
3月23日、孤独を打ち消すロックバンド・Messy last girl(メッシーラストガール)が、1st Mini Album『本当を知らないまま』リリースイベント『孤独とともに−DAY2』を堺Tick-Tuckにて開催した。
彼らは2024年春の始動以降、精力的にライブを重ね、昨年はMINAMI WHEELへの出演を懸けたオーディションを勝ち抜いて同サーキットに出演。東京や名古屋の大型サーキット・でらロックでもライブをするなど活躍を見せている。
2月にシロモトユウキ(Ba/Cho)、シゲ(Gt/Cho)の脱退を発表し、本イベントがこの3人による大阪でのラストライブとなった。4月以降は正規メンバーが藤原司(Vo/Gt)のみとなるが、全力でバンド活動を続けることを約束。その証明となった一夜を、信頼する仲間である同じ関西発ロックバンド4組のレポと共にお伝えする。
竹姫(かぐやひめ)
変化の季節に、変わらない歌を
1曲目『さいかいのうた』から最後まで、一言一句一音に気を抜かずエモーショナルに歌を届けていく。バンドが煽ったり、何かを要求したりしなくても、フロアはその姿にただ心を突き動かされたのだろう、誰もが思わず体を揺らして聴いているように見えた。
「春は環境が変わる。Messyもそう。皆もそう。ほんまにやっていけるのかなって。そんな4月に思い出せるのが音楽だったら! 今日だったら! やった意味があると思うんです!」と叫ぶ南かいま(Vo/Gt)。
過去の、そしてこれから生じるであろう喪失感さえも埋めるように、“今”に全てを込めて鳴らした『さよならの先にまた』は、フロアにいる全員の心の寄り処になるような温かさで満ちていた。彼らのおかげで、その晩はきっと多くの人が幸せな夢を見られただろう。
【Setlist】
1. さいかいのうた
2. 変わらないために
3. 16
4. 秋桜
5. さよならの先にまた
6. よるをかぞえて
KAKUSEI HYPER
忘れられない最高傑作な時間を盟友とあなたに
キラキラとした疾走感のある曲も、ドラマチックなバラードも、〈アニメのようにはいかないな〉と現実と戦う勇ましい曲も、Nishiki Haruto(Vo/Gt)の高い歌唱力と繊細な心の機微を上手く表現するバンドサウンドによって、その豊かな心象風景をフロアへ十二分に伝えたKAKUSEI HYPER。
Messyの楽曲『孤独と君』のカバーはもちろん、「沢山の思い出のあるこの場所で、Messyのバックドロップを背負って歌えるのが嬉しい」という言葉に続けてHarutoが言葉を詰まらせながら伝えた「やっぱりすごく寂しい」からも、この2組が築いてきた歴史が感じられた。
そんな盟友に「Messy last girlの花がいつまでも咲いていますように」と贈った歌は『ヒナギク』。花言葉は「希望」。まだまだこの2組の“孤独を打ち消す”物語は続く。
【Setlist】
1. 宇宙船
2. パンドラの箱
3. 孤独と君(Cover)
4. iye
5. 最高傑作
6. 声
7. ヒナギク
Amazing Barrier Reef
しんみりなんかさせないブチ上げライブ
「今日からが始まり!」「心をぶつけてこいや!」
骨太すぎる演奏だけでなく、加納誉亀(Vo)の時に強く胸を叩きながら歌い叫ぶ様や所狭しと動くステージングも相まって、一気に熱量が上がりまくる。「またここで会おう!」と何度も叫んでいたが、出会ってしまったが最後、もうすでに彼らと1つになった気がした。
今日Messyに呼ばれた他の出演者は全組堺のバンドだが、彼らは京都。今までもこうやって出会いを大切にしながら、いろんな場所を自分達のホームに、誰かの居場所に変えてきたのだろう。
Messyとは、かつてKYOTO MUSEの推薦を共に受けて、他のライブハウス推薦のバンドと一緒にスプリットツアーを回って切磋琢磨したことのある関係性。彼らにはこんな頼もしい先輩がついている。
【Setlist】
1. 地獄でまた会おう
2. Fern
3. オモイノハナシ
4. 翡翠
5. ユアワン
6. 今宵僕らは夢に咲く
7. 帳
タイガーリー
人生懸けたライブで、可愛い後輩にバトンを渡す
「“孤独とともに生きる”、俺の得意分野っすわ!」というあきほ(Vo/Gt)の言葉通り、ステージ上の3人も眠れない夜を何度も乗り越えて、それでもバンドという道を選んで強くなったのだろう。
強烈かつ怒涛の演奏で魅せる彼らは、Messyとジャンルは多少違えど、今回の企画とシンパシーのあるバンドだと分かった。『秘密』や『君染歌』が、ただパワフルなだけでなく丁寧に心に届いてきた事実が、特にそれを証明していたと思う。
メンバー脱退を経験した先輩として、バンドを続けるしんどさも真っ直ぐに伝えたあきほ。もう後戻りすらできないと言っていた。それでも「仲間や目の前にいるあんたら。宝物がしんどい時は絶対に救う! 頼ってくれ!」と言えるその強さ。藤原だけでなく、自分の置かれた世界で戦う全員に響いたに違いない。
【Setlist】
1. 一等星
2. 君がいないと僕はさ
3. 劣等生
4. 秘密
5. 君染歌
6. 可惜夜
7. 星の王子様
Messy last girl
孤独も涙も拳に変えていく。これからも、ここ堺で
そして主催の彼らの出番。ステージ裏からフロア後方でも聞こえるほどの気合を入れて登場し、『Honestly』からスタート。「最初から飛ばしていくよ!」という藤原の言葉通り、シゲもお立ち台に何度も登ってギターソロを響かせる。そんなシゲを藤原は「俺のギターヒーロー!」と送り出していた。
「あなたと一緒に! 俺は未来を掴んでいくんだよ!」と早々に熱い決意の乗った爆音を届けた彼らは、2曲目『ノンタイトル』へ。ステージ上の熱量は変わらないが、シゲのギターはよりテクニカルになり、シロモトとアオヤママヒロ(Sup.Dr)のリズム隊もただタフなだけでなく、心の琴線に繊細に触れてくる。そのため曲の押し引きやメリハリもしっかり感じ取れ、隙のないバンドサウンドが構築されていた。だからこそ余計に、拳を上げる時は強く勢いよく上げたくなるんだな。
その勢いのまま未発表の新曲『桜』も投下。再会を祈るこの曲は、サウンドに春らしい温かみを携えていた。そして〈大人になっていく〉ということを前向きに考えられる曲でもあった。

MCに入り、藤原は「堺Tick-Tuckは俺が一番変われた場所で、一番悔しい思いをした場所で、一番俺のことを助けてくれた箱で、一番俺ら3人のことをまとめてくれた。そんな場所に多くの人が集まってくれて嬉しいです」と感謝する。「今日で(現体制では)大阪ラストやからとか、そんなん無しにしようって(シゲとシロモトから)言ってくれたし、あなたの孤独に寄り添い続けて、孤独を打ち消しに行くから」と伝え『Believer』へ。
目の前の光景を抱きしめるようにゆっくり歌い出し、より一層愛が深まっていく堺Tick-Tuck。そこからサウンドに勢いが付いて盛り上がると、藤原は「最高の顔してるよ、みんな! 俺助かってるよ、それで! だからあなたを助けるよ!」と改めて約束を重ねた。
続く『Brother』は、感動的な空気を良い意味で変える闘争心剥き出しのナンバー。先輩にあんな泥臭い姿見せられたら、こっちもやってやるよ!という負けん気の強さが見えた時間だった。そして「人と人との関係って、言葉にしないと伝わらないことばかりだから。思いが伝えられるうちに伝えないと」という気持ちを込めた新曲『ハッピーエンド』を披露。力強い中でも安定して進むベースラインが、時は戻らないという無常さを感じさせる曲。それゆえに、曲の途中で「伝えられるうちに伝えないとあかんから…俺、あなたのこと愛してます!」とフロアに伝える藤原の姿が一層引き立った。

そのまま繋いで新キラーチューン『透明』を演奏。〈いつか皆居なくなっていく それを認めることがまだできないんだよ〉と歌い叫ぶ姿を見て、藤原がどんな人生を送ってきたのか気になったし、それでも歌い続ける彼は将来どんなバンドマンになっていくのか期待しかなかった。
「もう1曲で終わっちゃうよ! あなたと助け合えた夜も! でもこの曲は次のスタートになるような曲」と、最後は『それでも全てが終わる頃に』を披露。先ほどまでと変わらず聴く者の胸に真っ直ぐと届ける4人。前方にいるお客さんの状況は、「おい、涙拭け! 拳上げろ!」という藤原の言葉で分かった。だからこそ、その直後に上がった拳はMessyと一緒に硬い壁を壊しているようにしか見えなかった。「進むことは止められへん! 俺と一緒に探してみてよ! ありがとう!」と、彼らは最後まで共に進む覚悟を見せた。

すぐに起こったアンコール。まずはシロモトとシゲがフロアに向けて感謝を伝える。「これからも自分のことのようにMessyを応援する」とも言った。藤原は「最高の景色をありがとう! 脱退企画じゃなくて、初めての自主企画ができて本当に嬉しい」と伝え、最後の曲『孤独と君』を始めた。
この静寂と情熱のコントラストギターロックで、彼らはいろんな景色を見せてくれた。この日も、フロアの涙と共に進もうとしている未来の景色を鮮明に見せてくれた。最後はギターを掻き鳴らしながら「俺たちが“あなたの孤独を打ち消す”4ピースロックバンド! Messy last girlでした! また会おう!」でお別れ。区切りの寂しさよりも、Messy last girlの新たな歩みが始まった興奮が会場を包んでいた。
そして忘れてはいけないことがある。本編の最後に「俺たちが From 堺Tick-Tuck! Messy last girlでした!」と叫んだこと。新たに背負った覚悟のこと。
じゃあチクタクでソールドワンマンしないといけないね。
その日が決まったらまた教えてくれ。
【Setlist】
1. Honestly
2. ノンタイトル
3. 桜
4. Believer
5. Brother
6. ハッピーエンド
7. 透明
8. それでも全てが終わる頃に
En. 孤独と君

(取材/文・遊津場)
(撮影・D.)X / Instagram




