お宝MUSIC発掘#6 − 久保田利伸 / 小泉今日子 / GARLICBOYS

五辺 宏明

五辺 宏明

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ここ数年、「○○の作品がサブスク解禁!」というニュースをSNSのタイムラインでよく見かける。

個人的にはサブスクはおろか、ダウンロードもしないし、CDもめったに買わないアナログレコード派だが、「自分が長年愛聴している楽曲が、CDやレコードを購入しないリスナーにも届くかも?」と思うと、やはり嬉しいものである。

ということで、昨年2020年にサブスクが解禁されたアーティストの作品の中から、思い入れの強い3曲を紹介したい。


「You Were Mine」
久保田利伸

まずは、昨年10月16日にサブスク解禁された久保田利伸から。

CO-FUSION、DJ KRUSH、DJ HASEBE、DJ WATARAI によるリミックスも話題を呼んだ「Soul Bangin’」(1999年)と迷いつつ、今回選んだのは1988年に発表された「You Were Mine」。こんな超有名曲を紹介するのも気が引けるが、一番好きな曲なので。

フジテレビ系のドラマ『君の瞳をタイホする!』の主題歌に起用され、オリコン年間シングルランキング10位を記録した大ヒットシングル。

同曲は、スティーヴィー・ワンダーの名曲「Another Star」の影響を受けて生み出されたと思われ、実際に久保田利伸のライブでは、この2曲を混ぜ合わせた、いわゆるマッシュアップが披露されることが多々あるようだ。バンドが奏でる「Another Star」をバックに「You Were Mine」を歌う映像を、YouTube等で確認することができる。

残念ながら久保田利伸のライブは未体験。このマッシュアップを生で体感できる日が来ることを切に願う。

TOWER RECORDS 公式サイトへ

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「drivin’ nite; goin’ on (Back Seat Mix)」
小泉今日子

「小泉今日子が8月に104タイトル、のべ726曲をサブスク解禁」というニュースを聞いて多くの人が思い浮かべたのは、トップアイドルとして活躍していた80年代のシングル曲や、ミリオンセラーを記録した「あなたに会えてよかった」をはじめとした90年代のヒット曲ではないだろうか。

その一方で、『KOIZUMI IN THE HOUSE』(1989年)以降のクラブミュージックにアプローチした楽曲が脳内で鳴り響いたファンも多かったに違いない。小泉今日子は90年代に「優しい雨」や「My Sweet Home」といったシングルをヒットさせながら、KOIZUMIX PRODUCTION名義でハウスやダブ、ヒップホップのビートを取り入れた意欲作を、12インチシングル(アナログレコード)でリリースしていた。

私の場合、真っ先に浮かんできたのは、元ORIGINAL LOVEのキハラ龍太郎が手掛けた「drivin’ nite; goin’ on」を4 HEROがリミックスした「drivin’ nite; goin’ on (Back Seat Mix)」。オリジナルバージョンも素晴らしいが、個人的には4 HEROのリミックスを推薦したい。

ドラムンベースのアーティストとして知られていた4 HEROが、ジャンルを超えて支持されるきっかけとなった歴史的名盤『TWO PAGES』を発表したのが1998年7月。その9ヶ月後(1999年4月)に「drivin’ nite; goin’ on (Back Seat Mix)」の12インチが発売されているのだから、脱帽せざるを得ない。

『TWO PAGES』収録曲の「Loveless」や「Escape That」の流れを汲んだ美しいトラックと、小泉今日子の歌が見事に融和した名曲を是非。

「あんた飛ばしすぎ」
GARLICBOYS

ハイスタことHi-STANDARDの横山健が主宰するPizza of Death Recordsの全タイトルが、昨年4月22日にサブスク解禁された。

パンクキッズから絶大な人気を誇るPizza of Death作品の中から1曲紹介するのであれば、GARLICBOYS以外の選択肢はない。彼等のライブを初めて観たのは1991年(29年前!)。ライブを観るために首都圏以外の街に初めて遠征したバンドだし、終演後の打ち上げに初めて参加させてくれたバンドも彼等だった。思い入れは強い。

今回は、GARLICBOYSがPizza of Death Recordsから発表したミニアルバムの『激情』(2008年)と『再録ベスト』(2011年)の中から、迷いに迷って『再録ベスト』収録の「あんた飛ばしすぎ」を選出。Epic/Sony Recordsから1996年に発表された名作『ポエム』のトップを飾る「あんた飛ばしすぎ」は、90年代ガーリックの代表曲の一つ。『再録ベスト』に収録された新録版がパワーアップしていることは言うまでもない。

アイドルグループのももいろクローバーZが2018年にリリースしたリメイク版で、この曲を知った方も多いことだろう。

構成作家のオークラと共にGARLICBOYSのPETAこと二牟礼卓巳(vo)が新たに歌詞を書き下ろし、演奏とコーラスをGARLICBOYSが担当したことで、パンクスからも注目を集めた。

この機会に、ももクロ版とガーリック版を聴き比べていただきたい。

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(文・五辺宏明)
(カバー撮影・髙田みづほ)

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