【ライブレポート】JinnyOops! 新たな一歩となった20周年記念EP『HINOARUKU』発売記念ライブ at 新宿Nine Spices

五辺 宏明

五辺 宏明

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大阪を拠点に活動するスリーピースガールズバンドのJinnyOops!(ジニーオップス)が、4年ぶりの新作となる3曲入りEP『HINOARUKU』を発表。

結成20周年を記念してリリースされた本作は、三都市に離れて暮らすメンバーが各々住んでいる場所をテーマに書いた楽曲で構成されている。

2022年12月9日(金)、本作のレコ発ライブが新宿ナインスパイスで開催された。キャリアの集大成であり、ネクストステージへの新たなスタートともいえるこの日の模様を、バンドのバイオグラフィとともにお届けする。


BIOGRAPHY

無意識のうちに口ずさんでいた「雷鳴SHOCKING」

石橋光世(ギター、ヴォーカル)、石田千尋(ベース、コーラス)、普天間瞳(ドラム、コーラス)からなるJinnyOops!の存在を知ったのは、2022年12月4日に届いた一通のメール。

3rd Stone From The Sun LLCの小林由紀夫氏からのメールで、彼の主宰レーベルからリリースされるJinnyOops!というバンドの新作『HINOARUKU』を聴いてほしいという。メールには、MVや音楽配信サービス各社のURLが貼られていた。

これまでにレベッカやシアターブルック、SUPER JUNKY MONKEYといったアーティストのマネジメントを務めてきた小林氏の推薦ということで、さっそく試聴。3曲とも非常にキャッチーで、すぐにサビのメロディを覚えてしまった。

過去作品も優れた楽曲が多く、手当り次第に動画を視聴。ふと気がつくと、無意識のうちに「雷鳴SHOCKING」という曲のメロディを口ずさんでいた。

翌日になっても新作EPの3曲や「雷鳴SHOCKING」「爆音ヘッドフォンMUSIC」といった曲が頭から離れない。一度もライブを観たことのないJinnyOops!というバンドが気になる存在となっていた。

「雷鳴SHOCKING」
JinnyOops!
youtube動画
結成20周年を迎えたスリーピースのガールズバンド

トランペット、トロンボーンを擁する6人編成のバンドとしてJinnyOops!が結成されたのは2002年。初代ヴォーカリスト、ホーン隊の脱退を乗り越え、トリオで活動するようになる。

2011年にスリーピース体制での初作品『MOTHER SHOCK!』をリリース。2014年には『フジロックフェスティバル』への出演も果たしている。

国内のみならずアメリカ、フランス、台湾、香港など海外でも精力的にライブを行い、テキサス州オースティンで開催される『SXSW』(2010年)や、サンフランシスコの『J-POP SUMMIT』(2010年、2015年)といった大規模フェスにも出演。

2018年にはセルフタイトルを冠した初のフルアルバム『JinnyOops!』を発表。CD発売記念ツアーのファイナルとして梅田シャングリラでワンマンを行う。

香川(石橋)、大阪(石田)、東京(普天間)と生活拠点が異なる現在も、バンド活動を継続。結成20周年を迎えた2022年に3曲入りEP『HINOARUKU』をリリース。

「ヒノアルク」
JinnyOops!
youtube動画

LIVE REPORT

20th anniv. EP Release party 
『HINOARUKU』

2022年12月9日、JinnyOops!を観に新宿ナインスパイスへ。

新作EPのレコ発が行なわれることを知り、小林氏に取材を申し込んだのがライブの前日(12月8日)。JinnyOops!の存在を知ってからわずか4日後のことである。

入場する前に手指の消毒。今ではどのライブハウスでも行われているので、もはや習慣化している。それでも、受付で両手をすり合わせるたびに、かつて慣れ親しんでいたライブハウスとは異なる空間に足を踏み入れるような感覚に陥る。

コロナに対する恐怖心が徐々に薄れ、政府が定めたガイドラインによって規制された収容率も緩和されつつあるが、コロナ前と同じ状態に戻ることはないのかもしれない。

バーカウンターでドリンクチケットとビールを交換して、フロアを見渡す。小林氏がまだ来場していなかったので、見知った顔はひとりもいない。にもかかわらず、ビールをひと口すすっただけで気分が高揚する。

しばらくすると小林氏が到着。旧知のバンドマンも現れ、それぞれの近況に耳を傾けながらビールを流し込む。コロナ以降、ライブハウスで旧友たちと交わす他愛のない会話が、自分にとって重要なものであることを強く感じる。

「One shot one kill」で幕を開けたステージ

ゲストのレヴェラーズ・ユナイテッド、THE JUNGLES!!!、BAD ATTACKに続き、いよいよ主役のJinnyOops!。出囃子のRun-DMC「Walk This Way」に乗って、石橋光世、石田千尋、普天間瞳が現れた。

オープニングは、1stシングル『BREAK』から「One shot one kill」。ストレートで攻撃的なロックチューンを歌う石橋のヴォーカルに耳を奪われる。ギターも鋭く、リズム隊の演奏もタイト。石田のヴォーカルも魅力的で、ステージ上の3人から目が離せない。

同曲完全別アレンジで日本語版と英語版が制作された2ndシングルの「君と僕」。そして『HINOARUKU』から、普天間が作詞作曲を担当した「東京フロンティア」。新作EPに収録された3曲は、各々が住む街をテーマに1曲ずつ手がけている。

Hitomi Futenma (drums, backing vocals)

3rdミニアルバム『MOTTAINAI』収録曲の「錆びれた希望」に続いて、石橋の作詞作曲による新作EPのリード曲「ヒノアルク」。MVの印象よりもずっと厚みのあるサウンドを身体に浴びながら、彼女たちがライブを重ねてきたロックバンドであることを実感する。

Mitsuyo Ishibashi (guitar, lead vocals)

MCを挟んで、石田のペンによる『HINOARUKU』収録曲の「TORIO ROOTS」。歌メロとベースラインが印象的で、個人的には新作EPの中で一番気に入っている。JinnyOops!は、ミディアムチューンも佳曲揃いだ。

Chihiro Ishida (bass, backing vocals)

終わりの時間が近づいてきたころ、爆音で「雷鳴SHOCKING」が鳴り響き、フロアの沸点が最高潮に。トリオとしての初音源『MOTHER SHOCK!』に収録され、1stフルアルバムを発表する際に新録されている「雷鳴SHOCKING」は、バンドにとってもファンにとっても重要な曲なのだろう。

そして、自分も無意識のうちに拳を突き上げていた。音が鳴りやんで我に返り、5日前に初めて聴いたこの曲を心から待ち望んでいたことに気づく。

3度目のUSツアーのために制作されたという「カリフォルニアロックンロール」で本編終了。しかし、3人がステージからはける前から盛大な拍手が送られ、結局そのままアンコールに突入。「嗚呼」と「ROSS DEATH MONEY」をプレイして、颯爽とステージから去っていった。

終演後もフロアに多くの客が残り、ビール片手に談笑している。充実したライブが終わった直後に見られる光景だ。

子供たちが駆けずりまわっていたのも、キャリアのあるバンドのライブならでは。長きにわたってバンドと共に歩んできた人々が集まっていたことがうかがえる。

帰宅後、石橋からいただいた『HINOARUKU』のCDを再生。YouTubeやサブスクで耳にしていた3曲が全く違って聴こえたのは、フィジカルであること、そしてライブを経験した影響に違いない。

配信はもちろん、CDもぜひ。そして願わくはJinnyOops!のライブを体験していただきたい。3人が奏でるサウンドに魅了されるはずだから。

JinnyOops!
20th anniv. EP Release party 『HINOARUKU』
2022年12月9日 @新宿Nine Spices

1. One shot one kill
2. 君と僕
3. 東京フロンティア
4. 錆びれた希望
5. ヒノアルク
6. TORIO ROOTS
7. 雷鳴SHOCKING
8. カリフォルニアロックンロール

[encore]
1. 嗚呼
2. ROSS DEATH MONEY

(取材/文・五辺宏明)
(ライブ撮影・Takehiro Funabashi)

MESSAGE

2022年12月7日にリリースした『HINOARUKU』は、バンド結成20周年を記念して制作したJinnyOops!4年ぶりの音源となります。

大阪、香川、東京とメンバーそれぞれ別々の生活拠点となり、遠距離バンドとしてどう続けていこうかと試行錯誤している時にそれぞれが作詞作曲をしようという話になりました。

住んでいる場所をテーマに曲を持ち寄る。バンドとしては初めての試みでしたが、結果、私達の新しい大きな一歩となる作品となりました。

3人の個性がしっかり出つつも、最終的にはJinnyOops!の音となる。長年がむしゃらにやってきたバンドの不思議なパワーと、想いがこの作品には詰まっています。

是非3曲続けて聴いて貰えたら嬉しいです。
そして、ライブハウスでお会いしましょう!

JinnyOops!

INFORMATION

RELEASE
20th anniv. EP
『HINOARUKU』
JinnyOops!

1. ヒノアルク
(作詞作曲:石橋光世、編曲:JinnyOops!)
2. 東京フロンティア
(作詞作曲:普天間瞳、編曲:JinnyOops!)
3. TORIO ROOTS
(作詞作曲:石田千尋、編曲:JinnyOops!)

発売:2022年12月7日
定価:1,100円+税
品番:JHCA-1021
レーベル:3rd Stone From The Sun LLC
フォーマット:CD

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EVENT
『ザ・サイレンズ Road to 20th Anniversary tour!!』

【DATE】
2023年1月20日(金)
open 18:30 / start 19:00

【LOCATION】
名古屋CLUB ROCK’N’ROLL

【TICKET】
前売 2,500円 / 当日 3,000円(+ドリンク代600円)

【ACT】
JinnyOops! / ザ・サイレンズ / トブトリオトス / 33Insanity’sVertebra / アクロバット★少年

HP / SNS

Official Website
Twitter @jinny_oops
Instagram @jinnyoops
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