【大谷修登】茨城発!最重要アーティスト|無垢さと熱情がほとばしるハスキーボイスのエモーショナルフォーク

池田 小百合

池田 小百合

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北関東の音楽シーンの中でとびっきりの原石を見つけた。

「茨城は水戸 歌うたい」。自らをそう名乗るシンガーソングライター大谷修登(おおやしゅうと)。彼を一言で紹介すると「土砂降りの雨」の中にいるような人だ。

彼のライブを初めて見たのは今年5月。水戸エクセル本館屋上で開催された、茨城の音楽シーン活性化のためのプロジェクト『ヒカリノハコ』のイベントだ。演奏中にゲリラ豪雨に見舞われた彼は、ステージも雨ざらしでびしょ濡れになりながら「自分は大丈夫だから安心して楽しんで」と観客へ心配りをしていた。そして雨をものともせずに歌う彼の圧倒的な姿に、筆者は今後の活躍を確信した。

地元を飛び越えて活躍する可能性が高い注目のアーティスト、大谷修登。彼の持つ原石ならではのエネルギーを、是非あなたにも感じてほしい。

cover photo by 冨田味我


エモーショナルフォークを奏でる大谷修登とは

photo by 冨田味我

1994年、茨城県水戸市生まれ。2011年より4ピースギターロックバンド・ane-moneのギターボーカルとしてバンド活動を開始し、2018年よりソロ活動も開始した。

海北大輔(LOST IN TIME)や金廣真悟(Asuralbert II)など数多くの有名アーティストと対バン経験があり、東日本ツアーや地元mito LIGHT HOUSEでのワンマンライブなど、精力的な活動を行っている。

また、THE BACK HORN山田将司とCOCK ROACH遠藤仁平が発起人となってスタートした、新型コロナウイルスに苦しむ茨城県内の音楽シーン活性化のためのプロジェクト『ヒカリノハコ』の活動にも参加しており、2021年リリースのオムニバスアルバム 『茨城大爆発』に未発表の楽曲が収録されている。ヒカリノハコの活動に影響を受けた地元アーティストが中心となって立ち上げた、地元密着型音楽サーキットフェス『LIVEHACK IBARAKI』の発起人の一人でもある。 

彼が茨城の最重要アーティストである理由

photo by 冨田味我

ハスキーさに大人になりきれない少年のような無垢さが混じった歌声、気弱さも感じさせる佇まい。そんな大谷修登だが、ライブでは弾き語りがメインで、ane-moneとは一線を画したエモーショナルなフォークロックを奏でている。歌い出せば暑苦しいくらいの力強いエネルギーが伝わってくる。

楽曲から感じられるのは、曇天のグレーやミッドナイトブルーのような限りなくモノクロームの風景だ。人の弱さや闇に向き合う楽曲が、過去の傷をむき出しにされるような居心地の悪さと同時に、寄り添ってくれているような居心地の良さも感じさせるのだ。

前記の雨の中で見せた圧倒的なパフォーマンスが、石崎ひゅーいなどの地元出身の先輩アーティストに追いつけそうな圧倒的な存在感を示していた。そこが彼の茨城最重要アーティストであるゆえんだ。

8月29日の1st EP『umbrella EP』リリースと同時に、「大谷修登 release tour『umbrella EP』」と題した初の全国ツアーが勝田STORMY MONDAYより開始している。ツアーの経験が彼をどう成長させるだろうか。ライブハウスに足を運んで途中経過を見守ってみるのはいかだだろうか?

【10月ツアースケジュール】
10/5 (火) 出雲APOLLO
10/6 (水) 広島ALMIGHTY
10/7 (木) 山口LIVE rise SHUNAN
10/8 (金) 福岡LIVE HOUSE OP’s
10/9 (土) 小倉FUSE
10/11(月) 大分club SPOT
10/15(金) 日立party×party
10/19(火) 弘前KEEP THE BEAT
10/20(水) 岩手the five morioka
10/21(木) 仙台RIPPLE
10/22(金) 郡山PEAK ACTION
10/24(日) 福島OUT LINE

おすすめ楽曲紹介
「umbrella」
youtube動画


8月にリリースされた4曲入りの1st EP『umbrella EP』に収録されている表題曲。

雨男の彼は、楽曲にも湿度が高い部屋の空気を感じさせる力がある。かけがえのない人だったことは、なくしてから気づくものだ。風が強い日は盾になり、雨が降る夜は傘の代わりになった「貴方」。いなくなってからそのことに気づいた主人公が、自分自身と向き合いこれからどうありたいかを見つけ出す曲。

楽曲の序盤では、“今まで”を失意の中で、それでも客観的に描こうとしているからこそ、相手のことを「貴方」という自分から遠い表現で称している。しかし、最後のパートでは〈今度こそ「君」の事迎えに行くよ 居たい場所になれるように〉と歌っている。過去を向いていた主人公がようやく“今とこれから”を見据えられたからこそ、より近くに感じられる「君」という表現に変えて歌っているのではないか。主人公が最後に出した答えは、楽曲を聴いて確かめてほしい。

「drawing」

『茨城大爆発』に収録されている書き下ろしの楽曲「drawing」。大谷は茨城放送の特別番組『4Me×茨城大爆発SP』にゲスト出演した際に、この楽曲を“音楽を続けることを諦めたり、辞めていったりした人たちに向けて書いた”と語った。楽曲の背景を知ると、コロナ禍で思うように音楽活動ができなくなり辞めていくアーティストが増えた、今の時代を象徴した楽曲だとわかる。だからこそ楽曲から伝わるのは、同じ道を歩むことができなくなった仲間への気持ちだ。

相手の踵の音というのは、自分の足並みと揃わないときに聴こえる。主人公は、自分が相手と同じ歩幅で歩けないことは受け止めている。けれど、どんどんすれ違っていくリズムで、やがて相手との関係が終わることに気づく。それぞれが選んだ道を歩き始めたはずなのに、自分だけが置き去りにされたような悲しみや、相手が一歩先に行ってしまった寂しさが伝わってくる。

それでも〈出会えたこの奇跡〉の景色を〈何度も描いていた その絵を描いていた〉のは、一緒に過ごした日々を刻むためだろう。〈戻れないのは 僕だけでいい 僕だけでいい〉という歌詞に、割り切れずに立ち尽くしている主人公の姿が見える。

「seaside suicide」
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彼らしく月明かりしかないような夜を感じさせる楽曲。穏やかではないタイトルはわかりやすく韻を踏んでいるが、歌詞ではさりげなく海や海月、月と近い言葉を絡めている。 「しあわせ」について考えさせられる楽曲。

「月並み」
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ストーリー仕立てのMVとなっており、2021年8月に解散したmonopoliのVo./Gt.瀧口ほだかが出演している。

「誰も知らない反撃」
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彼が所属しているバンド、ane-moneのMV。バンドメンバー全員が出演しており、演技も見ものだ。

MESSAGE

茨城の歌うたい大谷修登です。
「ひとと向き合う音楽」をモットーに
フォークやemoと言った音楽性から影響をうけて作詞作曲しています。

今回4曲入りの新譜『umbrella EP』をリリースしました。
「umbrella」は大切な人と向き合う曲でもあり
自分の弱さと向き合う曲でもあります。
雨の中自分の傘をさしだせるような
そんな人になりたい
そんな気持ちをつらつらと曲にしました。
切なくも暖かいそんな世界観を楽しんでもらえたらと思います。

(文・池田小百合)


PROFILE

大谷修登
(おおやしゅうと)

1994年茨城県水戸市生まれ。2018年に1st Album『君が浮上する世界線』をリリースし東日本ツアーを敢行。2021年3月にmito LIGHT HOUSEにてワンマンライブ「ボクとキミとライブハウス」を開催。海北大輔(LOST IN TIME)や金廣真悟(Asuralbert II)など数多くの有名アーティストと対バン経験もあり。2021年8月29日会場限定販売の1st EP『umbrella EP』リリース。同時に「大谷修登 release tour『umbrella EP』」と題した全国ツアーを勝田STORMY MONDAYより開始。
4ピースギターロックバンド・ane-moneのギターボーカルも担当。地元密着型音楽サーキットフェス『LIVEHACK IBARAKI』の発起人の一人であり、精力的に活動している。

活動開始

2018年

主な活動拠点

茨城県水戸市

HP / SNS

公式Twitter @anemosyuto

RELEASE
大谷修登

1st Album『君が浮上する世界線』(2018年)
1st EP『umbrella EP』(2021年8月)
※会場限定販売

ヒカリノハコ

Omnibus Album 『茨城大爆発』(2021年4月)
※「drawing」/大谷修登 収録
※水戸市内CDショップ、ヒカリノハコ公式サイトにて販売

ane-mone

1st Mini Album『誰も知らない反撃』(2018年)
※会場限定販売