本州から瀬戸内海を隔てた場所に位置する四国。愛媛県、香川県、高知県、徳島県の4県で構成される、非常に自然の豊かな土地である。
典型的な地方都市であるこのエリアは、都心部へのアクセスも正直あまりよくはない。アーティストのツアー会場としても、日程は限られることの多い場所だ。
それでもこの四国を根強く支持してくれるミュージシャンたちは一定数いて、同じようにこの地でこそ鳴り響く音楽もたくさんある。
そんな四国の音楽シーンを語る上で欠かせないのが、毎年夏に行われる大型野外フェス・MONSTER baSH。そしてもうひとつが毎年春に行われ、今年2022年3月19日(土)・20日(日)に3年ぶりの開催が決定した、SANUKI ROCK COLOSSEUM(サヌキロックコロシアム)である。
ロックフェスで地方活性化!
地元愛に溢れた音楽が高松の街に鳴り響く2日間
香川県高松市。その中心地にある商店街は地方都市には珍しく、半径およそ200メートル圏内、徒歩数分の距離で移動できる場所に、ライブハウスやホールが密集した造りとなっている。
そんな立地を生かして2009年にスタートしたサーキット型ロックフェスが、SANUKI ROCK COLOSSEUM、通称サヌキロックだ。
もちろんサーキットフェス向きの立地だけが開催の理由ではない。このフェスが始まった大きな目的のひとつが、会場となる高松の地元商店街や高松市全体の地域活性化だ。
イベントの2日間では、商店街の飲食店でサヌキロックとのコラボメニューが販売されたりすることも。音楽フェスを楽しみに来た人々が、この商店街ならではの味や雰囲気も併せて楽しめる仕掛けとなっている。
イベント中はアーケードのあちこちにフェスを楽しむ観客や出演者の姿があるのはもちろん、この高松の街で暮らす一般の人たちも普段通りに行き交っている。至って日常的な商店街の中で開催される、非日常の音楽フェス。その境目が曖昧になることも、地域密着型のサヌキロックの特徴であり、大きな魅力のひとつと言えるだろう。
そんな高松の街の毎年恒例イベントであったSANUKI ROCK COLOSSEUMも、新型コロナウイルスの影響でここ数年は中止を余儀なくされていた。
最後に開催されたのはちょうど10周年を迎えた2019年。過酷な3年間を乗り越え今年2022年、ついにサヌキロックは復活の狼煙を上げる。
出演アーティストは総勢約80組、会場は高松市中心地の商店街周辺5ヵ所のライブハウスやカフェ。文字通り朝から夜まで街のあちこちで、音楽が鳴り響く2日間がようやく帰ってくる。
とはいえ今回の開催において最大の注意点は、やはりまだまだ猛威を振るい続ける新型コロナウイルスへの対策だ。特にこういった音楽の現場では、これまでにも様々な先例が賛否両論を巻き起こしている。
今回のサヌキロックでも、マスクの着用必須や各会場へ入場時の検温消毒は当たり前。ソーシャルディスタンスの確保に、大声での発声や歓声も当然禁止。会場内でのドリンク販売は実施せず、アルコールの持ち込みもNGなのは言わずもがなである。
さらに今回は例年と違い、会場ごとに設定された換気タイムでは、観客の入れ替え制を導入。場内換気を目的としたこの取り組みは、「いつものサヌキロック」には当然なかったものだ。
「香川の音楽の灯は絶対消さない―」。そんな確固たる意志のもと、関係各所が策を講じ、観客もアーティストも商店街の人々もスタッフも全員が一丸となってようやく「みんなのサヌキロック」復活開催まで辿り着いた。
満を持して迎える2日間、あのアーケードの下でたくさんの音楽好きが行き交う光景が再び見られる瞬間まで、もうあと僅かの辛抱である。
\フェスの様子をのぞき見/
【アフタームービー】SANUKI ROCK COLOSSEUM 2019
出演アーティストは約80組!
四星球やLONGMANなど四国ならではのアーティストたちも大集合
新進気鋭のニューカマーから、音楽フェス好きにはお馴染みの顔まで。サヌキロックを彩る数多のアーティスト陣の中でも、やはりここで特筆すべきは地元・四国に所縁の深い面々についてだろう。
愛媛出身のメンバーを二人擁するBUZZ THE BEARS、そしてこちらも四国愛媛発を謳い2019年にメジャーデビューを果たしたばかりのLONGMAN。TikTokで200万いいねという爆発的人気を獲得するちゃんゆ胃に、高松を拠点に活動する古墳シスターズは四国の音楽シーンにとってもはやお馴染みの顔だろう。
その中でもサヌキロックを語る上で欠かせないのは、やはり四星球の存在である。
「日本一泣けるコミックバンド」として数多のライブに出演し、音楽フェス好きを中心に熱い支持を得る。彼らもまたバンド結成20周年を迎えメジャーデビューを経てなお、地元・徳島県を拠点に活動を続ける四国の雄だ。
そもそもを辿ると、四星球はサヌキロックの発起人の一員と呼んでも差し支えないバンドである。彼らの深い四国愛があってこそ、このフェスは今日までの歴史を築き上げてくることができた。
そんな四星球のサヌキロック愛は、街中でのゲリラライブや2ステージ出演など、毎年様々な形で観客を楽しませてくれる。今年彼らはどのような形でファンを楽しませるのか、それもまたサヌキロックの見どころのひとつに違いない。
\サヌキロックチャンネル。に登場/
【四星球コメント!】四星球の憧れの共演者!?(両日出演)
次に来るアーティストは誰だ!?
サヌキロック出演の四国発次世代バンドも要チェック
さらに四国開催ならではの企画として、毎年サヌキロックには地元を拠点に活躍するインディーズアーティストも出演を果たすのがお決まりだ。四県の各ライブハウスが自信をもってレコメンドする、今後に期待大のニューカマーたち。
今年は愛媛からJessica、S-TALK、香川からSiLent SPARKLE、マタノシタシティー、ナルコピクシーー、徳島からCIDER NOTES、高知からRIP DISHONOR、聡音の全8組の出演が決定している。
各ライブハウスが発表したプッシュコメントはこちら!
Jessica
(from:松山サロンキティ)
サロンキティ推薦枠のJessica。なんといっても聴きどころはR&R・ブルースのギターに絡まるGt.Vo.りょうの繊細な歌声とメロディーです! そしてエネルギッシュかついぶし銀のパフォーマンスが光るライブは、観客が思わず聞き惚れてしまう魅力が満載です!
今年を飛躍の1年にすると誓ったJessicaの活躍、見逃さないでください!
☞ Jessicaインタビューはこちら
S-TALK
(from:松山WstudioRED)
2021年コロナ禍の中ではありますがCDリリースに全国ツアーと精力的に活動を行い、今、松山で最も勢いがあるバンドです。
男女ツインボーカルのどこか懐かしさを感じるメロディーと、若さ溢れる荒削りなライブはメロディックパンク好きには必見! サヌキロックのステージでもその若さと勢いを余すことなく発揮してくれること間違いなしです!
SiLent SPARKLE
(from:高松DIME)
高校の軽音楽部にて結成。高校卒業を機に活動範囲を拡げ、東名阪ツアーや九州ツアーを敢行。同世代の日常的にある想いを唄う。
楽曲はシンプルながらも叙情的でライブではその秘めた熱量を爆発させる。惜しくも中止となった2020年のリベンジを果たし、視界は更なるステージへ。益々成長が楽しみな香川の若手筆頭バンドです。
マタノシタシティー
(from:高松DIME)
それぞれ出身の違うメンバーが香川の学校で結成。当初は趣味程度の活動だったが憧れのバンドに出逢い本格化する。
思わず口遊んでしまうキャッチーなメロディとシンプルながら情景がみえる歌詞が秀逸。昨年からメンバーの都合もあり関西圏での活動も活発化し、その活動もあって各地を巡る同世代の仲間達と交流を深め、それぞれの帯同ツアーなどにも参加。今や香川の筆頭バンドとして常に熱いライブを各地で敢行している。
ナルコピクシーー
(from:高松MONSTER)
“ファンタジックシアター”をコンセプトとした劇場型エレクトロポップバンド!
Vo.キャロの独特な存在感と異次元へトリップしたような感覚に陥るサウンド。ライブ全曲通して紡がれた物語が一つの大きなうねりになる、そんな様々なルーツを巡る音旅行をぜひ体感してください。
RIP DISHONOR
(from:高知キャラバンサライ)
こんにちは! ⾼知 CARAVAN SARY 店⻑ ⼭崎治輝です!
SANUKI ROCK COLOSSEUM 2022、⾼知 CARAVAN SARY からは[RIP DISHONOR]を推薦させていただきます。まだ⾼校 1 年⽣ながら、県内外のイベントに積極的に出演し、コンテスト形式のイベントでも数々の賞を受賞している RIP DISHONOR。実⼒は間違いありません、皆様ご期待ください!
これからの四国バンドシーンに新しい⾵を吹かせてくれるであろう彼ら4⼈の、フレッシュでパワーのあるライブをぜひ体感してください!!
CIDER NOTES
(from:徳島club GRINDHOUSE)
最初はとっ散らかった印象だった音楽性もコロナ禍に入ってからどんどんブラッシュアップされ、今一番目が離せないバンドです。パワーポップ、ポップパンク、ギターポップ好きは必見!
聡音
(from:高知X-pt.)
ヂラフマガジンをご覧の皆様、高知X-pt.店長の福井と申します。SANUKI ROCK COLOSSEUM 2022に当店から推薦させていただいたアーティストは20歳の女性シンガーソングライター「聡音」です。
季節の風景を切り取るような言葉の描写の端々に自分自身の内面世界が落とし込まれていて、とても芯のある音楽を鳴らしています。また、弱冠20歳とは思えないほど落ち着いた艶のある歌声は多くの人の心を掴むと信じています。
彼女にとって初の県外遠征となるサヌキロック2022、そしてこの日、自身初となる3曲入りの音源が発売となります。是非ライブを見て、CDを買って彼女の音楽に出会ってみてください。よろしくお願いします!
彼らを含め、ラインナップの中には名前すら知らないアーティストもきっといるはずだ。
けれど彼らの動画や配信楽曲、あるいはアー写などのビジュアルからでもいい。「なんだか気になる」と思ったアーティストの生音を気軽に聴いて、新しい音楽に出会う。それこそが、このサーキット型フェスの何よりの醍醐味と呼べるだろう。
SANUKI ROCK COLOSSEUM 公式YouTubeでは、出演アーティストの意気込み動画も公開中。ぜひチェックを!
四方を海に囲まれた地域、四国地方。いわゆる典型的な地方都市と呼べる立地にあるこの場所でも、この場所ならではの形で音楽を楽しんでいる人は大勢いる。
あるいはこんな場所だからこそできる音楽があって、こんな場所だからこそ愛してくれる人たちもいる。
なんでもある都会にはない、この四国ならではの音楽イベント。地域密着型の熱い四国愛、地元愛にあふれたSANUKI ROCK COLOSSEUMへと、ぜひあなたも足を運んでみてはいかがだろうか。
(文・曽我美なつめ)