【asobiインタビュー】ボーカル3人の織りなす世界観が魅力的な、“遊び”から生まれた6人組バンド

あらた いと

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asobiは3人のボーカル/MCをフロントに据え、ギター、ベース、トラックメーカー/DJからなる6人組アーバンミクスチャーバンド。以前の記事『2023年、最注目アーティスト発表! 音楽ライター本気推しの1組は?』でも紹介した今大注目のバンドである。

バンド名の「asobi」は、早稲田大学のサークルで出会い、その後メンバーが休日に“遊び”として再び集まったことに由来する。

ラジオ局J-WAVEが毎月セレクトする、今聴くべきネクストカマーの最新楽曲“J-WAVE SONAR TRAX”では、シングル『Daisy』(2021年6月リリース)と『On Repeat』(2022年2月リリース)が立て続けに選曲され、早耳リスナーの間で話題となった。

今回は、4月5日に新曲『Time To Feel』を配信リリースしてさらに勢いに乗るasobiをリスナーのみなさんにもっとよく知ってほしいという思いから、メンバー6人にインタビューをおこなった。これを読んでから改めて楽曲を聴くと、asobiの世界へより深く入り込めるだろう。

cover photo by 河上良


asobi結成と、それぞれが影響を受けてきたもの

photo by 河上良

——まずはバンドを結成した経緯をお伺いしたいと思います。みなさん早稲田大学でサークルが同じだったそうですね。

Lainey(DJ): そうですね、もともとは大学のサークルで知り合いました。そのときはバンドの結成はせずに、卒業後の2019年に僕からメンバーに声をかけてそこで正式に結成しました。結成してからは音源制作とリリース、ライブ活動を継続的におこなって3年が経ちました。

——メンバーのみなさんの音楽や楽器歴、影響を受けたアーティストを教えていただけますか。

Isami Shoji(Vo./MC): 歌うのは子どもの頃から好きでしたが、楽器を始めたのは大学からなんです。最初はドラムを始めましたが、やはり歌いたかったので、その後ボーカルと相性の良いギターを始めました。現在は作曲もギターを軸におこないます。

父の影響で子どもの頃よく聴いていたのは、KICK THE CAN CREWやm-flo、Eminemなど国内外のヒップホップです。現在はKeshi、Emotional Oranges、No Romeなど海外のR&Bから影響を受けています。作曲段階での歌詞やメロディラインへの影響はもちろん、録音後のミキシング段階で、録音したものに対してどのように“遊び”や“ひねり”を加えるかという部分については、とくにこれらのアーティストを含む自分の好きなさまざまなアーティストを直接リファレンスしてアイデアを考えることが多いです。

荒幡勇樹(Vo./MC): 小学生のときにRed Hot Chili Peppersのアルバムを買ってもらい、そこから派生してLINKIN PARK、System Of A Downなどのラウド系に傾倒していました。高校から歌い始めたのですが、男性のキーだと高くて歌えなかったため宇多田ヒカルや鬼束ちひろ、Charaなど日本の女性ボーカルを聴いて歌っていました。歌い方や作詞の影響はこの頃に一番受けたと思います。ここ数年ですごく好きになったのはAntony & The JohnsonsとJoni Mitchellです。

後藤スパイシー(Vo./MC): 高校時代の『閃光ライオット』(10代アーティスト限定のティーンエイジャー参加型ロックフェスティバル)への応募を機に、地元札幌で弾き語りを始めました。大学進学で上京後もソロのシンガーソングライターとして、asobiとは別に現在も活動を続けています。高田渡さんをはじめとした70年代日本フォークに影響を受けています。

コマツ(Gt.): ギターはasobiが初めてなんです。学生時代はベースを弾いていました。影響を受けたアーティストはL’Arc~en~Ciel、DIR EN GREY、D’espairsRayです。

三枝(Ba.): 高校時代に学祭バンドに誘われ、ベースに任命されたことがきっかけです。周りの影響でキリンジやaikoをよく聴いていました。

Lainey(DJ): トラックメーカーとしての活動はasobiとほぼ同時期に始めました。ギターを学生の頃から弾いています。トラックメーカーとして影響を受けたアーティストはm-floの☆Taku Takahashiさん、DE DE MOUSEさん、Tomgggさんなどです。

——なるほど、みなさんそれぞれ影響を受けたアーティストがバラバラなんですね。では、音楽以外で影響を受けたものはなにかありますか。

Shoji(Vo./MC): 中学・高校でやっていたキックボクシングと、よく読んでいた不良漫画は今の自分の精神性や性格に結構影響を与えているのではないかと思います。あと最近では脳科学の本に影響を受けています。

荒幡(Vo./MC): 友達や家族。あとは、映画や美術や本、ニュースなど世の中で起こっていることからも影響を受けていると思います。

後藤(Vo./MC): 恋愛観が多いです。あとはインドですね。

コマツ(Gt.): 幼少の頃はファンタジー小説や古代文明が好きでした。『ポケットモンスター』や『ドラゴンクエスト』『真・女神転生』などのRPGからも影響があるかもしれません。

三枝(Ba.): 映画やバラエティ番組ですね。

ボーカルが3人のワケ
『Glitter』
asobi
youtube動画
——asobiはボーカルが3人という他のバンドではあまり見かけないスタイルですが、なぜ3人のフロントマンを置こうと思ったのでしょうか。

Lainey(DJ): もともとRIP SLYMEなど多人数ボーカルのグループが好きで。また、大学時代にasobiメンバーでボーカルが代わる代わる歌っていく形式で遊んでいたこともあったんです。そこからその延長線上で面白いこと・個性的なことができそうだと思ったことがきっかけです。

——RIP  SLYMEはわたしも大好きです。4MC+1DJがものすごくかっこいいですよね。先ほどShojiさんが影響を受けたアーティストでおっしゃっていたKICK THE CAN CREWもそうですけど、ボーカルが増えるとそれだけ魅せ方の幅も広がると思います。楽曲のなかでボーカルの分担や順番などこだわっている部分はありますか。

Shoji(Vo./MC): 僕がセクシーな感じの歌声を担当し、特徴のある歌声の後藤さん、そして低音ボイスの荒幡、という分担です。三者三様の良さがそのまま伝わるように、基本はそれぞれが良いと思う歌詞、メロディをそのまま採用しています。自分が作ったときの曲のイメージとまったく違う内容の歌詞を他のメンバーが歌っていることもありますね。順番にこだわりはとくにないです。

荒幡(Vo./MC): ShojiとLaineyさんが良いものの土台を作ってくれて、コマツさんと三枝が期待以上のものを乗っけてくれて、後藤さんは自分とは全然違うアプローチのスタイルなので、自分はあまり何も考えず、自由にやらせてもらってると思っています。

後藤(Vo./MC): とくにこだわりはありませんが、各パートを聴いてバランスを取ろうという気持ちはありますね。

asobiらしさにこだわった楽曲制作
——楽曲制作はどんな流れでおこなっていますか。

Shoji(Vo./MC): asobiは基本“自分のパートは自分で作る”というスタイルです。メンバーそれぞれが考えてきたアイデアをひとつにまとめることでasobiの曲はできています。

ただ、そこに至るまでの作曲のスタート方法に2通りのパターンがあります。Laineyさんのトラックが先にあって、そこにメンバーが各々のパートを載せていくパターンと、自分が弾き語り、もしくは簡単なトラックで全体像を作ってからLaineyさんが編曲し、そのトラック上にメンバーが各パートを載せていくパターンです。最終的なアレンジは、レコーディングやミキシングの際にメンバー全員でアイデアを出し合っておこなっています。

——では、楽曲制作でこだわっていることは?

Shoji(Vo./MC): 自分のパートだと、つい歌いたくなるような気持ちのいいキャッチーなメロディと韻を載せること。トラック全体で言うと、リスナーが「おっ」となるような“遊び”を入れることにこだわっています。

後藤(Vo./MC): ラップをやったことがなかったり、おしゃれな音楽をあまり聴いてこなかったので、asobiらしさを意識しています。あと、いろんなギミックに毎度挑戦しようと思ってメロディや歌詞を作っています。

コマツ(Gt.): メンバーの期待と自身の想像を超えること。アンサンブルとして機能していること。常に続きが気になるワクワクする楽曲を作ることですね。

三枝(Ba.): MCパートが映えるように意識しています。

Lainey(DJ): asobiの根幹である3MCが輝いていること、またはそれを輝かせることを大事にしています。

——楽曲制作では、どんなときに、何にインスパイアされることが多いのでしょうか。

Shoji(Vo./MC): いい音楽を聴いているとき。スタジオでメンバーと適当にセッション的に歌ったり、楽器を弾いたりしているときですね。

荒幡(Vo./MC): あまりこれ!というものはないのですが、歌詞については日常生活や映画や読んだ本からのインプットの中でピンと来たり感じたことを逐一メモっています。メモしたことをもとに1日中ずっとマイクの前に立っていろいろ試す、みたいな感じです。

後藤(Vo./MC): その時々で聴いている音楽の雰囲気を楽曲に取り入れています。

コマツ(Gt.): そのとき無意識に聴いている音楽や、メンバー含むasobiチームと相談をしているときです。

三枝(Ba.): MCの歌メロから考えがちです。

Lainey(DJ): 他メンバー、特にShojiの作る原曲や彼自身が影響を受けている音楽にインスパイアされることが多いです。

オフの日の“遊び”と、これからのasobiが向かう未来

photo by 河上良

——オフの日の“遊び”事情もぜひ教えてください。何をして過ごしていますか。

Shoji(Vo./MC): お酒、ラーメン、サウナ、コーヒー、読書、映画。

荒幡(Vo./MC): 飲みに行ったりパーティーに行ったりして友達と遊んでます。

後藤(Vo./MC): オフはほとんどないので、睡眠に充てています。

コマツ(Gt.): お酒、食べ歩き、Netflix。

三枝(Ba.): 飲みに行きます。

Lainey(DJ): asobiのことを考えたり、曲を聴いたり、作ったりしています。

——ありがとうございます。みなさんの楽曲に対する考えからオフの日の過ごし方までお聞きし、asobiというバンドをより深く知ることができました! では最後にこれからのasobiについてお伺いしたいと思います。今後の目標を教えてください。

荒幡(Vo./MC): バンドとしては活動の幅をもっと大きくして、新しい楽しさや興奮を見つけ続けていきたいです。個人としては、より自分のスタイルを研ぎ澄ませていきたい。

後藤(Vo./MC): 海外でライブをしたいです。Shojiは歌詞が英語なので聴いてくれる人は世界中にいると思いますから。

コマツ(Gt.): 「asobiだったら間違いない」と、より多くの方々に思ってもらえるようになる。

三枝(Ba.): たくさん聴いてもらうことが今の目標です。

Lainey(DJ): より多くの方に認知してもらった上で、その期待をいい意味で裏切っていきたいです。あと、より大きいライブハウスを埋めたい。

——asobiをどんなバンドにしていきたいですか。

荒幡(Vo./MC): 音楽を聴いていて嬉しい瞬間のひとつとして、好きなアーティストが同じで仲良くなれる、みたいなことがあると思うのですが、リスナーのみなさんにとってそういうきっかけになれたら嬉しいです。

後藤(Vo./MC): 世界に通用するバンド。

コマツ(Gt.): 新たなジャンル、文脈を開拓し確立する、圧倒的な存在感を持つバンド。

三枝(Ba.): 既視感があるようでないバンド。

Lainey(DJ): メンバー自身にも、周りの関係者にも、リスナーにも愛されるバンド。メンバー自身が楽しさを感じ、またそれを周りに提供できるバンド。愛と楽しさがすべてです。

(取材/文・あらたいと)


PROFILE

asobi(アソビ)

早稲田大学のサークルで出会い、卒業後の2019年秋に再集結してバンドを結成。3人のボーカル/MCをフロントに据え、ギター、ベース、トラックメーカー/DJからなる6人組アーバンミクスチャーバンド。
バンド名の「asobi」は、休日に“遊び”として再集結し、バンドとなったことが由来。2020年6月に自身のバンド名をタイトルに掲げた初の音源となる3曲入りシングル『asobi』をリリース。
その後、2021年6月リリースのシングル『Daisy』、および2022年2月リリースのシングル『On Repeat』が、ラジオ局J-WAVE(81.3FM)が厳選する今聴くべきネクストカマーの最新楽曲”J-WAVE SONAR TRAX”に選出され話題に。インディーアーティストとしては1年で2度目の選出となる快挙を達成した。

asobi lit.link
Official Website
Twitter @official_asobi
Instagram @official_asobi

RELEASE
2023.04.05 Release
New Digital Single

『Time To Feel』
asobi

忙しなく過ぎていく時間の中で前を向いて進んでいく意志を、バンドサウンドで表現した新曲!