感情がそのまま溢れ出たような純粋で真っ直ぐな歌詞、その歌詞をより情熱的かつ感傷的に装飾するサウンド。そんな楽曲を全国各地のライブハウスやフェスでかき鳴らしているスリーピースロックバンド、バウンダリー。
2013年に大阪で結成されたバウンダリーは、2022年5月にTRUST RECORDSとLD&K RECORDSのWネームレーベルに所属が決定し、結成10周年になる2023年7月に1st Full Album『あしあと』をリリースした。
名古屋のTRUST RECORDSは、ENTHやMaki、カネヨリマサルなどのバンドが所属しているレーベルで、名古屋だけでなく全国にその名が知られているレーベルだ。例に漏れず、名古屋出身の私にもとても馴染みのあるレーベルだったので、この情報を目にしたときは驚きを隠せなかった。
レーベル所属、Full Albumリリースとバンドとして大きく開花し始めているバウンダリーだが、Wネームレーベルに所属してから1年が経過した心境はどうなのだろうか。楽曲や環境の変化から今後の展望まで、バウンダリーのVo./Gt.中道ゆきにお話を聞かせてもらった。
レーベルの存在はバンドにとって大きな支え
「前のレーベルから離れてからしばらく自分達だけで活動していたので、一緒にバンドのことを想ってくれる人がいることは大きな支えですし、やはり大きな存在だなと感じています」
バンド活動を行っていく上で、周りの人々からの支えはとても重要だ。むしろ支えがなければ、長く活動していくのは難しいと言ってもいいだろう。例えば、ライブ1本行うにしても、ライブハウススタッフやブッキングマネージャーなど、多くの人間が関わっている。当たり前だがバンドメンバーだけではライブを行うことはできない。
過去にレーベルに所属していた環境から自分たちだけで活動するようになって、より深くレーベル、つまり自分たちと同じ方向を向いてバンドのことを思ってくれる存在、の大切さを実感したのではないだろうか、と思った。それゆえ、今回のレーベル所属で、そのような感情が確信になったのではないかとも。
「これまで出たくても出られなかったライブに出演させてもらえるチャンスが増え、嬉しい限りです。そこでの新たな出会いが沢山あるので、一つひとつ大事にしています」
「これまで出たくても出られなかったライブに出演させてもらえる」。ライブ出演はバンドが成長するために欠かすことができない。特にバウンダリーのようなライブバンドは尚更だ。レーベル所属によってこのような機会が増えたことでよりバンドの成長に繋がるし、中道ゆきが語っているような「そこでの新たな出会い」がさらなる新たな出会いや活躍の場を呼んでくれるかもしれないからだ。そのため、これまで出られなかったライブに出られるのはバンドの成長には欠かせないのである。
現代はSNSが主流となったが、ロックバンドの居場所はいつの時代もライブハウスなのだ。そのような場所を見つけるのがレーベルなのだろう。
「ロック魂」こそバウンダリーの楽曲に込められたエッセンス
「レーベルに所属したことでの楽曲の変化は、特にありません。ただ、バウンダリーの音楽を聴いてくれる人が少しずつですが増えているのは確かなので、みんながどんな歌を聴きたいかというのは、より考えて作るようになりました」
人間は周りの影響を受けやすい生き物である。それゆえ、環境が変わったことでこれまでと考え方や感じ方が変わる人が多い。しかし、中道ゆきは変化がなかったと語っている。そのような環境に左右されない一本筋の通った信念はどのようなものなのだろうか。
「ロック魂です。私たちの魂込めた音は曲げずに鳴らしていきたいと思っています」
ロック魂、それはバウンダリーが楽曲に込めるエッセンスのようなものだろう、と思った。この語りだけでも彼女らが楽曲に込めた想いの重みを窺い知ることができる。彼女たちは「売れる」ための楽曲ではなく、「想いを届ける」ための楽曲を作っていて、それがリスナーやレーベルに評価され、今の地位を築くまでに至ったのだ。
バウンダリーの込めた真っ直ぐな想いをより感じたのは、楽曲『BABY』だった。
『BABY』
バウンダリー
「生きていく中で特にどうしようもなく落ち込んだ時、へこんでいる時に、寄り添えるような歌になりたいです」
そのような想いから生まれるバウンダリーの楽曲。『BABY』も例に漏れず、落ち込んでいる人やへこんでいる人に寄り添うような楽曲だと思う。描かれているのは自分自身の内面で、自己否定や葛藤などの負の感情である。
歌詞に散りばめられた、〈自分に嫌気が差して〉〈わからないから泣いていたんだ〉などの感情は、誰でも経験がある感情であり、それを赤裸々に描いているからこそ、リスナーが共感しやすく、「寄り添ってくれている」「理解してくれる」と思えるのではないだろうか。
しかし、赤裸々に描かれた感情はエモーショナルなサウンドの上でより情熱的になるのだ。
『BABY』
Live – 2023.1.28 Zepp Osaka Bayside
このような赤裸々でエモーショナルな楽曲がバウンダリーの真骨頂なのだと思う。そして楽曲を支えているのが「ロック魂」なのである。これから先、どれだけ大きなバンドになっても、バウンダリーはロック魂を込めた楽曲を生み出し続けるだろう。
常に過去最高を更新するバウンダリーを要チェック!
「一つひとつのライブで過去最高を更新して、一つひとつの曲に私たちの全力を詰め込んでいくので、どうかこれからのバウンダリーを見ていてほしいです」
バウンダリーは現在も全国各地のライブハウスやフェスで音楽を鳴らし続けており、どのライブでも同じものはない。なぜなら、彼女らは常に前を向いて歩き続けているからだ。だから、これまでにライブを見た人もぜひもう一度ライブを見に行ってほしい。レーベル所属やFull Albumのリリースなどを経て、これまでにはない熱量を放っている彼女たちのライブを。
これから先、何かしらのきっかけでバウンダリーを知る人もいると思う。そのような人たちのために、中道ゆきに最初に聴いてほしい楽曲を尋ねてみた。最後にその紹介をして筆を置こうと思う。
「『足跡』です。私たちのこれまでを詰め込んだような曲で、振り返って見えるのがどんなに小さな足跡でも胸を張って前を向きたいし、聴いてくれる人全員でレッドカーペット歩こうぜ!という想いで作りましたので、ぜひ聴いてほしいです」
『足跡』
バウンダリー
(文・竹内将真)
PROFILE
バウンダリー
Vo.Gt.中道ゆき、Ba.Cho.アオキ、Dr.Cho.さくらからなる、大阪の3人組ロックバンド。ストレートな本格ロックサウンドと力強くも透明感のある歌声を武器に、精力的にライブを展開し勢いを加速させている。2023年7月12日に1st Full Album『あしあと』リリース。それを引っ提げ全国ツアーも開催!
メンバー
中道ゆき(Vocal / Guitar)
アオキ(Bass / Chorus)
さくら(Drums / Chorus)
活動開始
2013年
主な活動拠点
大阪府
HP / SNS
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