“魅力度最下位”を音楽で覆せ! 茨城・水戸オススメのインディーズバンド&アーティスト

池田 小百合

池田 小百合

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今、茨城・水戸の音楽シーンがアツい!

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、音楽活動が思うようにできないアーティストが多い昨今だが、「地方の音楽シーンは衰退しているのでは?」と思うなかれ。

昨年8月に茨城出身のTHE BACK HORN山田将司とCOCK ROACH遠藤仁平が発起人となり、県内の音楽シーン活性化のためのプロジェクト『ヒカリノハコ』が始動した。茨城県出身のアーティスト25組が参加したオムニバスアルバムのリリースなど、独自の活動が話題となっている。『ヒカリノハコ』の活動に触発された茨城のアーティスト主体の地元密着型音楽サーキットフェス『LIVEHACK IBARAKI』も発足し、茨城の音楽シーンの熱量はますます上がっている。

茨城県は『ROCK IN JAPAN FESTIVAL』や『つくばロックフェス』の開催地であり、水戸・つくば・ひたちなかなど多くの地域にライブハウスが点在する、音楽が活発な地域である。また、前出のTHE BACK HORNやCOCK ROACHをはじめ、MUCCやBRAHMANなど個性的なバンドが多数生まれている独自性の強い地域だ。

2021年度も再び「都道府県魅力度ランキング」で最下位が確定した茨城県。そんな逆境をものともせずに精力的に活動している県内オススメのインディーズバンド&アーティストを7組紹介する。新たなお気に入りアーティストを発掘しよう!


Bonnet Monkey
(ボンネットモンキー)

猿でもノれるギターロックバンド

2018年結成の男女混合4ピースギターロックバンド。すぐに口ずさめてしまう開放感のあるキャッチーなメロディと、疾走感があるアレンジが特徴だ。中性的なBa.なぎなぎ、チャラいキャラでMCも担当するDr.しょーまなどメンバーは個性派。

10月1日リリースの 1st EP『view』は、LuckyFM 茨城放送『すいたんすいこうのすいすい水曜茨城愛』オープニング曲の「街角ファンファーレ」など全5曲を収録。ギターロックに忠実でありながらもダンサブルだったり、懐かしいテイストを取り入れたりした楽曲もあり、まさに猿でもノれて踊れるナンバーがそろっている。なお、本作品は水戸駅の新星堂 水戸店、タワーレコード 水戸オーパ店、そしてライブ会場で購入できる。

『view』 Official Music Trailer
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「ボンネットに乗って」
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彼らのテーマ曲であり、ライブのアンセム。誘拐されたなぎなぎを探すため、水戸の街を駆け抜けるメンバーの演技に注目!

そんな彼らから、ヂラフマガジンにメッセージが届いた。

Bonnet Monkeyは、猿でもノれるを目標に掲げ、水戸を拠点に活動しているギターロックバンドです。今回発売した1st EP『view』は、自分たちの殻を破った5曲をそろえた作品です。俺たちの今を詰め込んだサウンドを楽しんでください。

Bonnet Monkey

goomiey(グーミー)

第一感で感じるど真ん中に刺さる唄

2017年、ガールズ3ピースバンドとして結成。2020年までに2枚のアルバムリリース、ツアー、イベント、学園祭の出演と精力的な活動を行っていた。しかし新型コロナウイルスの影響で2020年全国ツアーの予定が全て中止になり、3月31日をもってBa.岩堀聖奈とDr.大久保林香が脱退。前途多難な状況に陥りつつも、現在はサポートメンバー2名を迎えて活動を継続している。

2021年7月28日、「ど真ん中に刺さる唄」をテーマとした4曲入りの1st EP『ワンセンス』をリリース。テレビ朝日『トゲアリトゲナシトゲトゲ』9月度エンディングテーマに起用された「2020」は、〈延期ばっかりの毎日もマスクで隠せちゃう表情も 慣れないまんまの僕でいい〉とコロナ禍あるあるな風景を描いた話題曲。茨城の音楽シーン活性化のためのプロジェクト『ヒカリノハコ』のオムニバスアルバム『茨城大爆発』にも収録されている。

「ミッドナイトハイウェイ」
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透明感のある平山舞桜の声、背伸びをしない等身大のメッセージ、シンプルだが耳に残るメロディ、細かい部分にひねりがあり一筋縄ではいかないアレンジが特徴だ。

森公一
(もりこういち)

12年のバンド活動を経た圧倒的歌唱力

1999年結成のWARPHOLLのVo.であった彼は、2011年の活動休止と同時に音楽活動を中断。そして2018年にソロとして活動を再開した。ライブでは弾き語りを中心に演奏をしているが、現在はバックバンドを従えた演奏も行っている。ジャンルレスな楽曲と気迫のある声がまっすぐ心に届く。

活動再開後は2回の全国ツアーを行い、4月には1st ALBUM『灰色の空と赤き太陽』 をリリース(会場と通信販売で購入可)。『ヒカリノハコ』に参加しながら、地元密着型音楽サーキットフェス『LIVEHACK IBARAKI』発起人の一人としても活動している。

「鈍色の街で」
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『灰色の空と赤き太陽』 の最後に収録されているこの楽曲は、彼が一度音楽から離れていた背景を踏まえて聴くと理解が深まる。〈何度でも 何度でも 歌にして 日々を越えてゆけるように〉という歌詞は、再び音楽と向き合おうとする気持ちなのだろう。

しかし、なぜ街が鈍色なのだろうか? それは音楽から離れてしまった後の心像と、この時代を象徴する新型コロナウイルス感染拡大によって活気がなくなった街の色とが、同じ「鈍色」に重なるからだろう。それでも〈苦しみも 傷口も 洗い流し また繋いでゆけるように 歌い続けてゆく〉という覚悟が伝わってくる名曲だ。

ジョンソンこうが
(Johnson KOGA)

ハッピーオーラがあふれる水戸のダークホース

22歳の若きソロアーティスト。もともとギターロックバンドで活動していた彼だが、“Japanese POP musician”と名乗り、9月に水戸LIGHTHOUSEで開催された『LIVEHACK IBARAKI』第一弾に出演した。ソロとしての初ステージを見たバンドマンや関係者からは絶賛の声がやまなかった。そのときのライブ映像は彼のTwitterにアップされている。

楽曲は小沢健二や星野源を彷彿とさせ、聴く人をハッピーにするオーラを放っている。未完成ではあるが未知数の可能性を秘めた、まさに水戸のダークホースだ。

「I LOVE YOU」
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「1曲の中で〈I LOVE YOU〉と世界一歌っている曲なのではないか」と彼が語る楽曲。そんな〈I LOVE YOU〉と同時に、日本語で歌う〈きみがすき〉というリフレインも非常に心地よい。耳に残るPOPさとキャッチーさを兼ね備えたナンバー。

「HUMAN」
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LuckyFM 茨城放送『すいたんすいこうのすいすい水曜茨城愛』エンディング曲。彼がゲスト出演したYouTubeプレミアム生配信では、堂々としたステージをこの楽曲で見せた。「HUMAN」と「I LOVE YOU」の2曲入りCDは会場限定販売。

小泉涼介
(こいずみりょうすけ)

アコギ1本で鮮やかな世界を魅せるインストメンタルソロギタリスト

インストメンタル演奏を行うソロのギタリスト。アコースティックギターをパーカッシブにたたく特殊奏法などを取り入れている。

筆者が『ヒカリノハコ』主催のイベント「茨城大大大爆発」にて彼を初めて見たとき、アコースティックギター1本とは思えない音色の美しさと迫力、そして圧倒的な演奏にステージにくぎ付けとなった。歌がないのに一瞬の隙も見せない演奏は押尾コータローを彷彿とさせたが、実際に彼のコピーも行っていたというエピソードがある。サウンド作りにも徹底的なこだわりが感じられ、今後の活躍に期待している。

今年6月、リリース済みの3曲入りCD『-紡ぐ-』がサブスクリプションでも聞けるようになった。小泉のオンラインショップ「残香 -zanka-」では、CDや彼が手作りしたドライフラワー作品が購入できる。

「追憶、花束に吹かせて」
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etu
(エト)

柔らかさに秘めた衝動

club SONIC mitoの倉川店長のオススメでもある男性3ピースエモーショナルロックバンドのetu。Vo./Gt.助川の声は柔らかく甘いが、胸元にナイフを突き立てられるような鋭さがあり、アレンジはシンプルだが立体的な音像を見せる。歌詞には独特のセンスが光っており、心の闇に寄り添いながらも先に進もうとする姿がまぶしい。

「対自殺否定論」
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1st EP『責念の所在』に収録されているこの楽曲。映像は衝撃的で、あらゆる自殺方法を試そうとしている人間の作品となっている。この楽曲で重要なポイントは、死にたくなる人の気持ちを具体的に表現しており、決して否定していないということだ。しかし〈死ぬのはいけないことだって 苦しまずに生きれりゃそうりゃそうさ じゃあ笑い狂って生きてみましょう〉と、難解な答えを示している。

公式Twitterの投稿で一部分が聞ける「未遂」もオススメだ。

大谷修登
(おおやしゅうと)

エモーショナルなフォークロックを奏でるハスキーボイス

2011年結成のane-moneのVo./Gt.で、2018年よりソロとしても活動を開始し『ヒカリノハコ』に参加している。『LIVEHACK IBARAKI』の発起人の一人でもあり、11月20日(土)に開催されるイベント第2弾に出演が決定している。彼の特集記事もぜひ読んでほしい。

「東京」live@浅草Gold Sounds
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ane-moneの楽曲でもある「東京」。このタイトルの楽曲は多くのアーティストのアンセムとなっており、総じて名曲だ。「東京」と題した曲が表現するものはさまざまであり、自分と東京の関係性をどのように描いているのかもさまざまだ。

彼はあえて生と死を選んだ。選んだというほど器用な選択ではなく、そうせねばならない必要性の中で描かれた曲であろう。茨城は東京との距離が決して遠いわけではない。その絶妙な距離感を意識して聴くとまた違う景色が広がる。絶望から〈死にたい〉と〈生きたい〉のはざまで揺れる、主人公の切ない心理が心に染みる。



現在進行形で活動中のインディーズアーティストを紹介したが、今回紹介した7組以外にも個性的でアツいアーティストがそろっている茨城の音楽シーン。YouTubeやサブスクでは聴くことができない、まだ知られていない素晴らしいアーティストも!

さまざまなアーティストの楽曲が収録されたオムニバスアルバム『茨城大爆発』は、新たなアーティストの発掘にオススメだ。ヒカリノハコ公式サイトと水戸市内CDショップにて販売しているのでぜひチェックを。

なお、本記事で紹介した地元密着型音楽サーキットフェス『LIVEHACK IBARAKI』第2弾が2021年11月20日(土)にStormy Mondayひたちなかにて開催される。地元アーティスト主催のイベントで、注目アーティストの生の音に触れてみてはいかがだろうか。

(文・池田小百合)

『LIVEHACK IBARAKI』第2弾

日程:2021年11月20日(土)
会場:Stormy Mondayひたちなか
チケット:1部/2部 各¥2,000、通し¥3,000
問い合わせ:Stormy Monday(TEL.029-219-6838)または各出演者まで
公式Twitter:@livehacki

【1部13:00〜】
大谷修登
Sayonara Tokyo
ベップヨシヒデ
ルクリア

【2部16:30〜】
スーパーアイラブユー
朝日駿
as usual
瀧口ほだか