古今東西、人間という生き物は所謂ギャップに弱い。可愛く見えて強い女の子だとか、クールに見えて実はちょっと抜けている人だとか。
音楽でもそれは同じで、垢抜けない人が奏でるスタイリッシュなサウンドだとか、明るい曲調の中で歌われる悲しい歌詞だとか。音楽が好きであればあるほどそういうものに思わず食指が動いてしまうのが、悲しきかな音楽フリークの運命というやつである。
哀愁の漂うギターサウンド、その中から響いてくるであろうと予想した声質を、いい意味で裏切るぴんと張った瑞々しさのある声色。そんなギャップを孕んだJessicaがこうして奏でるサウンドもまた、一定数の音楽好きにとっては必ずどこかアンテナに引っかかるものがあるのではないだろうか。
2021年3月、バンド初となるアルバム発売&ツアー開催
愛媛県松山市を拠点として、主に四国で活躍をしているJessica(ジェシカ)。
りょう(Vo./Gt.)、えいと(Gt.)、かつ(Ba.)、おのちゃん(Dr.)の4人からなるバンドは2019年に結成され、現在に至るまで地道ながらも確かな足取りで歩みを進めている。
往年のロックンロールから若さや衝動をバックグラウンドとするパンク精神あふれたバンドサウンドを背景に、自分たちだけの音楽を紡ぎだす彼ら。
2021年3月、そんな彼らによる初の1st Mini Album 『Good Time』のリリースが決定した。その発売を記念して同月3月の広島を皮切りに、高知、島根、岡山、山口、松山の中四国計6か所を巡るバンド初のツアーも決定しているそう。
その際たる魅力は、耳に強く残るサウンドと歌声のコントラスト
冒頭に述べた通り、彼らのサウンドの大きな魅力はそのギャップ、つまり意外性である。
バンドサウンドを一聴頂ければ分かると思うのだけれど、彼らの作る音楽はよく言えばいぶし銀。歯に衣着せぬ物言いをすれば、いわゆるおっさんホイホイな音の部類に入るだろう。
哀愁漂う響きや「泣き」のフレーズを織り込んだギター、そしてこぶし回しの効いた歌メロ。ともすればいわゆる青春パンクと呼ばれるジャンルに近しい物もあるが、それにしたってやってることがちょっとばかし渋いんじゃないのか、と思わずにやりとしてしまったリスナーも多いんじゃないだろうか。
しかしその中でもやはり強烈な印象として残るのは、ボーカル・りょうの歌声だ。
時に節の効いたメロディを軽やかに回し、時に糸のように張り詰めた伸びやかな声を響かせ。その声色は「若さ」の一言で捨て置くには勿体ないと思わせるほどの、強固な芯を持った瑞々しい声色としてリスナーの耳にくっきりとした音像を残していく。
ややもすればじとりとした楽器の音の中で、鮮やかに浮かび上がってくる歌声。そのコントラストこそがバンドのギャップであり、彼らの楽曲が大勢の心の中に傷跡を残していく、大きな決め手ともなり得るように思う。
バンド初のアルバム音源、そして県外巡業ツアー。この一連のバンドマンの洗礼たる出来事の中で、彼らが何を掴み取り、どう躍進を遂げるのか。コロナ禍の混乱も冷めやらぬ中ではあるものの、この2021年という年は彼らにとって非常に楽しみな1年ともなるのかもしれない。
MESSAGE
今回発売する『Good Time』はJessica初のミニアルバムです。僕たちが2年間かけて紡いできた音楽を一つの形で出すことができました。
音源で聴くのにももちろん満足してもらえる作品ですが、ライブにも足を運んでもらうとより僕たちの音楽を楽しめるものとなっております。
ぜひ、Jessicaの音楽で素敵な時間を過ごしてください。
かつ(Jessica)
(文・曽我美なつめ)
PROFILE
Jessica(ジェシカ)
往年のロックンロールに影響を受けるも、自らの青春のあり方を曲にのせる愛媛の新星。2019年結成、松山を中心に精力的にライブを行い、1年目にはセックスマシーン!!、突然少年や古墳シスターズらと対バンを果たす。2020年2月には1st Single 『変えろ』を発売し松山サロンキティで自主企画『叫鳴-序ー』を開催した。結成2年目の2020年、十分なライブ活動ができない中でも積極的に作曲活動を続け、2021年ついに1st Mini Album 『Good Time』が完成。3/6(土)からは広島を皮切りに高知・島根・岡山・山口そしてツアーファイナルの松山の合計6か所を巡る”Good Time” Release Tour 『素敵な時間旅行』がスタートする。
メンバー
L→R
えいと(Guitar)
りょう(Vocal / Guitar)
かつ(Bass)
おのちゃん(Drums)
活動開始
2019年
主な活動拠点
四国、愛媛県
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