【MUSIC DRUNKS #6】バンド・Gremlin / 海外からの注目度も高まるエモメロディックサウンドの根底にある音楽たち

曽我美 なつめ

曽我美 なつめ

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2020年3月21日に2nd E.P.『NIBBLES』を発売した徳島発のメロディックバンド、Gremlin。海外バンドの来日ツアーに参加するなど、ボーダーレスに活躍する注目の若手バンドだ。

そんな彼らに、バンドの成り立ちや彼らのサウンドに縁の深い音楽、メンバー各々のルーツなどを、メールでのインタビューを通して詳しく語ってもらった。


徳島発・Gremlinの結成秘話、そして新作『NIBBLES』の出来栄えは?
——まずはGremlinというバンドをより多くの人々に知っていただくため、バンドやこれまでの活動について教えてください。

トム(Vo./Gt.): 元々メンバー3人とも同じ学校出身なんです。ドラムのヨシキから声を掛けられ、その後、彼の同級生のフジワラをベースに迎え、バンドを結成しました。

結成当初はポストロックやマスロックを意識した曲が多く、インスト曲などもありましたね。当時は3人の音楽の趣味もバラバラでしたが、徐々に今のようなエモリバイバルなどを意識した楽曲になっていき、現在のようなサウンドに至っています。

これまでは徳島で主に活動していましたが、最近は中四国でのライブも増えました。海外バンドの来日ツアーに参加させていただくことも増え、その繋がりで全国各地に僕たちの音楽も広がっているようでありがたい限りです。

——そんなGremlinですが、先日新作『NIBBLES』がリリースとなりましたね、おめでとうございます。この新作について、制作の経緯やこだわりのポイントなどを教えてください。

トム: 2019年の春頃にメンバーからのプレッシャーを受け(笑)、一念発起して制作に取り掛かりました。収録されているのは以前からライブでも披露している4曲と新曲2曲。楽曲制作時に私がメンバーから勧められたバンドの影響を多大に受けた結果、良くも悪くもまとまりのないアルバムとして完成しました(笑)。

前作のE.P.から比べると、格段に音が良くなったと思います! ギターの重ねやベースとのバランス、ドラムのコンプ感等々…トリゴロ(徳島県のスタジオ)のエンジニアの方にはかなりわがままも言いましたが、おかげ様で狙いに限りなく近いサウンドになりました。

楽曲的には、メロディックとかエモリバイバルと言われるものなのかな? 日頃の仕事や生活に対する不満を歌った曲や、全く逆の「エンドレスパーティー!」って歌う曲など、かなりテイストの違うものが詰め込まれてます。個人的に暗い曲を作るのが苦手なので、全体的にキラキラした感じになってるかなと。ぜひお酒のお供、おつまみ(NIBBLES)として楽しんでいただければ嬉しいです!

全国、海外へと広がりを見せ始めたGremlinのサウンドルーツとは?

左から フジワラ(Ba.)、ヨシキ(Dr.)、トム(Vo./Gt.)

——ありがとうございます。それではここからは話題を少し変えまして、Gremlinというバンドの音楽的ルーツに迫りたいと思います。まずバンド全体としての音楽ルーツを教えていただけますか?

トム: 初期は、toeやte’などのインストバンドのような音楽がしたかった頃もありました。また曲の歌詞を作るのが苦手だったりsasquatchの影響を受けたりして、歌詞に意味のない英語っぽく聴こえる曲とかも作っていました。

曲作りの転機になったのは、Tiny Moving Parts、Algernon Cadwallader、snowing、The Ground Is Lavaなどの海外エモバンドを聴くようになったことですね。ちょっとテクニカルでキラキラしたギター、ベースとドラムの疾走感、あとはシンガロング!みたいなことがやりたい、と今のようなスタイルになりました。邦楽だと外せないのはthe band apart。メンバー全員各パートを口ずさんでセッションを始めるほど大好きです。

——メンバーの皆さんはそれぞれどのような音楽がルーツとなっているのでしょうか?

トム: 僕は中学生の頃、自分の部屋にテレビがなかったので、ラジオをずっと聴いていました。その頃から音楽に興味を持ち始め、最初にハマったのはまさかのHIP HOP。SOUL’d OUT、RIP SLYME、nobodyknows+などが好きでした。今でもたまに無性にHIP HOPが聴きたくなる発作が出ます(笑)。

その後、ニコニコ動画で見たKURIKINTON FOXに憧れて、中3の時にギターを買ってもらったものの速弾きは早々に挫折(笑)。高校の頃はASIAN KUNG-FU GENERATIONやELLEGARDENのコピーバンドをしながらも、the band apart、unchain、he、sasquatchなどオシャレ感のあるバンドにハマってました。

その後Gremlinを始めた頃から海外エモを聴き始めるようになりました。Algernon Cadwalldarに始まりThe Ground Is Lava、snowing、Somos、You Blew It!、Tiny Moving Parts…挙げ出すとキリがないですね。

フジワラ(Ba.): 僕は母がファンだった影響で、幼い頃から今でもB’zを聴いています。僕の根っこです。

小学校・中学校と吹奏楽でチューバだった影響か低音が好きで、中2の時に弾いてみた動画やVictor Wooten、Marcus Millerを見てカッケー!ってなり、ベースを買ってもらいました。15~17歳の頃はずっとマキシマム ザ ホルモンやSystem of a Downを聴いていて、18歳の時にthe band apartの『katana』のライブ映像を観て虜になりましたね。あの気持ちええフレーズを楽しそうに弾く姿が強烈で、僕は間違いなく原さんに一番影響を受けてます。

エモを聴き始めたのはバンドを組んでから。当初は「なにこれ?」って感じだったのですが、The Ground Is Lavaの『Bottle Rockets』やTiny Moving Partsの『Celebrate』なんかを聴いて広がっていった感じですね。

ヨシキ(Dr.): 僕は今でこそ海外エモの要素が大部分を占めてますが、Gremlin初期はtangled hair、TTNG、colour、delta sleepなどのUKマスロックを主に聴いてました。でも自分のドラムでは繊細なフレーズより、大粒で真っ直ぐなフレーズをよく使います。海外メロディックパンク、RVIVRとかIRON CHICの影響かも。あとはHR/HMが好きな時期もあり、AC/DCやslipknotばかり聴いてた時やThe hellacopters、Marvelous Darlingsなどのガレージポップ、パワーポップにハマってた時もありました。

いわゆるエモリバイバルを聴くようになったのはalgernon cadwalladerやsnowingの影響かな。特にテクニカルさや力強いドラム、メロディ感的にもTiny Moving Partsがドツボでしたね。日本のバンドだとmalegoat、Folio、pear of the west、TURNCOAT、minority blues bandなどはめちゃくちゃ聴きました。地元徳島で開催した自主企画に、malegoatが出てくれた時は大感動でしたね。

海外エモからゲーム音楽、邦楽ポップスまで…幅広い彼らのおすすめ音楽とは
——そんな皆さんですが、最近よく聴いている音楽やおすすめのバンドはありますか?

トム: ここ最近ハマっているのはSpraynardですね。シンプルな進行とシンガロング必至な歌メロでかっこいいです。

新たな発見だとOrigami Angelかな。音源のジャケットから、日本のゲーム好きなナード感が感じられて良いです。ギターとドラムの2ピースバンドなんですが、テクニカルなこともやってるし、ガチャガチャ感が僕の好みドンズバですね。

ギタリストではMateus Asatoがカッコいいな。ネオソウルギターっていうか、オシャレなバッキングから歌心あるフレーズも弾けて、こんなの弾けたらモテるやろなって嫉妬しながら聴いてます(笑)。

フジワラ: 僕はYouTubeやSpotifyのランダム再生でビビッときた音楽を聴いてる感じです。CSTVT、Merchant Ships、Camping in Alaska、Moose Blood、Dikembe、Gulferなんかが好みですね。

バンド以外だとゲームのサントラをよく聴いてるかな。そのゲームをやってた時の場面や感情が一瞬で蘇ってきてワクワクします。お気に入りは『バンジョーとカズーイの大冒険』シリーズ。Grantkrkhope氏のBandcampで無料公開されてるので、プレイされていた方もそうじゃない方も是非。

ヨシキ: 最近はCovetをよく聴きますね。あとはslingshot dakota、SOMOS、Pet symmetry、Everyone Everywhere、Spraynard、Sadisfied、I Love Your Lifestyle、1994!なんかも聴いてます。運転中の車内では日本語の曲を聴くことが多くて、最近はLOSTAGEやBachoかな。

あと実はEvery Little ThingやGARNET CROWとか、女性アーティストの邦楽ポップスも結構好きで車でよく流してます。アニメの『名探偵コナン』や『犬夜叉』が好きなので、その影響で倉木麻衣やDo As Infinityも好きですよ。

——非常に幅広い音楽のお話をありがとうございます、かなり興味深かったです! それでは最後に、バンドとしての今後の抱負を聞かせてください。

トム: まずはやっぱり地元が好きなので、徳島にはGremlinがいるから良いよね、徳島にツアー行きたいよねって言われるようなバンドになりたいですね。今は新型コロナウイルスの影響で全国の、そして徳島のライブハウスも大変な状況になってます。ライブハウスがないと、僕たちは大きな音を出してみんなで楽しむことができないので、守るとか大それたことは言えませんが、何か力になりたいとは思いますね。

その上で関西圏でのライブも増やしたいし、まだ行ったことのない東京にも行きたいし、最終的には海外ツアーができたら最高だよねって考えてます。でもなんやかんや一番は、おっさんになっても3人でバンドやりたいなってことかもしれません(笑)。

youtube動画

(取材/文・曽我美なつめ)


5 PRECIOUS SONGS

最初は聴き辛いなと感じてたけど、いつの間にかドハマりしてました。このバンドを発見してなかったらGremlinは全然違うバンドになっていたかも。(トム/2011年)

やっぱりこういうガチャガチャしたギターが好きですね。YouTubeにも映像がある来日ライブで見た曲後半の合唱パートにはマジで鳥肌立ちました。(トム/2016年)

この曲はツアー道中の車内で流れたらメンバー全員で大合唱するくらい好き。Have Mercyとのスプリット7inch収録のアコースティックver.も最高です。(ヨシキ/2014年)

曲後半のアルペジオやタッピング、ドラムのバスドラムのゴリ押しやAメロのタム回しのフレーズが最高。この曲が収録されているアルバムもいいですね。(ヨシキ/2016年)

頭から疾走感のあるドラムとゴリっとしたベース、転がり抜けるようなギターのタッピングで一発KOです。生で見てビール飲みたいっすね。(フジワラ/2013年)


PROFILE

Gremlin(グレムリン

四国は徳島を拠点に活動している3ピースバンド。Tiny Moving Parts、Algernon Cadwallader、snowing、The Ground Is Lava、the band apartなどのメロディック、エモリバイバルから大きな影響を受けている。バンドの音楽ジャンルとして縛りは設けていない為、楽曲もテイストが様々だがそれもバンドの強みの1つ。2020年3月に2nd E.P.『NIBBLES』をリリースし、その人気をじわじわと全国へ拡大させ始めている。公式Twitter @Gremlin_tksm

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