四国在住の音楽ライターが注目する、四国出身の精鋭若手バンド6選

曽我美 なつめ

曽我美 なつめ

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本日は、ここ四国に在住しながらも全国様々なライブハウスに足を運び、プレイヤーとしての経験も持つ音楽ライターである筆者が、独自のサウンドを鳴らし続けている島国の精鋭バンド6組を自信をもってオススメさせていただく。

一地方の田舎バンドと侮ることなかれ、四国を活動の拠点としながらも、どのバンドも全国各地で研鑽を積んでいる猛者ばかりだ。ぜひこの機会に、彼らの熱い音楽に一度耳を傾けてみて欲しい。


香川県出身の要チェックバンドはこれだ!

Look at moment(ルックアットモーメント)

まず最初にご紹介したいのは、高松のLook at moment。Gt./Vo.Keisuke Arase(tadake)、Ba./Vo. Chishi Fujita、Dr.Kouichiro Uzuから成る3ピースバンドだが、四国の若手激情系バンドで彼らの右に出る者は今やいないと言っても過言ではないのではないだろうか。

彼らの音楽は、ただ己の拳のみでこちらの鳩尾をフルスイングで殴りにくるかのようなド直球の轟音サウンド。獰猛な漆黒の獣が躯体の千切れんばかりに咆哮する様と対峙しているのでは、と思うほどの爆発的なエネルギーを放つライブには圧倒される。ぜひ一度あなた自身の生身の身体と魂で、彼らの音楽に触れていただきたい。

メンバーからのコメント

活動も気がつけば2020年で10年目に突入するみたいで、時間の過ぎる早さにゾッとしていますが、最近は特に難しいことは考えていなくて只々メンバー全員が納得して世に出せる、純度の高いものを作りたいなってのが個人的なテーマです。

もちろん自分のルーツであるハードコアや激情のシーン、パンクスピリッツは大事にしたいし、そのシーンに対するある種の憧れや尊敬は高校生の時とほぼ変わらずに持ち続けているけれど、そことはまた別できちんとL.A.Mを落とし込んで表現に繋げなきゃ面白くないなと思っています。

日々、音楽やシーンに対する考えが、「面白いか退屈か」「カッコイイかダサいか」「フレッシュかどうか」位の簡単なイメージになってきていて、高松の環境が今『TOONICE』というベニューを中心に最高に面白いので、そこに一石投じられるような存在でありたいなと思います。2020年に新しい音源を出せるかと思うのでそちらも是非チェックしてください!

(Gt./Vo.Keisuke Arase)

kinderwalls(キンダーウォールズ)

Ba./Vo.マナベナオト、Gt.カワノショウタ、Dr.ワタナベマコの3人から成る高松のKinderwalls。彼らが奏でるサウンドはまさにエモーショナル=情緒的で、荒々しさの中にもどこか哀愁の漂う響きを孕んでいる。

Ba./Vo.マナベナオトの紡ぐ、諦めにも似たやり切れなさを抱えながら、それでも前に進もうとする強い意志を持った詞。彼の言葉は、忙しない日常の中でふと耳にした瞬間、思わずはっとさせられる問いを以て私たちのもとに届くことだろう。心の中に住まう一抹の虚ろを押し込めながら、それでも自分の脚で歩み続けている人々の背中を、彼らはいつでもそっと押してくれるのだ。

メンバーからのコメント

バンドのジャンル的にはエモやオルタナティブと言われがちですが、色んな音楽のうま味やエグ味を言葉回しや曲の作り方で混ぜてみんなに聞いてほしいって考えが根底にあります。でも、やっぱり歌詞は人肌で手渡しできる言葉ってことを意識してるので、そこは気にしてもらえると嬉しいです!

去年の夏に『リーフカレント』というミニアルバムを作りました。また遠いですが1年後にフルアルバムを出す予定なので、SNSやフライヤー、風の便りなどで聞いたらチェックしてもらえると嬉しいです!

(Ba./Vo.マナベナオト)

愛媛県出身の要チェックバンドはこれだ!

bootleg verrolls(ブートレッグベロルズ)

愛媛松山を拠点に活動するGt./Vo.佐々木優大、Ba.曽我美拓海、Dr.溝渕智子の3ピースバンドbootleg verrollsは、ただひたすらに「普通」に生きる者のための歌を歌う。聴く者を圧倒する激情ほとばしるバンドサウンドの中で、日々の暮らしの中で生まれる自らの葛藤とそれでもなお己の脚で立ち続けるための決意を高らかに歌い上げる。

いわゆるエモーショナル、ハードロックと呼ばれるストレートな轟音の中に、時折織り込まれる胸を締め付けられるようなギターフレーズやどこかノスタルジーを感じるような叙情的なサウンドは、きっとあなたの心を掴むことだろう。

メンバーからのコメント

7年というとても短いバンド人生の中で、「バンドマンは社会不適合な人種」「バンドマンは人に夢を見せる仕事」という話を、散々言われ続けて参りました。確かに一理あると思いますし、そういった信念を持って活動を続けているバンドを僕は心より尊敬しております。

しかしながらベロルズの根幹は「生活」「日々の営み」「現実」の一部です。日常で降りかかるストレスや困難、社会の不条理に対して、産み出した楽曲を通してアゲインストを謳っているのです。真面目に、真剣に、リアリティを求めて。

これからもbootleg verrollsは生活の中で感じたリアルな心情の吐露を、楽曲として産み出していきたいと思います。

(Gt./Vo.佐々木優大)

LADALES(ラダレス)

Gt./Vo.小笠原啓、Ba.405、Dr.中村天の3人から成るバンド、LADALES。自らが騒音と称する、一度鳴らせば空間を支配するかのような直情的な音の中で、時折ふとよぎる人間の鼓動や血液の温かさ。そんな、どこまでも人間の命を感じさせてくれるバンドである。姿形は見えなくとも、暗闇の静謐の中でじっとただひたすらに、今この瞬間もLADALESという生命体は息づいているのだ。

2019年11月末には北の大地・北海道にて、NOT WONK主催の『Your Name』への出演を決めた彼らが、暗闇から這い出し我々の喉笛を喰いちぎる日はきっと近い。

メンバーからのコメント

グランジ、ダーク、ハードなどと評されることが多いですが、自分たちが自信を持ってカッコいいと思う曲を作り、カッコよく演奏することだけに集中しています。

メンバー3人とも音楽的にはかなり異なるルーツを持ってますが(バウハウスからvulfpeck、乃木坂など)、何を楽しいと思うかの芯の感覚は一緒だと感じているので、それらをLADALESという1つの騒音に昇華することにこだわり日々活動に励んでおります。

ライブでは汗と涎をどれだけ飛び散らせるかということに重点を置き、「目撃してしまった」感を感じていただけるような演奏を常に心がけてます。音、動き、匂い、全感覚のどこかに引っかかっていただければ幸いです。

現在はsoundcloud、Youtube上にて自主録音の音源やライブ映像を公開しています。周りの仲間達にサポートしてもらいながら、血の温もりを感じる活動を続けさせてもらってます。

俺らは俺らが最強だと思ってるけど、四国の片隅愛媛には他にもカッコいいバンドがいるんで、もっとやり合いたいです。bootleg verrollsとか。二番町指定騒音楽、よろしく。

(Gt./Vo.小笠原啓)

徳島県出身の要チェックバンドはこれだ!

Gremlin(グレムリン)

徳島のGremlinは、今回ご紹介するバンドの中で今後最もワールドワイドな活躍が期待できるのではないだろうか。Gt./Vo.とむ、Ba.ふじわら、Dr.よしきの3人が奏でる、多くの人を虜にするであろう少し乾いたサウンドは、ポップでキャッチー、リズミカルなギターロック。しかしその中には骨の太い一本の芯がしっかりと真っ直ぐに通っている。

彼らのシンプルかつストレートな音楽は、現に海外バンドとの共演や、共演を熱望する声となって少しずつ広がりを見せ始めている。国境を越えて広がってゆく音楽に今四国で最も近いのは、彼らだと言っても差し支えないだろう。

メンバーからのコメント

Gremlinというバンド名ですが、映画『グレムリン』はメンバー誰1人観たことがありません(笑)。当時、私がハマっていたバンドsusquatchのA Gremlinという曲から取りました。影響を受けているバンドはこんな感じです(Tiny Moving Parts,Algernon Cadwallader,snowing,The Ground Is Lava,the band apartなど)。

メンバー3人の間での好みの違いがあり、曲により個々の色の出具合も違うので、良くも悪くも曲によってテイストが違います。エモなのかメロディックなのかと問われると、自分でもうーむと困ってしまいますが、どれかの曲が心に刺さると嬉しいなと思います。

そんな我々Gremlinですが、今年の10月にレコーディングを終え、2つ目の音源をリリース予定です! リリース時期はまだ未定ですが、是非チェックしてください! それでは、また。お酒を飲みながら、ライブハウスでお会いできるのを楽しみにしております。

(Gt./Vo.とむ)

高知県出身の要チェックバンドはこれだ!

title(タイトル)

Gt./Vo.一丸、Gt.山崎、Ba.宮本、Dr.平岡の4人から成る高知出身のバンド、titleは、四国では珍しいインストゥルメンタル楽曲を武器とするバンドである。洗練された都会感と良い意味での田舎の牧歌感がほどよく織り交ざった、この自然豊かな四国の地だからこそ鳴らすことのできる音楽なのではないだろうか。

ライブでのメンバーひとりひとりのテクニカルかつエモーショナルなパフォーマンスも、見る者を惹きつける魅力のひとつ。どこか機械的な響きを残しながらも、まるで人の手によって命を吹き込まれた音の息遣いを感じさせるような、繊細でありながらも随所で煌きを放つ演奏も必見だ。

メンバーからのコメント

2016年、高知の大学の先輩後輩でバンドを組み活動を開始しました。メンバーの脱退や就職によって、現在は高知・大阪・香川にメンバーが分かれていますが、各々別の地域でのコミュニティを大事にすることで、活動の幅・感性の幅が広がったような気がします。

2019年には新たにギター山崎を迎え、4人体制で活動をしています。年齢も音楽的趣味も違う4人ですが、a picture of her、how to count one to ten、toeなどの共通したインストゥルメンタルに対する好みがtitleの元となっています。

2020年は、これまでのBefore the dawnという自主企画中心の活動体制から、関西や関東を意識したより幅の広い活動ができればと思っています。

(Dr.平岡)


たかが四国、されど四国。この狭い島国の各地でそれぞれに芽吹き咲き誇る音楽には、大都会の街にも負けず劣らずの面白さがあると私は信じている。

四国にはまだまだ本日紹介しきれなかったバンドが、日々それぞれの信念を掲げて活動している。興味を持ったそこのあなたには、目の前にある文明の利器を存分に生かし、四国の地に息づく音楽にさらに触れていただきたいと願うばかりである。

(文・曽我美なつめ)