あなたの気分に寄り添う1曲は? ヂラフライター3人が選ぶ、シーンごとのおすすめソング

佐合 良太

佐合 良太

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音楽が生活の一部になっている人は、それぞれのシチュエーションごとにお気に入りの1曲があると思います。朝起きて元気を出したいとき、寝る前にリラックスしたいときなど、気分によって聴きたい曲は変わってきますよね。

今回は3人のヂラフライターが、生活の中の4シーンにマッチするおすすめ曲をご紹介。三者三様の音楽観をお楽しみいただきつつ、気に入った曲があれば皆さんの生活にもぜひ取り入れてみてください。


朝、気分を上げたいときに聴きたい曲

『青春狂走曲』 サニーデイ・サービス

明るい曲調だけれど決して「元気」を無理強いしない、ゆるりとした空気をまとった軽やかな曲。この曲を聴きながら濃いめのコーヒーをいれて朝の支度をしていると、今日もほどほどに頑張れそうな気持ちになってくる。リリースは1995年だが、今聴いてもまったく古臭くなく魅力に溢れている楽曲だ。

『ファビュラス』 ビッケブランカ

思わず踊り出したくなるような、1日の始まりを華やかに彩ってくれるアップテンポな曲。これを聴くと鬱々としがちな通勤路も足どりが軽くなる。『ファビュラス』のMVではビッケブランカ本人が出演し、サビで踊っている。その軽やかな身のこなしとダンスは一見の価値あり。


『Ring Tone』 EARNIE FROGs

2010年に結成し、名古屋を中心に活動する4人組の男女混声ツインボーカルバンド・EARNIE FROGs(アーニーフロッグス)の『Ring Tone』。キャッチーなメロディと絡み合うように共鳴するコーラスワークで、歌詞に込めた想いを聴くものの心にそっと届けてくれる。イナズマロックフェスをはじめとするさまざまなフェスへの出演やワンマンライブの開催、音源リリース、ラジオパーソナリティの担当など、精力的な活動で露出を増やしている、今注目のバンドだ。

『透明の花』 ベルマインツ

2012年に結成し、神戸・大阪を中心に活動するスリーピースバンド・ベルマインツの『透明の花』。往年のポップスロックを彷彿とさせるノスタルジックな雰囲気に透明感のあるボーカルが溶け合った、懐かしくも新しい雰囲気をまとった楽曲だ。各種企画ライブやアコースティックワンマンの開催と並行して他のバンドのサポートを務めるなど、バンドというひとつの枠にとらわれない柔軟な活動を続けている。


『Squib Cakes』 タワー・オブ・パワー

アルバム『Back to Oakland』に収録されている曲。疾走感のあるファンクソングで、目覚めにぴったり。サックス、トランペット、ベース、ギター、ドラムなどのアンサンブルから生み出される半端ないグルーブに圧倒される。特にデヴィッド・ガリバルディのドラムはタイトでキレがあり、朝起きたばかりの寝ぼけている脳みそを目覚めさせてくれる。

『Rock ‘n’ Roll Star』 オアシス

アルバム『Definitely Maybe』に収録されている曲。ギターのゆったりしたチョーキングから始まる、爽やかなロックソング。オアシスのデビューアルバムに収録されている曲なので、若々しくポジティブなエネルギーに溢れており、1日の始まりに聴く曲としておすすめ。労働者階級から這い上がりスターになりたいという歌詞にリンクした、熱いビートの曲だ。

落ち込んでいるときに聴きたい曲

『ハッピーエンド』 GOOD ON THE REEL

これから起こることすべてが不安で、未来を想像するとどうしてもネガティブなことばかり考えてしまう…。そんなときにおすすめ。この先がどうなるかわからないけれど、立ち止まっているわけにはいかない。歩いていったらその先にハッピーエンドが待っているかもしれない。そういった漠然とした不安の中にも微かに見える希望を感じる1曲だ。

『目眩』 ヒトリエ

生きている限り傷つくことは避けられないし、つらい思いや悲しい思いは絶対にする。でもその反対に幸せなこと、楽しいこと、喜びもあ必ずある。今まで経験した幸も不幸もどちらも消えることはなく、今の自分と背中合わせになっている。この曲を聴くと、そういったすべてのことが自分という人間を形作っているものなのだと感じる。無駄なことなんてひとつもなかったし、これからもひとつもないのだと思える。


『私を地獄に連れてって』 スキッツォイドマン

「地獄」から地上にやってきた男女混成スリーピースバンド・スキッツォイドマンの『私を地獄に連れてって』。曲中で雰囲気がガラッと変わる、予測不可能な楽曲である。

見た目の奇抜さに騙されることなかれ。歌唱力と演奏技術、表現力、楽曲のクオリティは非常に高い。オーディエンスを巻き込んで盛り上げるライブパフォーマンスは一度見たら忘れることができないほどの強烈なインパクトがある。ドイツのフェスへの出演や、大阪と東京でワンマンライブをソールドアウトさせるなど、その実力は折り紙つきであり、今後の活動からも目が離なせない。

『myサイケ』 リムキャット

2014年に結成し、東京を中心に活動するスリーピースツインボーカルバンド・リムキャットの『myサイケ』。迫るようなギターの裏打ちとエレクトロサウンドに乗る絶妙なコーラスワークが冴え渡る楽曲だ。自身を「エレクトロニカギターロックバンド」と称するように、電子音が絡み合う重厚なロックは他とは一線を画す個性を発揮している。


『時代』 中島みゆき

アルバム『私の声が聞こえますか』に収録されている、中島みゆきを代表する曲。「今はつらいと思っていることでも、それはいつかは過去になり笑って過ごせるときが来る」といった歌詞のメッセージに多くの人が励まされ、前向きに生きるきっかけをくれたような気持ちになったことだろう。つらいことがあってやる気が出ないとき、進むべき道がわからないときはぜひこの曲を。「なるようになるさ」といい意味で楽観的になれて、気持ちが楽になる。

『My Way』 フランク・シナトラ

フランク・シナトラのポピュラーソングである『My Way』。世界中でカバーされている名曲だ。死ぬ直前に、自分の人生で起こった困難に対してとった行動に後悔はないと語る内容の歌で、力強く勇気を与えてくれる。人生でつらいことが起き、すべてを投げ出したくなったときにこの曲を聴くと、「その選択で後悔はないか?」とシナトラに問われているような気がして、自然と前向きな気持ちになれる。

リラックスしたいときに聴きたい曲

『SWIM IN』 AAAMYYY

歌声とトラックが遠くまで広がっていくような心地よさのある楽曲。音数が少なくミニマルなのに豊潤な印象を受ける。特にコーラスがさざ波のようで美しい。奥行き感のあるサウンドなのでイヤホンで聴くことをお薦めする。

『old crime』 塩入冬湖

『old crime』は、バンド・FINLANDSのボーカルである塩入冬湖のソロ名義のアルバム『惚けて-ほうけて-』に収録されている。FINLANDSでは聴けない曲調で、歌詞はややシリアスだがアコースティックであたたかみのある音と塩入冬湖にしか出せない彼女独特の歌声が沁みる。夜中に毛布にくるまってお酒を飲みながら聴きたい曲。


『暇じゃない』 ズカイ

2013年に結成し、大阪を中心に活動する5人組バンド・ズカイの『暇じゃない』。シティポップとテクノサウンドを融合したような、独特の浮遊感が魅力の楽曲だ。オーディションでの決勝進出や企画ライブの開催、自主制作音源のリリースなど、精力的な活動を続けている。

『春風』 アイビーカラー

2016年に結成し、大阪を中心に活動する4人組バンド・アイビーカラーの『春風』。ノスタルジックな雰囲気のピアノと、少しハスキーなボーカルが心地よく響く楽曲だ。活動当初からライブ会場は超満員、ワンマンを開けばソールドアウトになるなど、その注目度は非常に高い。さまざまなフェスへの出演や全国ツアーの開催だけでなく、公開したMVの再生回数は100万回を超える勢いで伸びている、注目のバンドである。


『家族の風景』 ハナレグミ

アルバム『音タイム』に収録されている曲。家族への愛を歌った、穏やかな気持ちにさせてくれる名曲だ。ゆったりとしたテンポでアコースティックギターの音が響きわたり、心地よい気持ちにさせてくれる。ボーカルの中性的な声もアコースティックギターの音にうまくマッチングし、心に染みわたる。

『Time After Time』 マイルス・デイヴィス

シンディー・ローパーの名曲をマイルス・デイヴィスがカバーした『Time After Time』。この曲の美しいメロディーをマイルス・デイヴィスの極上のトーンで聴くことができ、その世界観に思わず引き込まれてしまう。シンプルな演奏で無駄な音が一切なく、1音1音の美しさが際立っている。その美しい音の内側から繊細さや孤独を感じることができるのもこの曲の魅力。美しいトランペットのトーンで癒やされたい人はぜひ。

夜の街を歩いているときに聴きたい曲

『BROTHER』 OKAMOTO’S

曲の出だしにあわせて思わず歩く速度が上がってしまうような格好いい曲。夜の街に繰り出して颯爽と歩きたいときにおすすめ。この曲は独特でクセがあるのにキャッチーで、ツウにはもちろんだが音楽をあまり聴かない人にもわかる良さがある。聴けば聴くほどはまる曲で、構成の奇抜さに毎回新鮮な気持ちで聴き入ってしまう。

『circus』 showmore

しっとりした大人っぽい曲調のシティポップ。お酒を飲んでほろよいのまま夜の街を歩きたくなってしまう。イントロから美しい完成されたサウンドに、ボーカル・根津まなみの艶と厚みのある低音の歌声がマッチしている。お洒落なだけにとどまらない巧みな技術を感じる曲だ。最初に聴いたとき、これはまさに夜の街を歩くためにある音楽だ!と思った。


『フライングダッチマン』 三角形の時間

「聴こえる絵本」をコンセプトとしたスリーピースバンド・三角形の時間の『フライングダッチマン』。歩み寄るようなベースイントロに重なるように合流する激しいギターとベース、終始怪しげな雰囲気をまとわせたボーカルが印象的な楽曲である。ドラムボーカルならではのエモーショナルな歌唱表現に、感情的で多様な音色を駆使したギター、踊るように地を這うベースが三位一体となってリスナーの全身に響く。

ライブではMCは一切なく、代わりに朗読によって曲間を繋ぐという斬新なパフォーマンスで独自の世界を表現している。

『街の中で』 YAJICO GIRL

2016年に結成した5人組バンド・YAJICO GIRLの『街の中で』。歩くようなゆったりとしたテンポで刻まれる、HIP HOPのエッセンスを取り入れたリズミカルなボーカルが心地よい楽曲である。

大学在籍中、結成してすぐに出場したSUMMER SONICの登竜門『出れんの!? サマソニ!?』を通過し、さまざまなコンテストでも受賞を重ねるなど、そのポテンシャルの高さを世に知らしめてきたバンドだ。インディーズレーベルから音源をリリースした後も、音源制作からMVの撮影、編集を含む全てをセルフプロデュースするという音楽に対する強いこだわりが、独自の個性を作り出す要因となっている。


『aka… what a life!』 Noel Gallagher’s High Flying Birds

都会の夜を車で走っているようなイメージが浮かぶ、とてもリズミカルで疾走感のある曲。繰り返されるキーボードの和音が曲全体をクールにし、ギターの伴奏では出せない雰囲気を出している。ノエル・ギャラガーの歌もすばらしく、ファルセットが印象的。1人で都会の夜の街を歩きながら聴くと、周りの風景とマッチングしテンションが上がる。

(文・佐合良太、望月柚花、倉田航仁郎)