『BLUE GIANT』(ブルージャイアント)読者に聴いてほしい5枚のアルバム

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『BLUE GIANT』(ブルージャイアント)という漫画をご存知でしょうか? 2013年から2016年まで『ビッグコミック』(小学館)に掲載された人気作で、題材はジャズ。ヨーロッパを舞台に移した続編『BLUE GIANT SUPREME』(ブルージャイアントシュプリーム)も先ごろ最終回を迎えました。

テナーサックス奏者の宮本大(ミヤモトダイ)がサックス片手に国内外で活躍する熱いストーリーが評判を呼び、シリーズ累計570万部を突破(最新刊の帯より)。作者は文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、小学館漫画賞一般向け部門などを受賞した石塚真一。

『BLUE GIANT』を読んで、ジャズを聴いてみたいと思いつつも、膨大な作品群からどれを選べばよいのか迷っている方も多いのではないでしょうか。一口にジャズといっても様々なスタイルがありますので。

そんなブルージャイアント読者にオススメしたい5枚の作品を選んでみました。ビギナー向けのディスクガイドに載るようなものばかりではありませんが、お試しあれ。

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JOHN COLTRANE 『A LOVE SUPREME』

高校卒業後に仙台から上京したダイが結成したバンドのライブに、川喜田という大物ギタリストが飛び入りするエピソードがあります(ブルージャイアント第49話)。その際に川喜田が指定した曲が“Impressions”。ジョン・コルトレーンの名曲です。テナーサックスといえばコルトレーン。ジャズを語る上でこの人を外すわけにはいきません。

コルトレーンの代表曲の一つに数えられる“Impressions”は幾度となく録音され、複数のアルバムに収録されています。とりわけ同曲をタイトルにした『IMPRESSIONS』(impulse! A-42)のテイクが素晴らしく、ドラム奏者のエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)とコルトレーンの鬼気迫るプレイは何度聴いても鳥肌もの。

ということで、このアルバムを推薦したいところですが、公式のコンピレーションアルバム『BLUE GIANT SUPREME』(Universal Music UCCU-1574)に“Impressions”が選出されているので断念。

名盤揃いのコルトレーン作品の中から1枚選ぶとすれば、やはり『A LOVE SUPREME』。コルトレーンの最高傑作といっても過言ではないでしょう。『至上の愛』の邦題で知られる不朽の名作です。黄金カルテットと呼ばれたコルトレーン、エルヴィン、マッコイ・タイナー(McCoy Tyner – p)、ジミー・ギャリソン(Jimmy Garrison – b)の4人が到達した60年代ジャズの金字塔。1964年録音。

PHAROAH SANDERS 『AFRICA』

『BLUE GIANT SUPREME』の第67話に、ジャズファンがニヤリとほくそ笑んでしまうセリフが。伝説のベーシスト、サム・ジョーダンの自宅でダイのバンドのCDを聴いた雑誌の編集者が、演奏者を推測して2人のサックス奏者の名前を挙げるセリフです。フルネームが記載されていないので確証はありませんが、一人はおそらくアルバート・アイラー(Albert Ayler)、そしてもう一人はファラオ・サンダースに違いありません。

1966年7月にJOHN COLTRANE QUINTETの一員として来日したこともあるテナーサックス奏者のファラオ・サンダース。自身と同じ楽器のプレイヤーをバンドに加えたことからも、コルトレーンから絶大な信頼を得ていたことがうかがえます。

今もなお現役で活動を続けるファラオ・サンダース(御年79歳!)の代表曲といえば、1980年発表の『JOURNEY TO THE ONE』に収録された“You’ve Got To Have Freedom”。ジャズファンのみならず、レアグルーヴ愛好家からも絶大な支持を受けるクラシック中のクラシックです。

今回オススメしたいのは、1987年にオランダで録音された『AFRICA』の冒頭を飾る“You’ve Got To Have Freedom”。よりパワフルで、ブルージャイアント読者の皆様に聴いていただきたい名演です。

峰厚介 『ダグリ』

昨今人気の和ジャズからもサックス奏者の名盤を。

アルトからテナー、ソプラノに転向した峰厚介が1973年に録音した4枚目のリーダー作で、サイドは宮田英夫(ts)、板橋文夫(p)、望月英明(b)、村上寛(ds)。当時、コルトレーンに影響を受けていたという峰氏の熱いプレイを存分に堪能できる渾身の1枚。

国内外のジャズファンから評価の高い作品で、初版の帯付きアナログレコードは高値で取引されていますが、2017年に初のCD化が実現し、同時に配信もスタート。ありがたいことです。

SLEEP WALKER 『SLEEP WALKER』

バンドスタイルで活動していた頃のMONDO GROSSOに在籍していたサックス奏者の中村雅人とピアニストの吉澤はじめを中心に結成され、クラブジャズシーンで活躍していたSLEEP WALKERが2003年に発表した1st.アルバム。私がイメージするダイのサックスは、中村氏の音色が一番近いかも。

白眉は1曲目の“Ai-No-Kawa”。アルバムよりも数年早く12インチシングル(アナログレコード)でリリースされ、国内外で高評価を得たSLEEP WALKERの代表曲です。なお、このアルバムには収録されておりませんが、“The Voyage”という曲でファラオ・サンダースと共演しています。そちらも是非。

ARCHIE SHEPP 『THE MAGIC OF JU-JU』

コルトレーンと深い交流があったテナーサックス奏者のアーチー・シェップが、1967年に吹き込んだ『THE MAGIC OF JU-JU』。兎にも角にもタイトル曲を聴いてください。ツインドラムとアフリカ打楽器による呪術的なリズムと、吹きまくるシェップに圧倒されます。カフェで流れるような耳触りのよいジャズとは対極に位置する作品ですが、個人的には断然好み。

編成は異なりますが、国内最高峰のジャズクラブにドラマーと2人だけで出演した際のダイのプレイも、シェップばりの激しいものだったのでは?などと妄想しています。

(文・五辺宏明)