“渋谷系”という言葉を聞いて、ヂラフマガジン読者の皆さんがイメージするのはどの曲だろう？
ピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギター、カヒミ・カリィ等が世に送り出した数々の名曲の中から、私が真っ先に思い浮かべるのは、Love Tambourinesの「Midnight Parade」（1994年）。印象的なギターリフと強烈なEllie（エリ）のヴォーカルが、脳内で鳴り響く。
昨年、Ellieが発表した「Midnight Parade」の新録版が話題を呼んでいる。11月3日に発売された7インチシングル（アナログレコード）と、12月15日にCDでリリースされた9曲入りのニューアルバム『NEO BITCHIZM』に、「Midnight Parade 2020」が収録された。
cover photo by Ko Igarashi
『NEO BITCHIZM』（CD）
Ellie
元Love TambourinesのEllieが2年半ぶりにリリースしたニューアルバム『NEO BITCHIZM』。前作『STAY GOLD』（2018年）がミニアルバム扱いだったので、フルアルバムとしては2007年にeli名義で発表された『rita』以来ということになる。
プロデュースを担当したのは、FLYING KIDSのキーボーディストとしても知られるSWING-O（スウィンゴ）。多くの著名アーティストと共演を重ねる鍵盤奏者／プロデューサーのSWING-Oは、近年のEllieのライブには欠かせない存在で、「Midnight Parade 2020」を除く『NEO BITCHIZM』の収録曲を全てEllieと共作している。
本作には「マジ無理 NOWAY」や「Shame On You」等、アルバム制作前からライブで披露されていた楽曲も多く、それらの完成形を聴くことができて、ファンとしては嬉しい限り。若者達の一気コールからヒントを得たという「呑んで呑んで呑んで」が、まさかアフロビートになるとは（笑）。
今のところ、『NEO BITCHIZM』はCDと配信のみ（アナログ化を熱望！）。レコードマニアの皆様は、先行カットされた7インチを是非。
『NEO BITCHIZM』
1. マジ無理 NOWAY
2. 愛情分別
3. 海馬レス問題
4. Iroha
5. Midnight Parade 2020
6. Hot Flash
7. RBF
8. Shame On You
9. 呑んで呑んで呑んで
Support Musicians
SUNAPANNG (bass)
伊原 “anikki” 広志 (guitar)
久保正彦 (drums)
米元美彦 (drums, percussion)
栗原健 (saxophone)
SWING-O (all keyboards, programming)
発売：2020年12月15日
定価：2,200円＋税
品番：HRBR-019
レーベル：Happiness Records
フォーマット：CD
『マジ無理 NOWAY / Midnight Parade 2020』（7inch）
Ellie
アナログレコードプレスメーカーの東洋化成が主催する『レコードの日』というイベントの対象商品として発売された7インチシングル。完全限定プレスなのでお早めに。
『マジ無理 NOWAY / Midnight Parade 2020』
side-A : マジ無理 NOWAY
side-B : Midnight Parade 2020
発売：2020年11月3日
定価：1,800円＋税
品番：URDC-012
レーベル：Urban Discos
フォーマット：7inch
NEO BITCHIZM Petit Party ～トークライブ時々音楽
2020年12月24日、渋谷の「Jazz bar 琥珀 -amber-」（以下、琥珀）で、『NEO BITCHIZM Petit Party ～トークライブ時々音楽』が開催された。出演者はEllieとSWING-O（＋ゲスト）。
琥珀は過去に二度、Ellie主催の『唄声ラウンジゑ莉』が行われている店で、『NEO BITCHIZM』のCDブックレット用の写真も琥珀で撮影された。
2020年4月にも琥珀の1周年記念イベントとして『唄声ラウンジゑ莉』の開催が予定されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により延期に追い込まれている。
photo by Ko Igarashi
琥珀に入場してすぐにEllieの姿を発見したので挨拶すると、とびっきりの笑顔で迎えてくれた。Ellieと会うのは1年ぶり。前年までは『唄声ラウンジゑ莉』や『唄声スナックゑ莉』等のイベントで、毎月のように顔を合わせていたというのに。
久々に会った常連客や関係者達とグラスを合わせ、近況報告。Ellieのイベントは、アットホームで居心地がよい。
出番前にもかかわらず、Ellieが店内にいる全ての人々に声をかけているのを見て、懐かしさを覚えた。Ellieはいつでもファンに優しい。
開演前の和やかムードのまま、第一部がスタート。「マジ無理 NOWAY」のミュージックビデオを制作した田口新作監督をゲストに迎え、撮影時のエピソードと共に、ディレクターズカット版として2021年2月公開予定のメイキング動画が上映された。
続いてのゲストは、打楽器奏者の米元美彦。『NEO BITCHIZM』制作秘話や、他愛もない話を嬉々として語る3人の様子から、彼等にとって充実したレコーディングであったことがうかがえた。
photo by Ko Igarashi
第二部は Ellie & SWING-Oのライブ。SNSに投稿されたイベントの告知文には「ライブはちょっとだけ」と記されていたが、結果的にはSWING-Oのソロを含めた7曲が披露された。
『NEO BITCHIZM』収録曲や、Love Tambourinesのデビュー曲「Cherish Our Love」を歌うEllieの一挙一動にくぎ付け。再びEllieの歌を聴ける日が来ることを、一日千秋の思いで待ちわびていた。
終盤には米元を加え、「愛情分別」からの「呑んで呑んで呑んで」。コロナ禍であることを忘れてしまうくらいパワフルなパーティーチューンで大団円を迎えた。
photo by Hiroaki Gobe
『NEO BITCHIZM』 Petit Party ～トークライブ時々音楽
2020年12月24日 @渋谷 Jazz bar 琥珀 -amber-
1. Imaginary Island (SWING-O solo)
2. マジ無理 NOWAY
3. Cherish Our Love
4. Midnight Parade 2020
5. RBF
6. 愛情分別 (feat. 米元美彦)
7. 呑んで呑んで呑んで (feat. 米元美彦)
Ellie (vocal)
SWING-O (keyboard, rhodes)
guest：
米元美彦 (percussion)
MESSAGE
コロナ禍で不安な毎日ですが、音楽くらいは愚痴もルサンチマンもひっくるめてユーモアで「shiawase」になれば良いなという思いで作りました！ 聴いてね♡
Ellie
photo by Ko Igarashi
「マジ無理 NOWAY」
official music video
official site
（文・五辺宏明）
