビュー作
『REVENGE OF THE VISITORS』
COALTAR OF THE DEEPERS
発売:2021年1月27日
定価:2,500円+税
品番:UDECD-008
レーベル:U-desper Records
フォーマット:CD
CDと配信は、NARASAKIがプロデュースするU-desper Recordsから。LP(アナログレコード)とカセットテープは、アメリカのNeedlejuice Recordsからのリリース。
LPは通常の黒いレコードではなくカラーレコードで、ゴールド・ナゲット盤、トリコロールカラー盤、ブラック&シルバーカラー盤が存在する。マニアはコンプリートを目指していただきたい。
2019年6月に『THE VISITORS FROM DEEPSPACE』の発売25周年を記念した全曲再現ライブが開催されたが、まさか21世紀版にアップグレードを遂げた再録アルバムが制作されるとは、夢にも思わなかった。
1曲目の「Killing Another」(※)はTHE CURE、4曲目の「Earth Thing」はTHE PRIMITIVESのカバー。原曲の面影などかけらもなく、完全にデスメタルと化した「Killing Another」を爆音で是非。
※『THE VISITORS FROM DEEPSPACE』収録時のタイトルは「Killing An Arab」。
結成30周年を迎えたCOALTAR OF THE DEEPERS
臨終懺悔のNARASAKIとCAPTAIN CONDOMSのKANNOによってCOALTAR OF THE DEEPERSが結成されたのは、1991年。
インディーズレーベルから発表した3枚のEPが話題を呼び、1994年に『THE VISITORS FROM DEEPSPACE』でメジャーデビュー。シューゲイザー、ネオアコ、デスメタル、ダンスミュージックなど、様々な要素が混在した独自のサウンドは海外からも高評価。幾度のメンバーチェンジや活動休止期間を経ながら、現在までに6枚のオリジナルアルバムをはじめ、数多くのEPやコンピレーション提供曲、ベストアルバム等を発表している。
2018年には、7年ぶりとなる新曲「Summer Gazer ’92」が配信され、同曲を収録した『RABBIT EP』も発売された(「Summer Gazer ’92」は翌2019年にレコード化)。
2019年に配信でリリースされた「Sublimation」と「Half Life」のCDは、ライブ会場で配布された非売品で、既にレアアイテム化している。
中心メンバーのNARASAKIは、大槻ケンヂ率いる特撮のギタリストとしても知られ、ももいろクローバーZ、BABYMETALといった他アーティストへの楽曲提供やアレンジ、映画やドラマ、アニメ等の劇伴を数多く手掛けている。
REVENGE OF THE VISITORS RELEASE PARTY 2021
@渋谷 TSUTAYA O-EAST
2021年4月6日、渋谷 TSUTAYA O-EASTでCOALTAR OF THE DEEPERS(以下、COTD)のワンマンライブが開催された。
当初は1月14日に予定されながら緊急事態宣言を受けて延期となった『REVENGE OF THE VISITORS RELEASE PARTY 2021』の振替公演で、COTD初となるライブ配信も行われた。
受付で検温と手指の消毒を済ませて入場すると、フロアは白いテープで碁盤目状に区切られ、整理番号が記されていた。観客はその枠内でライブを観なければならず、大声を上げることも禁止。会場にいる全ての人間がマスクを着用していたことは言うまでもないだろう。コロナ禍におけるライブ会場では、もはや当たり前の光景であると思いながらも、一抹の寂しさを禁じ得ない。
なお、この日の編成は、VISITORS Teamと呼ばれるNARASAKI、KANNO、NEGISHI、NAGASAWA、TAKATORIの初期メンバー(『REVENGE OF THE VISITORS』制作メンバー)。
個人的にVISITORS Teamのライブを観るのは、2019年4月3日の『NARASAKI Birthday Bash 2019』以来。その日は現メンバー(NARASAKI、KANNO、AKIRA、KENJIRO)とVISITORS Teamによる2部構成だった。
ほぼ定刻通りに、オープニングSEのセルジオ・メンデス&ブラジル’66「What The World Needs Now」が鳴り響き、VISITORS Teamの5人とサポートメンバーのMOROTAが登場。
1曲目は、2000年に発表された3rdアルバム『COME OVER TO THE DEEPEND』のリードトラック「C/O/T/D」。VISITORS Teamでのライブということで初期ナンバーばかりがプレイされるのではないかと思っていたが、嬉しい誤算であった。当然ながら初期の名曲以外にも好きな曲がたくさんある。
続いて『REVENGE OF THE VISITORS』から「Earth Thing」、そして「Amethyst」。COTDサウンドの要となるKANNOのドラムに身をゆだねながら、1stアルバムが発売される直前にも、渋谷でCOTDを観たことをふと思い出した(1994年4月9日)。クアトロに行く前に立ち寄ったレコード屋の貼り紙を見て、カート・コバーンの訃報を知ったことも。
2ndアルバム『SUBMERGE』(1998年)収録の「Cell」、4thアルバム『NO THANK YOU』(2001年)からタイトル曲、6 thアルバム『Yukari Telepath』(2007年)からは「Evil Line」、そしてCOTDの名を知らしめた「My Speedy Sarah」(1992年)。各時代を彩る名曲がプレイされ、その都度、声を出すことのできない観客達から大きな拍手が送られる。
「My Speedy Sarah」の興奮がさめやらぬまま、5thアルバム『newave』(2002年)収録曲の「Prophet Proved」に突入。その後もヘヴィロックチューンやアコースティック調の楽曲など、時代も曲調も多岐にわたる、正にオールタイムベスト的なセットリスト。
初期メンバーによる貴重な演奏に一喜一憂しながらも、終わりの時間が近づいていることに気づいた頃、NARASAKIの「みなさんの青春がずっと続きますように」という言葉から「Blink」。1stアルバムをリアルタイムで聴いていた私のような世代にとって、正に青春の1曲だが、この曲に思い入れの強い若いファンも多いことだろう。
TH’ FAITH HEALERSのカバー「Not A God」で、およそ1時間半の本編終了。そして配信もここまで。
アンコールを受けてステージに戻ってきたCOTDとMOROTAは、配信が終わった開放感から本編以上にノリまくり、怒濤のキラーチューンを3連発。
カーテンコールを終えた6人は皆、充実した表情を浮かべていた。
REVENGE OF THE VISITORS RELEASE PARTY 2021
2021年4月6日 @渋谷 TSUTAYA O-EAST
1. C/O/T/D
2. Earth Thing
3. Amethyst
4. Cell
5. No Thank You
6. Evil Line
7. My Speedy Sarah
8. Prophet Proved
9. Wipeout
10. 913
11. Taste
12. The Lightbed
13. Ribbon no kishi
14. Aquarian Age
15. Good Morning
16. Blink
17. Not A God
1. Syunkan Thrill In
2. Killing Another
3. Hyper Velocity
NARASAKI (vo,g)
KANNO (ds)
NEGISHI (g)
NAGASAWA (b)
TAKATORI (g)
support:
MOROTA (syn,manipulation)
Blink [Revenge] MV
COALTAR OF THE DEEPERS
(取材/文・五辺宏明)